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2.日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2023年2月10日

2.日本の品目別主要輸入先国の動向

2023年2月

 本稿中の為替レートは2022年12月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=133.70円、1タイバーツ=3.88円、1ユーロ=142.97円である。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
世界の期末在庫は前月に引き続き3億トンを下回る見込み

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年1月12日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。
 
 これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億5593万トン(前年度比4.9%減)と前月から593万トン下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。地域別に見ると、中国などが上方修正されたものの、米国やアルゼンチン、ブラジルなどが前月から下方修正された。特に、12月から1月初めにかけて猛暑が続くアルゼンチンでは、主産地の早植えトウモロコシの収量が減少し、前月から300万トン下方修正されている。また、ブラジルも南部の一部で発生している干ばつによって第1期作のトウモロコシの減産が見込まれている。
 
 輸入量は、世界全体で1億7545万トン(同4.7%減)と前月から97万トン下方修正され、前年度からやや減少すると予測されている。地域別に見ると、ベトナムやタイ、ペルーなどが前月から下方修正された。
 
 消費量は、世界全体で11億6547万トン(同3.0%減)と前月から508万トン下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。地域別に見ると、最大の消費国である中国が前月から200万トン上方修正されたものの、米国、ブラジル、ウクライナなどが前月から下方修正された。中国では、生産量が前月から上方修正されたことやソルガムの輸入量の減少予測を背景に飼料向け需要が増加しており、全体の消費量は2億9700万トン(同2.1%増)と見込まれている。

 輸出量は、世界全体で1億7817万トン(同12.7%減)と前月から346万トン下方修正され、前年度からかなり大きく減少すると予測されている。地域別に見ると、ウクライナなどが前月から上方修正されたものの、減産の影響を受けた米国やアルゼンチンなどは前月から下方修正された。

 この結果、期末在庫は2億9642万トン(同3.1%減)と前月から198万トン下方修正され、前月に引き続き3億トンを下回ると見込まれている。
 

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米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
米国の輸出量は前年度比22.1%減と大幅に減少する見込み

 USDA/WAOBは2023年1月12日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表3)。

 生産量は、単収が増加するものの収穫面積の減少予測を受けて、137億3000万ブッシェル(3億4876万トン(注)、前年度比8.9%減)と前月から2億ブッシェル(508万トン)下方修正され、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。

 消費量は、119億9000万ブッシェル(3億456万トン、同4.0%減)と前月から3500万ブッシェル(89万トン)下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。用途別に見ると、でん粉やグルコース、デキストロースなどその他工業向けでの利用の減少が見込まれている。

 輸出量は、12月までの販売や出荷が低調な状況を受けて、19億2500万ブッシェル(4890万トン、同22.1%減)と前月から1億5000万ブッシェル(381万トン)下方修正され、前年度から大幅に減少すると見込まれている。

 この結果、期末在庫は、12億4200万ブッシェル(3154万トン、同9.8%減)と前月から1500万ブッシェル(38万トン)下方修正され、前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。

 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、8.9%(同0.3ポイント減)と依然として前年度を下回ると予測されている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.70米ドル(896円。1キログラム当たり35.3円)と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく上昇し、引き続き高値が予測されている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
 

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【貿易動向:トウモロコシ】
輸出量は5カ月連続減少し、輸出価格は5カ月ぶりに上昇

 2022年10月の米国のトウモロコシ輸出量は、209万1215トン(前年同月比48.5%減、前月比20.9%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり326.9米ドル(4万3707円、同21.5%高、同1.5%高)と5カ月ぶりに上昇した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB※価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。

※Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。

 

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 【貿易動向:コーンスターチ】
輸出量は前月から大幅に増加し、価格は前年同月比3割弱の上昇

 2022年10月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万9917トン(前年同月比28.8%増、前月比19.2%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり843.0米ドル(11万2709円、同34.7%高、同6.0%高)と21年10月の626.0米ドル(8万3696円)から1年で200米ドル以上も上昇した。

    

    

 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における22年10月の製粉業者の純費用(Net Cost)は、1ポンド当たり11.04米セント(注)(14.8円、前年同月比27.3%高、前月比3.1%安)と前年同月から大幅に上昇したものの、前月からやや下落した。

