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2.日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2023年5月10日

2.日本の品目別主要輸入先の動向

 本稿中の為替レートは2023年3月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=134.53円、1タイバーツ=3.99円、1ユーロ=147.22円である。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
アルゼンチンの生産量が5年ぶりに4000万トンを下回る見込み

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年4月11日、2022/23年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は11億4450万トン(前年度比6.0%減)と前月から302万トン下方修正され、前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。地域別に見ると、アルゼンチンやEUなどで前月から下方修正された。アルゼンチンでは猛暑と干ばつが続き、3月下旬に局地的な降雨があったものの、作付面積全体の3分の2を占める遅()きトウモロコシの単収減により、前月から300万トン下方修正されて3700万トン(同25.3%減)と前年度から大幅に減少すると見込まれている。また、EUではドイツとポーランドの生産量が上方修正されたものの、ハンガリー、イタリアおよびブルガリアの生産量の下方修正がそれを上回った。

 輸入量は、世界全体で1億7397万トン(同5.8%減)と前月から51万トン下方修正され、前年度からやや減少すると予測されている。地域別に見ると、減産見込みを受けてEUやウルグアイなどで前月から上方修正されたものの、飼料用需要の減少が予測されるエジプトや、メキシコからの輸入量の減少が見込まれるベネズエラで前月から下方修正された。

 消費量は、世界全体で11億5606万トン(同3.9%減)と前月から69万トン下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。地域別に見ると、最大の消費国である中国は前月から据え置かれ、米国などで下方修正された。

 輸出量は、世界全体で1億7379万トン(同15.5%減)と前月から92万トン下方修正され、前年度からかなり大きく減少し、20/21年度の水準も下回ると予測されている。地域別に見ると、増産が見込まれるロシアや、黒海穀物イニシアティブ(注)の延長を受けて引き続き黒海経由の安全な輸出が可能となったウクライナの輸出量が前月から上方修正された。一方で、減産が見込まれるアルゼンチンやセルビアなどの輸出量が減少した。

 この結果、期末在庫は2億9535万トン(同3.8%減)と前月から111万トン下方修正され、引き続き3億トンを下回ると見込まれている。
 
(注)ウクライナとロシアが国連とトルコの仲介の下で署名した穀物と肥料の安全な輸出航路の確保に関する協定であり、22年7月から実施され、今回で2度目の延長となる。詳細については、2023年3月27日付け海外情報「ウクライナ産穀物の動向〜黒海穀物イニシアティブの延長〜(ウクライナ)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003485.html)を参照されたい。

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米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
米国の輸出量は前年度比25.1%減と前月から据え置き

 USDA/WAOBは2023年4月11日、2022/23年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表3)。

 生産量は、137億3000万ブッシェル(3億4876万トン(注)、前年度比8.9%減)と前月から据え置かれ、前年度からかなりの程度減少すると見込まれている。

 消費量は、119億5500万ブッシェル(3億367万トン、同4.2%減)と、でん粉用途向けなどを含む食品・種子・その他工業向けが前月から1000万ブッシェル(25万トン)下方修正され、前年度からやや減少すると見込まれている。

 輸出量は、18億5000万ブッシェル(4699万トン、同25.1%減)と前月から据え置かれ、前年度から大幅に減少すると見込まれている。

 期末在庫は、消費量の減少に加えて輸入量も1000万ブッシェル減少したため、13億4200万ブッシェル(3408万トン、同2.5%減)と前月から据え置かれ、前年度をわずかに下回ると見込まれている。

 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)も前月から据え置かれ、9.7%(同0.5ポイント増)と、引き続き前年度をわずかに上回ると予測されている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり6.60米ドル(888円。1キログラム当たり35.0円)とこちらも前月から据え置かれ、前年度からかなりの程度上昇し、引き続き高値が予測されている。

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月31日に公表した穀物の作付け予想によると、来期(23年)のトウモロコシの作付面積は9200万エーカー(3723万ヘクタール、前年比3.9%増)と前年からやや増加すると見込まれている。アイオワ州やイリノイ州といった主産地では20万エーカー(8万ヘクタール)ほど増加するほか、48州中40州で増加または据え置きが予想されている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。

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【貿易動向:トウモロコシ】
輸出量は前月からかなり大きく減少、輸出価格は3カ月ぶりにわずかに下落

 2023年1月の米国のトウモロコシ輸出量は、318万5247トン(前年同月比46.1%減、前月比14.0%減)と前年同月から大幅に、前月からかなり大きく減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり334.3米ドル(4万4973円、同24.2%高、同2.9%安)と3カ月ぶりに下落した。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。

※Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。

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【貿易動向:コーンスターチ】
輸出量は前月からかなりの程度増加し、価格は970米ドルまで上昇

 2023年1月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万6935トン(前年同月比13.8%増、前月比6.9%増)と前年同月からかなり大きく、前月からかなりの程度増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり970.0米ドル(13万494円、同43.2%高、同9.2%高)と前月からかなりの程度上昇した。

