でん粉の国内需給
最終更新日:2022年3月10日
でん粉の国内需給
2022年3月
1. 需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、でん粉に関して適切な価格調整を図るため、半期ごとにでん粉の需給見通しを公表している。9月に公表したでん粉の需給見通しの概要は、次の通り(詳細は2021年11月号参照)。
2. 輸入動向
【タピオカでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2021年12月のタピオカでん粉の輸入量は、8413トン(前年同月比34.0%増、前月比29.6%減)と、前年同月から大幅に増加した(図1)。
輸入先国はタイ、ベトナム、台湾およびブラジルの4カ国で、輸入量は次の通りであった。
タイ 8393トン
(前年同月比34.2%増、前月比29.1%減)
ベトナム 9トン
(同15.0%増、同91.1%減)
台湾 8トン
(同38.6%減、同9.3倍)
ブラジル 3トン
(前年同月輸入実績なし、同36.2%減)
また、2021年1〜12月のタピオカでん粉の輸入量は、前年比10.9%増の13万4680トンと、前年をかなりの程度増加した(図2)。国別の輸入量は次の通りであった。
タイ 13万3829トン
(前年比12.9%増)
ベトナム 735トン
(同73.2%減)
台湾 97トン
(同21.0%減)
ブラジル 18トン
(同3.5倍)
2021年12月の1トン当たりの輸入価格は、5万6636円(前年同月比27.3%高、前月比1.0%高)と、前年同月を大幅に上回った(図3)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
タイ 5万6176円
(前年同月比28.0%高、前月比0.4%高)
ベトナム 19万3116円
(同7.0%安、同3.5倍)
台湾 34万1043円
(同44.2%高、同51.8%安)
ブラジル 16万9091円
(前年同月輸入実績なし、同35.8%安)
【サゴでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2021年12月のサゴでん粉の輸入量は、1536トン(前年同月比2.3倍、前月比84.8%増)と、前年同月から大幅に増加した(図4)。
輸入先国はマレーシアおよびインドネシアの2カ国で、国別の輸入量は次の通りであった。
マレーシア 1446トン
(前年同月比2.5倍、前月比74.0%増)
インドネシア 90トン
(前年同月同、前月輸入実績なし)
また、2021年1〜12月のサゴでん粉の輸入量は、前年比2.9%減の1万4586トンとなり、前年からわずかに減少した(図5)。
国別の輸入量は次の通りであった。
マレーシア 1万4226トン
(前年比9.9%増)
インドネシア 360トン
(同82.7%減)
2021年12月の1トン当たりの輸入価格は、6万3542円(前年同月比15.4%高、前月比3.7%高)と、前年同月を大幅に上回った(図6)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
マレーシア 6万3687円
(前年同月比17.3%高、前月比3.9%高)
インドネシア 6万1211円
(同2.2%高、前月輸入実績なし)
【ばれいしょでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2021年12月のばれいしょでん粉の輸入量は705トン(前年同月比7.1倍、前月比25.4%減)と、前年同月から大幅に増加した(図7)。
輸入先国はデンマークおよびドイツの2カ国で、輸入量は次の通りであった。
デンマーク 704トン
(前年同月比7.0倍、前月比60.0%増)
ドイツ 1トン
(前年同月輸入実績なし、同99.7%減)
また、2021年1〜12月のばれいしょでん粉の輸入量は、前年比11.5%減の1万59トンと前年からかなり大きく減少した(図8)。国別の輸入量は次の通りであった。
ドイツ 6735トン
(前年比3.1%減)
デンマーク 2066トン
(同33.6%減)
オランダ 1244トン
(同3.0%減)
台湾 14トン
(同27.9%減)
米国 1トン
(同69.4%減)
2021年12月の1トン当たりの輸入価格は、9万1017円(前年同月比5.8%高、前月比0.7%安)と、前年同月をやや上回った(図9)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
デンマーク 9万250円
(前年同月比5.0%高、前月比1.2%高)
ドイツ 46万5972円
(前年同月輸入実績なし、同5.0倍)
【でん粉誘導体の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2021年12月のでん粉誘導体の輸入量は、2万8794トン(前年同月比23.7%増、前月比6.7%減)と、前年同月から大幅に増加した(図10)。
でん粉誘導体の輸入先国は19カ国で、最大の輸入先国はタイであった。主要輸入先国からの輸入量は次の通りで、タイが輸入量の約6割を占めており、次いで豪州、ベトナムとなっている(表3)。
2021年12月の1トン当たりの輸入価格は、11万59円(前年同月比21.5%高、前月比5.4%高)と、前年同月を大幅に上回った。
2021年1〜12月のでん粉誘導体の輸入量は、前年比4.2%増の41万8305トンとなった(図11)。
また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比8.3%高の9万5450円となった。
【デキストリンの輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に減少
財務省「貿易統計」によると、2021年12月のデキストリンの輸入量は、1266トン(前年同月比22.1%減、前月比12.7%減)と、前年同月から大幅に減少した(図12)。
デキストリンの輸入先国は8カ国で、輸入量は上位輸入先国の数量および各国のシェアも含め、月ごとの変動が大きい。
上位輸入先国からの輸入量は次の通りで、ベトナムおよびタイで輸入量の約7割を占めている(表4)。
2021年12月の1トン当たりの輸入価格は、10万1953円(前年同月比1.8%減、前月比37.2%減)と、前年同月をわずかに下回った。
2021年1〜12月のデキストリンの輸入量は、前年比20.6%増の1万5523トンと前年から大幅に増加した(図13)。
また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比10.1%高の13万521円となった。
【コーンスターチ用トウモロコシの輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2021年12月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、25万1905トン(前年同月比29.9%増、前月比10.0%増)となり、前年同月から大幅に増加した(図14)。
輸入先国は、米国、南アフリカおよびブラジルの3カ国で国別の輸入量は次の通りであった。
米国 22万1923トン
(前年同月比66.7%増、前月比14.4%増)
南アフリカ 2万7482トン
(前年同月輸入実績なし、同15.4%減)
ブラジル 2500トン
(前年同月比95.9%減、前月同)
2021年12月の1トン当たりの輸入価格は、3万8608円(前年同月比64.9%高、前月比1.1%安)と、前年同月を大幅に上回った。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
米国 3万8869円
(前年同月比63.0%高、前月比1.7%安)
南アフリカ 3万6982円
(前年同月輸入実績なし、同1.4%高)
ブラジル 3万3270円
(前年同月比48.2%高、同0.7%安)
2021年1〜12月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、前年比1.1%減の294万2762トンとなり、過去5年間(2017〜2021年)で最も少ない輸入量となった(図15)。
また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比47.8%高の3万4388円となった。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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