(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
 

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タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2022/23年度のキャッサバ生産量は前年度からわずかに増加する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2022年12月)によると、2022/23年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は1011万ライ(162万ヘクタール(注)、前年度比1.9%増、前月比0.2%減)、単収は1ライ当たり3.44トン(同0.3%増、同0.3%減)とそれぞれ前月から下方修正されたことで、生産量は3475万トン(同2.2%増、前月比0.6%減)と前月から下方修正された。しかし、前年度からはわずかな増加が見込まれている(表6)。
 

(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。

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【価格動向】
高い水準ながらも、国内価格は下落傾向

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2023年1月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり16.5バーツ(64円、前年同期比9.3%高、前週同)と前年同期からかなりの程度上昇したものの、下落傾向で推移している(図3)。国内価格は22年4月以降、原料費や燃料費の上昇により急騰し、依然として高い水準を維持しているが、7月第3週を境に下落に転じている。

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【貿易動向】
輸出量は前月から増加し、輸出価格は2カ月続けて500米ドルを下回る

 2022年11月のタピオカでん粉輸出量は、33万8381トン(前年同月比20.6%増、前月比6.9%増)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり487米ドル(6万5112円、同1.5%高、同2.1%安)と7カ月ぶりに500米ドルを下回った前月に引き続き下落した。
 

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ベトナム

【生産動向】
各地でキャッサバの収穫作業が進む

 ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、11月に入り各地でキャッサバの収穫作業が進んでいる。

 北部地域で最も生産が盛んなソンラ省では、収穫作業が始まりでん粉工場に十分な量のキャッサバが搬入されている。一方で、同地域のタンホア省やゲアン省などでは、キャッサバの収穫最盛期を迎えたが、継続する降雨により収穫が低迷し、また、依然としてキャッサバモザイク病(注1)がまん延していることなどにより、収量は2020/21年度比で3〜4割程度の減少が見込まれている。

 中部地域では、同国で最も生産の盛んなザライ省で22年3〜4月に作付けされたキャッサバの収穫最盛期を迎えた。11月下旬現在、全体の1割程度の収穫を終えているとされ、収穫作業は23年4月頃まで続くとされている。また、同地域のダクラク省でも収穫が進み、平均収量は1ヘクタール当たり25~30トンと前年同様の水準とみられている。同省では生育期に定期的な降雨があったことから、キャッサバの品質が向上し、でん粉含有率が高いと報告されている。

 南部地域では、タイニン省で先月に引き続きカンボジアから輸入されたキャッサバを主に加工しているものの、主要輸出先である中国での新型コロナウイルス感染症の拡大による大規模なロックダウンの影響により、需要が低下している。同省には、80近い加工工場が存在するが、でん粉価格の下落を受けて23年の旧正月に向けた消費強化を目指し、国内市場の開拓に注力している状況にあるとしている。

 また、キャッサバモザイク病は11月10日現在、同国の中央直轄5都市および58省のうち1市18省などの合計5万5216ヘクタールで感染が確認され、前月比で5.9%の減少となったものの、引き続き被害の拡大が懸念されている(注2)

(注1)ウイルスの感染によって葉に黄斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。
【貿易動向】
11月の輸出量は前月から大幅に増加し、輸出価格はかなりの程度下落

 AgroMonitorによると、2022年11月のタピオカでん粉輸出量は、25万6801トン(前年同月比4.8%増、前月比33.7%増)と前年同月からやや、前月から大幅に増加した。同国の主要国・地域別輸出量は表8の通りである。
 
 同月の輸出価格(CFR(注)・中国向け)は、1トン当たり440米ドル(5万8828円、同10.2%安、同10.4%安)と7月以降5カ月続けて下落した。

(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、コンテナ輸送貨物に使われることが多い。

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ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
輸出量は前月からやや増加し、価格は800ユーロ台を維持

 2022年10月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万1883トン(前年同月比11.0%減、前月比5.4%増)と前年同月からかなり大きく減少したものの、前月からやや増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり856ユーロ(12万2382円、同49.3%高、同6.1%高)と先月から反転し、800ユーロ半ばでの展開となった。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
 

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コラム 欧州主要国のでん粉生産動向−デンマークのばれいしょでん粉−