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国中西部市場における23年1月のコーンスターチ価格(注1)は、1ポンド当たり19.33米セント(注2)(26.0円、前年同月比5.6%高、前月比0.9%安)と前年同月からやや上昇し、前月からわずかに下落した。

(注1)今月号より、「米国中西部市場における製粉業者の純費用」から「米国中西部市場におけるコーンスターチ価格」に切り替えます。製粉業者の純費用については、以下のUSDAホームページにてご確認ください。〈https://www.ers.usda.gov/data-products/sugar-and-sweeteners-yearbook-tables.aspx
(注2)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。

 

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タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
2022/23年度のキャッサバ生産量は前年度からわずかに減少する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2023年3月)によると、2022/23年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は973万ライ(156万ヘクタール(注)、前年度比1.9%減)、単収も1ライ当たり3.43トン(同0.2%減)と前年度からの減少が見込まれることから、生産量は3336万トン(同2.1%減)と、1月から下方修正された予測が維持されている(表6)。なお、現地報道によると、22年8〜10月頃の大雨で約123万ライ(19.7万ヘクタール)のキャッサバ()場で被害を受けたと言われており、被害の発生を恐れた一部の生産者で収穫を早めたことが収穫面積や単収の減少要因となったと考えられる。
 
(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。

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【価格動向】
国内価格は、過去10年で最高記録を更新

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2023年4月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり17.8バーツ(71円、前年同期比14.1%高、前週比同)と前年同期からかなり大きく上昇し、高値を維持している(図3)。国内価格は、22年4月以降、原料費や燃料費の上昇や、キャッサバ関連製品の堅調な中国向け輸出も含めて国内外の需要が高いことから急騰している。また、タイ農業・農業協同組合銀行(BAAC)研究・イノベーション開発センターによると、栽培期間中の洪水や病害虫による被害のリスクを見込み、早めに収穫する農家もいるため、キャッサバの収量が減少する懸念が価格上昇の一因としている。

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【貿易動向】
輸出価格は3カ月連続で上昇

 2023年2月のタピオカでん粉輸出量は、26万2969トン(前年同月比25.8%減、前月比24.0%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり525米ドル(7万628円、同6.6%高、同4.2%高)と7カ月ぶりに520米ドルを上回る水準となった。

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ベトナム

【生産動向】
各地でキャッサバの収穫は終盤を迎え、次期作の作付けが進む

 ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、同国では各地でキャッサバの収穫作業が終盤を迎える中、先月に引き続き次期作の作付けが進んでいる地域もある。

 北部地域で最も生産が盛んなソンラ省では、キャッサバの乾燥に適した気候だったことにより、乾燥時間が短くなったことから2月前半からでん粉工場への搬入数量が増加した。2月末には全体の8割の面積で収穫を終え、概ね作業は終了し、今後、次期作の植え付けが進むと見込まれている。

 中部地域では、キャッサバの価格が上昇を続ける中、多くの生産者がさらなる上昇を期待して収穫作業を遅らせる傾向にあり、でん粉工場への搬入数量が少なくなったものの、3月末から4月上旬に収穫作業が終了すると見込まれている。また、灌漑(かん がい)用水を積極的に確保できた生産者や適度な降雨があった地域では、次期作の作付け作業も進んだとみられている。

 南部地域では、作付面積が同国第2位のタイニン省でキャッサバの収穫が終了しており、次期作の作付けが進められている。現地の報告によると、引き続きカンボジアやラオスからの輸入キャッサバがでん粉工場に搬入され、でん粉工場における原料不足が補われたといわれている。2月は1日あたり1万〜1万5000トンのキャッサバが両国からベトナムとの国境に運ばれたが、両国のキャッサバの収穫も終盤を迎えていることから、1日当たり2万トン以上が運ばれた最盛期と比較すると大きく減少しているとのことである。

 また、キャッサバモザイク病(注1)は2月23日現在、同国の中央直轄5都市および58省のうち1市13省などの合計4万8308ヘクタールで感染が確認され、前月比で21.8%の増加となり、引き続き同病による被害の発生が懸念されている(注2)
 
(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。

 
【貿易動向】
2月の輸出量は前月から大幅に増加し、輸出価格はやや上昇

 AgroMonitorによると、2023年2月のタピオカでん粉輸出量は、27万1505トン(前年同月比91.0%増、前月比56.6%増)と前年同月および前月から大幅に増加した。同国の主要国・地域別輸出量は表8の通りである。

 同月の輸出価格(CFR(注)・中国向け)は、1トン当たり456米ドル(6万1346円、同9.0%安、同5.1%高)と前月に引き続き上昇した。

(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、コンテナ輸送貨物に使われることが多い。

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ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
輸出量は前月から大幅に増加し、輸出価格は900ユーロ後半まで上昇

 2023年1月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万2083トン(前年同月比10.8%増、前月比26.2%増)と前年同月からかなりの程度、前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり976ユーロ(14万3687円、同42.4%高、同8.1%高)と4カ月連続して上昇した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

