2.日本の品目別主要輸入先国の動向
最終更新日:2022年8月10日
2.日本の品目別主要輸入先国の動向
2022年8月
本稿中の為替レートは2022年6月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=137.68円、1タイバーツ=3.93円、1ユーロ=144.17円である。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。
トウモロコシ・コーンスターチ
世界
【需給動向:トウモロコシ】
2022/23年度の世界のトウモロコシ、期末在庫は前年度から微増の見込み
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年7月12日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億8590万トン(前年度比2.6%減)と前月から9万トン上方修正されたものの、過去最高となった前年度をわずかに下回ると見込まれている。国別に見ると、米国の生産量が作付面積の増加を踏まえて前月から114万トン上方修正された一方で、ロシアの作付面積減少から生産量が下方修正されたことで、これが吸収される形となった。その他の主要国の生産量はいずれも前月から据え置かれた。
輸入量は、世界全体で1億7708万トン(同1.2%減)と前月から40万トン上方修正されたが、前年度からわずかな減少が見込まれている。
消費量は、世界全体で11億8524万トン(同1.1%減)と前月から104万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。国・地域別に見ると、EUが20万トン、ロシアが30万トンそれぞれ下方修正された。最大の消費国である中国は2億9500万トンと前月から据え置かれた。
輸出量は、世界全体で1億8257万トン(同8.4%減)と前月から10万トン下方修正され、前年度からかなりの程度減少が見込まれている。国別に見ると、ウクライナが前月と同様に1000万トン割れが見込まれる中で、ロシアが50万トン下方修正された。一方で、パラグアイが70万トン上方修正されたことで、これが吸収される形となった。
この結果、期末在庫は3億1294万トン(同0.2%増)と前月から249万トン上方修正され、前年度からの微増が見込まれている。
米国
【需給、価格動向:トウモロコシ】
2022/23年度の米国トウモロコシ、在庫率は10%台の見込み
USDA/WAOBは2022年7月12日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表3)。
生産量は、145億500万ブッシェル(3億6844万トン(注)、前年度比4.0%減)と前月から4500万ブッシェル(114万トン)上方修正されたが、前年度からやや減少すると見込まれている。
消費量は、121億7000万ブッシェル(3億913万トン、同2.0%減)と前月から据え置かれ、前年度からわずかな減少が見込まれている。
輸出量は、24億ブッシェル(6096万トン、同2.0%減)と前月から据え置かれ、前年度からわずかに減少すると見込まれている。
この結果、期末在庫は、21/22年度の国内消費量のうち飼料など向けの下方修正を受けた22/23年度の期首在庫の上方修正により、14億7000万ブッシェル(3733万トン、同2.6%減)と前月から7000万ブッシェル(178万トン)上方修正されたが、前年度をわずかに下回ると見込まれている。
また期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は10.1%(同0.1ポイント減)と、10%台の水準まで回復すると見込まれている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.65米ドル(916円。1キログラム当たり36.0円)と前月から下方修正されたが、前年度からかなり大きく上昇し、12/13年度に記録した同6.89米ドル以来の高値が予測されている。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
【貿易動向:トウモロコシ】
4月の輸出量は7カ月ぶりに減少し、価格は続騰
米国のトウモロコシ輸出量は2021年10月から増加傾向が続いていたが、22年4月は698万7644トン(前年同月比16.3%減、前月比6.3%減)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度減少した。同月の主要国別輸出量は表4の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり328.1米ドル(4万5173円、同23.8%高、同7.3%高)と前年同月から大幅に、前月から引き続き300米ドルを超過し、かなりの程度上昇した。
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB※価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
※Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。
【貿易動向:コーンスターチ】
4月の輸出量は大幅に増加し、輸出価格は700米ドル台を維持
2022年4月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万7021トン(前年同月比17.7%増、前月比19.2%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国別輸出量は表5の通りである。
同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり735.7米ドル(10万1291円、同14.6%高、同3.8%安)と前年同月からはかなり大きく上昇しており、前月からはやや低下したものの、前月に引き続き700米ドル台となった。
なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における22年4月の製粉業者の純費用(Net Cost)は、1ポンド(注)当たり13.78米セント(19.0円、前年同月比29.6%高、前月比7.9%高)と依然として前年同月から大幅に、前月からかなりの程度上昇し、高い水準となった。
(注)1ポンドは約0.45キログラム。
タピオカでん粉
タイ
【生産動向】
2021/22年度のキャッサバ生産量は前年度からわずかに減少する見込み
タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2022年6月)によると、2021/22年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は1018万ライ(163万ヘクタール
(注)、前年度比2.2%減、前月同)、単収は1ライ当たり3.41トン(同1.2%増、前月同)、生産量は3469万トン(同1.1%減、前月同)と、前月予測といずれも同量が見込まれている(表6)。
(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
【価格動向】
国内価格は、17バーツ台後半を持続