 デンマークは、世界最大のばれいしょでん粉生産地域である欧州の中でも、中国に次ぐ世界第2位の生産量を誇る。英国の調査会社LMC Internationalによると、2021年のデンマークのでん粉生産量は32万6000トンで、そのうち9割以上となる30万トンがばれいしょでん粉であった(コラム−図1)。

 同国のばれいしょでん粉の生産量は、12年から21年の約10年間で2倍以上に増加し、既報の通り(注)同国のでん粉原料用ばれいしょの作付面積も近年増加傾向にあり、生産量も増加基調で推移している(コラム−図2、コラム−表)。

(注)デンマークのでん粉原料用作物の生産動向については、『砂糖類・でん粉情報(2022年9月号)』のでん粉の国際需給コラム「欧州主要国のでん粉原料用ばれいしょ生産動向−デンマークおよびフランス編−」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002780.html)を参照されたい。
 



 同国のばれいしょは主にユトランド半島中部で生産されており、ばれいしょ全体の作付面積の9割以上をでん粉原料用が占めている。また、ばれいしょでん粉工場はでん粉原料用ばれいしょの主産地に集中し、いずれもばれいしょ農家が組織する協同組合(KK Karup組合、AKD組合、AKV Langholt組合)が所有・運営している(コラム−図3)。
 

 KK組合および22年に二つの組合が合併して設立されたAKD組合は、ばれいしょでん粉や化工でん粉、ばれいしょたんぱく質の販売や新製品の開発を行う「KMC社」を共同で所有・運営し、両組合のばれいしょでん粉の販売や輸出は同社が担っている。またAKV組合は、21年に約34万トンのばれいしょを加工しており、米国のCargill社との合弁会社を通じて同組合の産品の販売・輸出が行われている。同組合のホームページによると、今年度のでん粉製造は22年8月31日から開始された。ただし、干ばつが発生した他の欧州地域に比べて湿度が高く、通常のばれいしょ栽培条件が整っていたものの、8月後半は乾燥した天候が続いたことで収量への影響が懸念されている。

 現地では、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて燃料価格の高騰や不足が深刻化しており、燃料不足に備えてでん粉工場は例年よりも早く工場の操業を始めており、例年に比べて稼動期間の長期化が見込まれる報道がされている。稼働の長期化は、製造コストの増加だけではなく、農家でのばれいしょの貯蔵コストの増加につながるほか、貯蔵中の損失が発生する可能性もあることから、ばれいしょでん粉の生産に大きな影響を及ぼすとみられている。
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国・地域による主要仕向け先別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
輸出量は5カ月ぶりに10万トンを上回る

 2022年11月の化工でん粉の輸出量は、10万2491トン(前年同月比14.8%増、前月比12.7%増)と前年同月および前月からかなり大きく増加し、22年6月以降5カ月ぶりに10万トンを上回った。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表10の通りである。

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米国

【貿易動向】
10月の輸出量は前月並みで2万5000トンを下回る

 2022年10月の化工でん粉の輸出量は、2万4229トン(前年同月比11.6%減、前月比0.3%減)と前年同月からかなり大きく減少し、21年6月以来1年3カ月ぶりに2万5000トンを下回った前月並みとなった。同月の主要国・地域別輸出量は表11の通りである。

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中国

【貿易動向】
輸出量は6カ月連続で1万トンを超過

 2022年11月の化工でん粉の輸出量は、1万5588トン(前年同月比92.8%増、前月比19.0%増)と前年同月および前月から大幅に増加し、2年10カ月ぶりに1万トンを超過した6月から6カ月連続で1万トン台を推移し、ロシア向けの輸出の伸びが顕著となっている。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表12の通りである。

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EU

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月からやや減少したものの、前月からわずかに増加

 2022年10月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万8688トン(前年同月比4.0%減、前月比1.6%増)と前年同月からやや減少したものの、前月からわずかに増加した。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表13の通りである。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

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豪州

【貿易動向】
10月の輸出量は米国向けが大幅に減少し、日本向けが6割を占める

 2022年10月の化工でん粉の輸出量は、2129トン(前年同月比36.2%減、前月比35.4%減)と前年同月および前月から大幅に減少しており、直近13カ月の合計輸出量が最も多い米国向けが前月に引き続き大幅に減少し、日本向けが6割以上を占めた。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表14の通りである。

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このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272