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2.日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2022年10月11日

2.日本の品目別主要輸入先国の動向

2022年10月

 本稿中の為替レートは2022年8月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=139.63円、1タイバーツ=3.88円、1ユーロ=140.53円である。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
2022/23年度の世界のトウモロコシ、期末在庫は前年度から微減の見込み

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2022年9月12日、22/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億7258万トン(前年度比3.9%減)と前月から703万トン下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。地域別に見ると、主要産地での降雨により増産が見込まれる中国のほか、ウクライナなどで生産量が前月から上方修正されたが、フランス、ルーマニアおよびドイツでの減産が見込まれるEUや米国の生産量が前月から下方修正されたことで、これが吸収される形となった。

 輸入量は、世界全体で1億7825万トン(同2.0%減)と前月から153万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。地域別に見ると、カナダは米国での減産による供給量の減少を背景に輸入量が前月から100万トン下方修正され、150万トン(同75.4%減)と前年度から大幅な減少が見込まれている。

 消費量は、世界全体で11億8018万トン(同1.7%減)と前月から459万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。地域別に見ると、ウクライナなどで前月から上方修正されたが、米国などで下方修正された。最大の消費国である中国は2億9500万トンと前月から据え置かれた。

 輸出量は、世界全体で1億8358万トン(同9.7%減)と前月から204万トン下方修正され、前年度からかなりの程度減少が見込まれている。地域別に見ると、ウクライナで50万トン前月から上方修正された一方、米国で254万トン下方修正されたことで、これが吸収される形となった。

 この結果、期末在庫は3億453万トン(同2.4%減)と前月から215万トン下方修正され、前年度からわずかな減少が見込まれている。
 

 

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
2022/23年度の米国トウモロコシ、在庫率は8%台まで低下

 USDA/WAOBは2022年9月12日、22/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表3)。

 生産量は、前月より続く単収減に加え、作付面積などの減少予測も受けて139億4400万ブッシェル(3億5419万トン(注)、前年度比7.7%減)と前月から4億1500万ブッシェル(1054万トン)下方修正され、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。

 消費量は、120億ブッシェル(3億481万トン、同3.0%減)と前月から1億5000万ブッシェル(381万トン)下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。内訳を見ると、飼料など向けやエタノール向けがトウモロコシの減産や価格高騰などを背景に減少すると予測されている。

 輸出量は、22億7500万ブッシェル(5779万トン、同8.1%減)と前月から1億ブッシェル(254万トン)下方修正され、前年度からの減少幅が拡大すると見込まれている。

 この結果、期末在庫は、消費量よりも生産量の減少幅が大きかったことから12億1900万ブッシェル(3095万トン、同20.1%減)と前月から1億6900万ブッシェル(429万トン)下方修正され、前年度を大幅に下回ると見込まれている。

 また期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は8.5%(同1.8ポイント減)と、8%台まで低下すると見込まれている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.75米ドル(943円。1キログラム当たり37.1円)と前月から上方修正され、前年度からかなり大きく上昇し、12/13年度に記録した同6.89米ドル以来の高値が予測されている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。

 

【貿易動向:トウモロコシ】
輸出価格は4カ月連続300米ドル超過

 2022年6月の米国のトウモロコシ輸出量は、日本向けが前月比で大きく増加した一方で、中国を中心とした主要輸入国の輸入量が減少したことから、550万3797トン(前年同月比13.4%減、前月比23.6%減)と前年同月からかなり大きく、前月から大幅に減少した。同月の主要国別輸出量は表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり344.2米ドル(4万8061円、同17.4%高、同1.1%安)と前年同月から大幅に上昇し、前月からわずかに下落したものの4カ月続けて300米ドルを超過した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB※価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
※Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。

 

 

【貿易動向:コーンスターチ】
6月の輸出量は前月からかなりの程度増加し、価格は700米ドル台を維持

 2022年6月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万6479トン(前年同月比5.8%増、前月比8.2%増)と前年同月からやや、前月からかなりの程度増加した。同月の主要国別輸出量は表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり759.6米ドル(10万6063円、同19.7%高、同4.3%安)と前月からやや下落したものの700米ドル台を維持した。

 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における22年6月の製粉業者の純費用(Net Cost)は、1ポンド当たり14.28米セント(注)(19.9円、前年同月比15.9%高、前月比1.6%高)と前年同月からかなり大きく、前月からわずかに上昇し、依然として高い水準となった。

(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。

 

 

 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2022/23年度のキャッサバ生産量は前年度からやや増加する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2022年8月)によると、2022/23年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は1039万ライ(166万ヘクタール(注)、前年度比2.1%増、前月同)、単収は1ライ当たり3.45トン(同1.2%増、前月同)、生産量は3580万トン(同3.2%増、前月同)と見込まれている(表6)。

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。

 

【価格動向】
国内価格は高い水準を安定的に推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2022年9月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり17.10バーツ(66円、前年同期比21.3%高、前週同)と前年同期から大幅に上昇したものの、8月以降は安定して推移している(図3)。国内価格は22年4月以降、原料費や燃料費の上昇により急騰し、7月第3週を境に下落に転じたものの、依然として現在も高い水準で推移している。22/23年産のキャッサバは増産が見込まれる中、今後の価格動向が注目されている。

 

【貿易動向】
輸出価格は7カ月ぶりに下落

 2022年7月のタピオカでん粉輸出量は、22万1720トン(前年同月比7.3%減、前月比4.0%減)と前年同月からかなりの程度、前月からやや減少した。同月の主要国別輸出量は表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり527.5米ドル(7万3655円、同8.8%高、同2.3%安)と7カ月ぶりに下落に転じた。
 