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コラム 欧州主要国のでん粉生産動向−フランスのばれいしょでん粉−

 フランスのばれいしょ加工業者団体(GIPT)によると、2021/22年度のでん粉原料用ばれいしょの生産量は111万3000トンと前年度から16.3%増加しており、ここから、ばれいしょでん粉の生産量は22万3000トンと試算される(注1)(コラム−表)。同国では、グラン・テスト地域圏に位置するTereos社の1工場と、ばれいしょの最大生産地であるオー・ド・フランス地域圏に位置するRoquette社の1工場の計2工場でばれいしょでん粉が生産されている(コラム−図)。Tereos社は、21/22年度のばれいしょ加工量を約40万トンとし、8万トンのばれいしょでん粉や3800トンのポテトプロテインなどを生産したと公表している。一方、Roquette社は加工量や生産量を公表していないものの、同社とばれいしょの供給契約を締結している農業協同組合は、同社との契約数量が71万トンであると公表しており、ばれいしょでん粉生産量を試算すると14万トン程度と推測される(注2)。

(注1)フランスでん粉協会(USIPA)によるでん粉製造における歩留まり率2割程度を基に、農畜産業振興機構が試算。
(注2)同国の生産量22万3000トン(推測値)から、Tereos社の8万トンを差し引いた量と概ね合致。

 




 

 同国のばれいしょ生産者連盟(UNPT)とばれいしょ生産者協会(CNIPT)は、21/22年度のばれいしょ生産について、昨夏の猛暑および干ばつの影響により単収が1ヘクタール当たり39.2トンと前年度の44.8トンから大幅に減少し、過去27年間で最低水準を記録したと公表した。また、このような単収の減少や生産コストの高騰などを背景とした転作などの影響を受けてUNPTは、でん粉原料用ばれいしょの作付面積は22年に2万ヘクタールであったものが、23年に1万7500ヘクタール、24年には1万5500ヘクタールと、3年間で4分の3程度の規模にまで縮小すると予測している。さらにUNPTは、こうした傾向は、ばれいしょでん粉産業の存続に多大な影響を与えるとして、でん粉原料用ばれいしょの生産者に対するカップル支払い(注3)を1ヘクタール当たり84ユーロ(1万2366円)から500ユーロ(7万3610円)への暫定的な引き上げを要求している。また、GIPTも、上記2工場での原料(ばれいしょ)確保が困難になるとして、カップル支払いの引き上げについて大統領あてに書簡を送っている。これらの動きに対し同国の農業・食料主権省は、実施は困難だとしつつも、でん粉原料用ばれいしょ農家の減少は、ばれいしょでん粉産業の長期的な存続への脅威となるとして、関係者と連携して課題解決に向けて努めるとの見解を示している。
 
(注3)EU加盟国では、共通農業政策(CAP)の下、各国に分配される予算内で、決められた単価をもとに生産量に応じて補助金が直接農家に支払われており、これをカップル支払いという。フランスではでん粉原料用作物がその対象となっている。
 
※農業者の所得を保障するための「価格・所得政策」(価格支持〈最低価格の保障〉と直接支払い〈農業者の収入の保障〉)と農業部門の構造改革や農業環境施策などを実施する「農村振興政策」の二本の柱から成り立っている。
 
 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要国・地域別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
2月の輸出量は前月からかなりの程度増加

 2023年2月の化工でん粉の輸出量は、8万5424トン(前年同月比9.4%減、前月比8.9%増)と前年同月からかなりの程度減少したものの、前月からかなりの程度増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表10の通りである。

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米国

【貿易動向】
1月の輸出量は前月からやや減少

 2023年1月の化工でん粉の輸出量は、2万3799トン(前年同月比16.7%減、前月比5.6%減)と前年同月から大幅に、前月からやや減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表11の通りである。

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中国

【貿易動向】
輸出量は9カ月連続で1万トンを超過

 2023年2月の化工でん粉の輸出量は、1万5095トン(前年同月比92.9%増、前月比21.1%増)と前月から大幅に増加し、2年10カ月ぶりに1万トンを超過した6月から9カ月連続で1万トン台を推移し、ロシア向けの輸出の伸びが顕著となっている。同月の主要国・地域別の輸出量は表12の通りである。

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EU

【貿易動向】
1月の輸出量は前月からわずかに減少し、輸出価格は9カ月連続上昇

 2023年1月の化工でん粉の輸出量(注)は、3万9575トン(前年同月比18.5%減、前月比1.9%減)と前年同月から大幅に、前月からわずかに減少した。同月の主要国・地域別の輸出量は表13の通りである。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

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豪州

【貿易動向】
1月の輸出量は前月から大幅に増加

 2023年1月の化工でん粉の輸出量は、3458トン (前年同月比13.8%増、前月比49.2%増)と前年同月からかなりの程度、前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別の輸出量は表14の通りである。

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このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272