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最終更新日:2022年2月10日
【需給動向:トウモロコシ】
2021/22年度の世界のトウモロコシ期末在庫、前月予測からわずかに下方修正されるも、19/20年度の水準を維持
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年1月12日、2021/22年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は、12億696万トン(前年度比7.5%増、前月比0.1%減)とされ、先月に引き続き史上最高の水準となることが見込まれている。国別に見ると、単収の引き上げによりウクライナが200万トン、作付面積の引き上げにより米国が135万トン上方修正された。一方、ラニーニャ現象による乾燥気候の影響で単収が引き下げられたブラジルが300万トン、同様にアルゼンチンが50万トン、それぞれ下方修正された。
輸出量は、世界全体で2億420万トン(同13.8%増、同0.3%減)とされた。国別に見ると、生産量で上方修正のあったウクライナが100万トン上方修正された一方、主要輸出国との競合などにより米国が190万トン下方修正された。
輸入量は、世界全体で1億8681万トン(同0.3%増、同0.7%増)とされた。主要生産国の中では、生産量で下方修正のあったブラジルが30万トン上方修正された。
消費量は、世界全体で11億9612万トン(同5.2%増、前月並み)とされた。国別に見ると、エタノール向け需要が引き上げられた米国が203万トン、ウクライナが100万トン上方修正された一方、アルゼンチンが50万トン下方修正された。
この結果、期末在庫は、前月から247万トン下方修正の3億307万トン(同3.7%増)とされたが、2019/20年度に近い在庫水準が見込まれている。
【需給、価格動向:トウモロコシ】
2021/22年度の米国トウモロコシ期末在庫、生産量の上方修正を受けて、前年度比24.7%増
USDA/WAOBは2022年1月12日、2021/22年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、同国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである(表3)。
生産量は、作付面積の引き上げにより、151億1500万ブッシェル(3億8394万トン(注1)、前年度比7.1%増、前月比0.4%増)とわずかに上方修正された。前年度からかなりの程度増加する見込みであり、これまでの統計で最も生産量の多かった2016/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)に近い水準となっている。
消費量は、主にエタノール向け需要の引き上げにより、124億1000万ブッシェル(3億1523万トン、同2.8%増、同0.6%増)とわずかに上方修正された。
輸出量は、主要輸出国との競合などにより24億2500万ブッシェル(6160万トン、同11.9%減、同3.0%減)とやや下方修正され、記録的な輸出量となった前年度からかなり大きい減少が見込まれている。
期末在庫は、生産量の上方修正を受けて、15億4000万ブッシェル(3911万トン、同24.7%増、同3.1%増)とやや上方修正された。
この結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は10.4%(同2.1ポイント増、同0.3ポイント増)とされ、10月予測から引き続き10%台を保っている。
また、生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり5.45米ドル(632円。1キログラム当たり24.9円)と前月対比で据え置かれた。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
【貿易動向:トウモロコシ】
10月の輸出量、前年同月からはやや、前月からは大幅に増加し、価格は下落傾向
米国のトウモロコシ輸出量は2021年4月以降、減少傾向が続いていたものの、2021年10月は383万192トン(前年同月比3.7%増、前月比49.4%増)と前年同月からはやや、前月からは大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は、表4の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり269.5米ドル(3万1262円、同47.6%高、同3.0%安)と前年同月から大幅に上昇したものの、2020年9月から11カ月連続で上昇していた価格は7月をピークに反転し、前月に引き続きやや下落した。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
【貿易動向:コーンスターチ】
10月の輸出量は前年同月から大幅に減少するも、前月よりわずかに増加
2021年10月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万5506トン(前年同月比18.0%減、前月比2.4%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月よりわずかに増加した。同月の主要国別輸出量は、表5の通りである。
同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり630.5米ドル(7万3138円、同20.0%高、同0.9%安)と前月よりわずかに下落したものの、21年前半の水準を維持し前年同月から大幅に上昇した。
なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における2021年10月の製粉業者の純費用は、1ポンド(注)当たり8.68セント(10.1円、前年同月比43.0%高、前月比3.4%安)と前月よりやや下落したものの、依然として前年同月比では大幅に上昇し、高い水準となった。
(注)1ポンドは約0.45キログラム。
2021年11月のタピオカでん粉輸出量は、28万483トン(前年同月比5.2%増、前月比0.6%減)と、前年同月からやや増加したものの、前月よりわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は、表7の通りである。
同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり487.0米ドル(5万6492円、同5.3%高、同1.5%高)と、前年同月からはやや、前月からはわずかに上昇した。
現地調査会社などによると、引き続き中国でタイ産キャッサバ製品への需要が高いことが、高値基調持続の一因であると考えられている。
ザライ省に次ぐキャッサバの産地である南部南東地域のタイニン省では、キャッサバ作付面積は6万ヘクタール台と予測されており、キャッサバモザイク病(注1)に耐性があり高単収が見込まれる品種が植え付けられる予定となっている。
なお、キャッサバモザイク病は11月18日現在、中央直轄5都市および58省のうち1市22省(前月同)などの合計6万2588ヘクタール(10月21日比21.6%減)で感染が確認された(注2)。
日本の約6分の1の国土面積を有するラトビアは、欧州の中央部に位置することから運輸業が主要産業となっているほか、中東欧の主要なばれいしょでん粉生産国の一つとしても挙げられる。ラトビア中央統計局によると、2020年の同国のばれいしょ生産量は約38万トンであり、これを地域別に見ると、最も生産が盛んな地域は、南部のゼムガレ地域(約14万トン)で全体の37%を占めた(コラム−図1)。これに続くのは、首都リガを囲むピエリガ地域(約8万トン)で同21%、北部のヴィゼメ地域(約7万トン)で同19%であった。
ラトビア農務省によると、近年、同国のでん粉原料用ばれいしょの作付面積は増加傾向にあり、2016年には670ヘクタールであったものの、2020年には1000ヘクタールとなった(コラム−表)。作付面積の増加に伴い、ばれいしょの加工量も増加しており、2016年には1万3460トンであったが、2020年には約1万9460トンとなった。一方、単収は増減を繰り返しており、過去5年間で見ると1ヘクタール当たり約17〜24トンで推移している。これは、干ばつなどの気候条件や害虫の発生状況に左右されるほか、慣行農業と比較して単収が低い有機農業を選択する生産者数が年々増加していることが背景となっている。
ラトビア唯一のばれいしょでん粉製造企業であるAloja Starkelsen社は、同国内のみならず、エストニアやリトアニアなど近隣諸国の農家とも契約を結び、でん粉原料用ばれいしょを調達している。同社のばれいしょでん粉生産量は2017年以降、毎年増加傾向で推移しており、2020年は約4400トンとなった(コラム−図2)。同社は有機ばれいしょでん粉製造も行っており、欧州の主要な有機ばれいしょでん粉製造企業の一つとして位置付けられている。欧州の有機農業は、環境保護やアニマルウェルフェア(動物福祉)への配慮、消費者の健康志向の高まりなどを受けて成長しており、ラトビアでも慣行農業との比較において低単収にあるものの、有機農業を採用する生産者数や作付面積は増加傾向にあり、今後も増加基調は持続すると見込まれている。
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【貿易動向】
10月の輸出量、前年同月からはやや、前月からはかなりの程度減少
2021年10月の化工でん粉の輸出量は、3338トン(前年同月比3.8%減、前月比9.7%減)と前年同月からはやや、前月からはかなりの程度減少した。同月の主要輸出先国別の輸出量は、表14の通りである。