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2.日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2023年3月10日

2.日本の品目別主要輸入先国の動向

2023年3月

 本稿中の為替レートは2023年1月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=131.47円、1タイバーツ=4.06円、1ユーロ=143.06円である。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
ブラジルが米国を抜いて最大の輸出国、期末在庫は前月に続き3億トンを下回る

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年2月8日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億5136万トン(前年度比5.3%減)と前月から457万トン下方修正され、前年度をやや下回ると見込まれている。地域別に見ると、フィリピンやベトナムなどが増産により上方修正されたものの、主産地のアルゼンチンは、12月から1月中旬にかけて猛暑と干ばつが続いたことで減産が見込まれ、前月から500万トン下方修正されている。

 輸入量は、世界全体で1億7700万トン(同4.1%減)と前月から155万トン上方修正されたものの、前年度からやや減少すると予測されている。地域別に見ると、ベトナムやインドネシア、マレーシアなどが前月から下方修正されたものの、EUは前月から上方修正された。

 消費量は、世界全体で11億6237万トン(同3.3%減)と前月から310万トン下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。地域別に見ると、最大の消費国である中国は前月から据え置かれ、EUが前月から上方修正されたものの、ブラジル、アルゼンチンなどが前月から下方修正された。

 輸出量は、世界全体で1億8107万トン(同11.6%減)と前月から290万トン上方修正されたものの、前年度からかなり大きく減少すると予測されている。地域別に見ると、減産の影響を受けたアルゼンチンは前月から下方修正されたものの、EU向けの増加が見込まれるブラジルやウクライナなどが前月から上方修正された。特にブラジルは、アルゼンチンの減産や米国の出荷低迷を受け、世界最大の輸出国である米国を上回る5000万トン(同4.2%増)と増加が見込まれている。

 この結果、期末在庫は2億9528万トン(同3.6%減)と前月から114万トン下方修正され、前月に引き続き3億トンを下回ると見込まれている。

 

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米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
米国の輸出量は前月に引き続き前年度比22.1%減と大幅に減少する見込み

 USDA/WAOBは2023年2月8日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表3)。

 生産量は、137億3000万ブッシェル(3億4876万トン(注)、前年度比8.9%減)と前月から据え置かれ、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。

 消費量は、エタノールでの利用減少を受けて119億6500万ブッシェル(3億392万トン、同4.2%減)と前月から2500万ブッシェル(64万トン)下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。

 輸出量は、19億2500万ブッシェル(4890万トン、同22.1%減)と前月から据え置かれ、前年度から大幅に減少すると見込まれている。

 この結果、期末在庫は、12億6700万ブッシェル(3217万トン、同8.0%減)と前月から2500万ブッシェル(64万トン)上方修正されたものの、前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。

 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、9.1%(同0.1ポイント減)と前月から若干回復したものの、依然として前年度を下回ると予測されている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.70米ドル(881円。1キログラム当たり34.7円)と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく上昇し、引き続き高値が予測されている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。

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【貿易動向:トウモロコシ】
輸出量は6カ月ぶりに増加に転じ、輸出価格は前月に引き続き上昇

 2022年11月の米国のトウモロコシ輸出量は、243万9795トン(前年同月比46.2%減、前月比16.7%増)と前年同月から大幅に減少したものの前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり336.1米ドル(4万4187円、同25.3%高、同2.8%高)と前月に引き続き上昇した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB※価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
※Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。

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【貿易動向:コーンスターチ】
輸出量は前月から大幅に減少し、価格は7年7カ月ぶりに900米ドルを突破

 2022年11月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万3241トン(前年同月比7.0%減、前月比33.5%減)と前年同月からかなりの程度、前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり950.8米ドル(12万5002円、同44.8%高、同12.8%高)と15年4月以来7年7カ月ぶりに900米ドルを上回った。

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 なお、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国の代表的市場の一つである中西部市場における22年11月の製粉業者の純費用(Net Cost)は、1ポンド当たり10.72米セント(注)(14.1円、前年同月比13.3%高、前月比2.9%安)と前年同月からかなり大きく上昇したものの、前月からわずかに下落した。

(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。

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タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2022/23年度のキャッサバ生産量は前年度からわずかに増加する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2022年12月)(注1)によると、2022/23年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は1011万ライ(162万ヘクタール(注2)、前年度比1.9%増、前月比0.2%減)、単収は1ライ当たり3.44トン(同0.3%増、同0.3%減)とそれぞれ前月から下方修正されたことで、生産量は3475万トン(同2.2%増、同0.6%減)と前月から下方修正された。しかし、前年度からはわずかな増加が見込まれている(表6)。

(注1)直近の情報を入手できなかったため、前月号の内容を再掲載する。
(注2)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。

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【価格動向】
国内価格は反発して上昇傾向

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2023年2月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり16.9バーツ(69円、前年同期比11.9%高、前週比1.2%高)と前年同期からかなり大きく上昇し、昨年下半期の下落傾向から反発して上昇に転じている(図3)。国内価格は22年4月以降、原料費や燃料費の上昇により急騰し、7月第3週を境に下落に転じたが、キャッサバ関連製品の堅調な中国向け輸出も含めて国内外の需要が高いことから、2月以降の価格は高い水準で推移すると見込まれている。

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【貿易動向】
輸出量は前月から減少し、輸出価格は反発

 2022年12月のタピオカでん粉輸出量は、25万6989トン(前年同月比33.8%減、前月比24.1%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり495米ドル(6万5078円、同1.6%高、同1.6%高)と前月から反発したものの、500米ドルを下回っている。
 