 

 

ベトナム

【生産動向】
主産地の2022/23年度のキャッサバ作付面積は前年から微減

 ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、2022年7月末現在、国内のキャッサバの作付けはおおむね完了した。北部地域と南部のタイニン省の作付面積は増加が予測されているが、同国で最もキャッサバ生産が盛んなザライ省を含む中部地域では、キャッサバからサトウキビや経済性の高い他の作物への転作が進むことで、作付面積の減少が予測されている。主産地の作付面積合計は30万7000ヘクタール(前年度比2.8%減)と前年からわずかに減少が見込まれている。

 

【貿易動向】
7月の輸出量は前月から大幅に減少し、輸出価格は8カ月連続で500米ドル台

 AgroMonitorによると、2022年7月のタピオカでん粉輸出量は、15万6469トン(前年同月比31.8%増、前月比23.5%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月から大幅に減少した。同国の主要国別輸出量は表8の通りである。

 同月の輸出価格(CFR(注)・中国向け)は、1トン当たり513米ドル(7万1630円、同8.7%高、同0.6%安)と前月からわずかに下落したものの、8カ月連続で500米ドル台となった。

(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、コンテナ輸送貨物に使われることが多い。
 

 

 

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
6月の輸出量は前月からかなりの程度増加し、価格は3カ月連続700ユーロ台を記録

 2022年6月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万3858トン(前年同月比12.3%減、前月比7.6%増)と前年同月からかなり大きく減少したものの、前月からかなりの程度増加した。同月の主要国別輸出量は表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり741ユーロ(10万4133円、同33.3%高、同2.9%高)と前年同月から大幅に、前月からわずかに上昇し、3カ月連続で700ユーロ台となった。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
 

 

 

コラム 欧州主要国のでん粉生産動向
−ドイツのコーンスターチ生産−


 欧州は世界のコーンスターチ生産量の1割を占め、うちドイツは欧州生産量の17%(36万3000トン)を占めている(LMC調べ)。ドイツのでん粉産業組合(VGMS)によると、2020年の同国のでん粉生産量は157万5000トンで、その内訳は、小麦でん粉が最も多く60万1000トン、次いでばれいしょでん粉が55万4000トン、トウモロコシを原料とするコーンスターチが36万3000トンなどとなっている。(コラム−図)。
               
 
 ドイツ連邦統計局(Destatis)によると、同国のトウモロコシ作付面積は、家畜の生産が盛んな地域やバイオマスプラントのある南部や北西部で多く、その用途は主に食用、飼料用や工業用と幅広い。しかし、同国の気象条件がでん粉原料用トウモロコシに適していないことから、限定的な生産にとどまり、コーンスターチ生産用のトウモロコシはほぼ輸入で賄っている状況にある。

 国内には9社のでん粉生産企業があり、そのうちCargill社およびIngredion社の2社が、コーンスターチやコーンスターチを原料とした甘味料などを生産している。

 16年以降のコーンスターチの生産量は、18年に33万6000トンまで落ち込んだものの、その他の年は40万トン前後で推移している(コラム−表)。20年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によりでん粉の需要が落ち込むと懸念されたが、同年春に実施された第一次都市封鎖(ロックダウン)時に、一定期間の貯蔵が可能な食品などを備蓄する動きが見られた。このため、加工食品の増粘剤などに使われることの多い化工でん粉の需要が増加したことで、でん粉生産量全体では大幅な落ち込みがなかったと考えられる。
   

 ドイツは主にウクライナや近隣諸国からトウモロコシを輸入しており、ウクライナから輸入しているトウモロコシの多くが飼料用に仕向けられているとみられる。また、Cargill社関係者によると、でん粉原料用トウモロコシは主にフランスとハンガリーから輸入しているという。ロシアによるウクライナ侵攻がドイツのコーンスターチ生産に与える影響について現時点で明らかにされていないが、今年度の輸出量は前年度の半分程度と見込まれており、引き続き動向を注視する必要がある。
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国による主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
7月の輸出量は前年同月からわずかに、前月からかなりの程度減少

 2022年7月の化工でん粉の輸出量は、9万8249トン(前年同月比0.5%減、前月比6.3%減)と前年同月からわずかに、前月からかなりの程度減少した。同月の主要輸出先別の輸出量は表10の通りである。

 

 

米国

【貿易動向】
6月の輸出量は前年同月から大幅に増加したものの、前月からわずかに減少

 2022年6月の化工でん粉の輸出量は、3万786トン(前年同月比28.5%増、前月比0.9%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月からわずかに減少した。同月の主要国別輸出量は表11の通りである。

 

 

中国

【貿易動向】
7月の輸出量は2カ月連続1万トンを超過

 2022年7月の化工でん粉の輸出量は、1万3076トン(前年同月比62.6%増、前月比19.5%増)と2年10カ月ぶりに1万トンを超過した前月に引き続き、増加傾向を維持した。同月の主要輸出先別の輸出量は表12の通りである。

 

 

EU

【貿易動向】
6月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からかなり大きく減少

 2022年6月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万438トン(前年同月比26.2%減、前月比11.8%減)と前年同月から大幅に、前月からかなり大きく減少した。同月の主要輸出先別の輸出量は表13の通りである。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

 

 

豪州

【貿易動向】
6月の輸出量は前年同月からやや増加したものの、前月から大幅に減少

 2022年6月の化工でん粉の輸出量は、3050トン(前年同月比4.0%増、前月比21.9%減)と前年同月からやや増加したものの、前月から大幅に減少した。同月の主要輸出先別の輸出量は表14の通りである。

 

 

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