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2022年7月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり17.50バーツ(69円、前年同期比25.0%高、前週同)と前年同期から大幅に上昇し、先月に引き続き過去10年間の最高額を維持した(図3)。国内価格は20年後半から上昇傾向にあったが、22年4月以降は原料費や燃料費の上昇により急騰している。タイ農業・農業協同組合銀行(BAAC)研究・イノベーション開発センターによると、中国市場でタイ産キャッサバ製品の需要が引き続き高いことや、石油燃料価格の上昇に伴うバイオ燃料需要の増加などから、キャッサバ製品価格は今後も高い水準で推移すると予測されている。
【貿易動向】
輸出価格は、前月からやや上昇し500米ドル台を維持
2022年5月のタピオカでん粉輸出量は、29万8657トン(前年同月比25.0%増、前月比5.6%増)と前年同月から大幅に、前月からやや増加した。同月の主要国別輸出量は表7の通りである。
同月の輸出価格(FOB・バンコク)は輸出量が増加する中、1トン当たり527.0米ドル(7万2557円、同8.7%高、同4.6%高)と昨年末からの上昇傾向が持続し、前年同月からかなりの程度、前月からやや上昇した。
ベトナム
【生産動向】
各地で2022/23年度のキャッサバ作付けが加速
ベトナムの調査会社(AgroMonitor)によると、乾季の後半から雨季の前半にかかる4〜5月に、キャッサバの植え付けに最適な気温と定期的な降雨があり、各地で作付けが行われているが、同国で最もキャッサバ生産の盛んなザライ省など、キャッサバモザイク病の影響で前年から作付面積が減少している地域もある(参考)。一部の地域では、6〜7月頃までキャッサバの植え付けが継続する予定である。
【貿易動向】
5月の輸出量は増加する中、輸出価格は6カ月500米ドル台を持続
民間調査会社であるAgroMonitorによると、2022年5月のタピオカでん粉輸出量は、18万156トン(前年同月比28.7%増、前月比15.0%増)と前年同月から大幅に、前月からかなり大きく増加した。同国の主要国別輸出量は表8の通りである。
同月の輸出価格(CFR
(注)・中国向け)は、1トン当たり511米ドル(7万354円、同8.3%高、同0.2%安)と前年同月からかなりの程度上昇して前月並みとなり、6カ月連続で500米ドル台となった。
(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、コンテナ輸送貨物に使われることが多い。
ばれいしょでん粉
EU
【貿易動向】
輸出価格は700ユーロを突破
2022年4月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万5758トン(前年同月比20.7%減、前月比13.7%減)と前年同月から大幅に、前月からかなり大きく減少した。同月の主要国別輸出量は表9の通りである。
また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり702ユーロ(10万1207円、同21.5%高、同4.3%高)と前年同月から大幅に、前月からやや上昇し、20年1月以来、2年3カ月ぶりに700ユーロ台となった。
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
コラム 欧州主要国のでん粉原料用ばれいしょ生産動向
−ドイツおよびオランダ編−
世界最大のばれいしょでん粉生産地域である欧州では、ドイツ、オランダ、デンマークおよびフランスの4カ国が主産国として位置付けられている。本コラムでは、そのうちドイツおよびオランダのでん粉原料用ばれいしょの生産動向を紹介する(コラム−表1)。
1.ドイツ
ドイツのでん粉原料用ばれいしょの作付面積は2017年から20年まで増加傾向で推移し、21年までの5年間で1割程度拡張した。ドイツばれいしょ産業連盟(UNIKA)によると、これは同国で主要ばれいしょでん粉製造企業3社が原料確保を目的に、生産者との契約数量を拡大したことが要因とされる。
21年は、前年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響で需要が減少し、収益が上がらなかったことから、作付面積は6万ヘクタール(前年比2.0%減)、生産量は252万トン(同1.1%減)と減少した。
2.オランダ
オランダのでん粉原料用ばれいしょの作付面積を見ると、過去5年は4万ヘクタール半ばで安定して推移している。同国では2018年夏に過去20年で最悪とされる干ばつが発生し、翌年も乾燥した気候により生産量、単収ともに落ち込んだものの、21年は生産量186万トン(同1.6%増)、単収は1ヘクタール当たり41.3トン(同1.5%増)と回復傾向にある。
3.ロシアのウクライナ侵攻による影響
欧州のばれいしょ専門誌編集者によると、ロシアのウクライナ侵攻の欧州ばれいしょ市場への影響について以下のような点を挙げている(コラム−表2)。
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化工でん粉
デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。
タイ
【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月からやや、前月からかなりの程度増加
2022年5月の化工でん粉の輸出量は、9万6097トン(前年同月比4.6%増、前月比6.0%増)と前年同月からやや、前月からかなりの程度増加した。同月の主要輸出先別の輸出量は表10の通りである。
米国
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月からやや増加し前月並み
2022年4月の化工でん粉の輸出量は、2万7899トン(前年同月比4.8%増、前月比0.2%減)と前年同月からやや増加し、前月並みとなった。同月の主要国別輸出量は表11の通りである。
中国
【貿易動向】
5月の輸出量は前年同月からかなりの程度減少したものの、前月からかなりの程度増加
2022年5月の化工でん粉の輸出量は、9054トン(前年同月比7.1%減、前月比8.5%増)と前年同月からかなりの程度減少したものの、前月からかなりの程度増加した。同月の主要輸出先別の輸出量は表12の通りである。
EU
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月および前月から大幅に減少
2022年4月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万4280トン(前年同月比23.5%減、前月比17.1%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要輸出先別の輸出量は表13の通りである。
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
豪州
【貿易動向】
4月の輸出量は前年同月からわずかに増加したものの、前月から大幅に減少
2022年4月の化工でん粉の輸出量は、3108トン(前年同月比0.5%増、前月比24.9%減)と前年同月からわずかに増加したものの、前月から大幅に減少した。同月の主要輸出先別の輸出量は表14の通りである。
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