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ベトナム

【生産動向】
各地でキャッサバの収穫作業が進む

 ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、同国では先月に引き続き各地でキャッサバの収穫作業が進む中、一部で次期作の植え付けが始まっている。

 北部地域で最も生産が盛んなソンラ省では、収穫作業と併せてでん粉工場へのキャッサバの搬入も進んでいる。一方で、タインホア省やゲアン省では、キャッサバ収穫の最盛期を迎えていたが、降雨とキャッサバモザイク病(注1)のまん延により、収量が2021年から3〜4割程度減少すると予測されており、タインホア省やゲアン省などの一部のでん粉工場では、ソンラ省産のキャッサバを調達しているとされている。

 中部地域では、キャッサバの収穫を終えて次期作のキャッサバの植え付けを開始しているところも見られる。同国で最も作付面積の大きなザライ省の業者によると、22年のキャッサバ収量は1ヘクタール当たり15〜18トンで、生育期の多雨により11〜13トンと低水準だった前年度から増加する見込みとのことである。

 南部地域では、作付面積が同国第2位のタイニン省でキャッサバの収穫が終了しており、作付面積は6万1200ヘクタール(前年比3.3%増)と増加し、生産量も200万トンを上回り、前年から4%以上増加したと推測されている。

 また、キャッサバモザイク病は12月15日現在、同国の中央直轄5都市および58省のうち1市17省などの合計5万1021ヘクタールで感染が確認され、前月比で7.6%の減少となったものの、引き続き被害の発生が懸念されている(注2)

(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。
【貿易動向】
12月の輸出量は前月から大幅に増加し、輸出価格はかなりの程度下落

 AgroMonitorによると、2022年12月のタピオカでん粉輸出量は、29万8926トン(前年同月比63.0%増、前月比16.4%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同国の主要国・地域別輸出量は表8の通りである。

 同月の輸出価格(CFR(注)・中国向け)は、1トン当たり431米ドル(5万6664円、同17.0%安、同2.0%安)と7月以降6カ月続けて下落した。

(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、コンテナ輸送貨物に使われることが多い。
 

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ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
輸出量は前月から減少し、価格は900ユーロ台目前

 2022年11月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万7200トン(前年同月比31.2%減、前月比14.7%減)と前年同月から大幅に、前月からかなり大きく減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり888ユーロ(12万7037円、同51.0%高、同3.8%高)と800ユーロ台後半まで上昇した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

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コラム 欧州主要国のでん粉生産動向−オランダのでん粉原料用ばれいしょ−


 オランダのでん粉原料用ばれいしょは、北部のドレンテ州およびフローニンゲン州が主要生産地であり、それぞれ国内作付面積の全体の52%および34%を占め、両地域だけで8割以上を占める(コラム−図)。また、主要なばれいしょでん粉メーカーであるAvebe社も、でん粉原料用ばれいしょの生産が盛んなドレンテ州およびフローニンゲン州にそれぞれ1工場を有し、ばれいしょでん粉の製造を行っている。

 オランダの環境評価庁(PBL)が2020年12月に公開した報告書によると、工場の年間加工処理能力はそれぞれ約120万トンであり、同社はオランダのほかにドイツおよびスウェーデンに生産拠点を持っているとしている。

 

 同国の国家統計局(CBS)によると、でん粉原料用ばれいしょの作付面積は4万5000ヘクタール前後、単収は1ヘクタール当たり40トン前後で推移しており、生産量も155万〜190万トンの間で比較的安定しているといえる(コラム−表)。

 2021年は前年から作付面積および単収ともに増加したことで増産したが、22年の作付面積は減少している。22年10月21日の現地報道によると、当初は夏の干ばつの影響が懸念されていたが、でん粉原料用ばれいしょの収穫は順調に進んでおり、平均でん粉含有量も21%と前年より1ポイント高くなっているとされる。
 
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国・地域による主要仕向け先別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
12月の輸出量は10万トンを下回る

 2022年12月の化工でん粉の輸出量は、8万4395トン(前年同月比17.1%減、前月比17.7%減)と前年同月および前月から大幅に減少し、再び10万トンを下回った。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表10の通りである。

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米国

【貿易動向】
11月の輸出量は前月からかなりの程度増加

 2022年11月の化工でん粉の輸出量は、2万6313トン(前年同月比4.4%減、前月比8.6%増)と前年同月からやや減少したものの、前月からかなりの程度増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表11の通りである。

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中国

【貿易動向】
輸出量は7カ月連続で1万トンを超過

 2022年12月の化工でん粉の輸出量は、1万3115トン(前年同月比33.2%増、前月比15.9%減)と前月からかなり大きく減少したものの、2年10カ月ぶりに1万トンを超過した6月から7カ月連続で1万トン台を推移し、ロシア向けの輸出の伸びが顕著となっている。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表12の通りである。

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EU

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月から大幅に、前月からかなりの程度減少

 2022年11月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万5402トン(前年同月比19.8%減、前月比6.7%減)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度減少した。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表13の通りである。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

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豪州

【貿易動向】
11月の輸出量は米国向けが前月から大幅に増加

 2022年11月の化工でん粉の輸出量は、2642トン(前年同月比18.6%減、前月比64.1%増)と前年同月から大幅に減少したものの、米国向けが増えたことから前月から大幅に増加した。同月の主要輸出国・地域別の輸出量は表14の通りである。

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