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2. 日本の品目別主要輸入先の動向

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最終更新日:2023年7月10日

2. 日本の品目別主要輸入先の動向

2023年7月

 本稿中の為替レートは2023年5月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=140.77円、1タイバーツ=4.11円、1ユーロ=151.54円、1ベトナムドン=0.00596円(同日参考相場)である。

(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
ウクライナの増産見込みなどから、期末在庫はやや増加

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年6月9日、2023/24年度の世界のトウモロコシ需給予測値を公表した(表2)。

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億2277万トン(前年度比6.3%増)と前月から314万トン上方修正され、前年度をかなりの程度上回り、過去最高が見込まれている。地域別に見ると、米国やブラジルなど主要生産国がいずれも前月から据え置かれた中で、ウクライナは同国政府が作付面積および生産量の増加見込みを発表したことを踏まえ、前月から250万トン上方修正された。

 輸入量は、EUで需要の増加に対して生産が低迷していることから、輸入が増加すると見込まれ、世界全体で1億8700万トン(同6.8%増)と前月から250万トン上方修正された。

 消費量は、世界全体で12億635万トン(同3.7%増)と前月から221万トン上方修正され、過去最高が見込まれている。地域別に見ると、米国や中国など主要消費国がいずれも前月から据え置かれた中で、EUは需要の増加見込みにより前月から200万トン上方修正された。

 輸出量は、増産が見込まれるウクライナが前月から250万トン上方修正されたことを反映し、世界全体で1億9776万トン(同12.0%増)と前月から250万トン上方修正された。

 この結果、期末在庫は3億1398万トン(同5.5%増)と前月から108万トン上方修正され、前年度からやや増加すると見込まれている。

 例年、6月公表の需給予測値では、大きな修正は行われない傾向にあるが、今回の予測では、22/23年度の米国の輸出量が127万トン下方修正されたことなどから期末在庫が上方修正され、23/24年度の期末在庫に反映される形となった。一方で、中国農業農村部が同日に公表した23/24年度のトウモロコシ需給見通しによると、生産量はUSDA予測値をわずかに上回る2億8234万トン、輸入量はこれを下回る1750万トンとされている。このため、トウモロコシの国際相場に影響する今後の同国の需給動向次第では、期末在庫のさらなる上乗せも想定される。

 

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
22/23年度の輸出量の下方修正などから、23/24年度の期末在庫は増加

 米国農務省世界農業観測ボードUSDA/WAOBは2023年6月9日、2023/24年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表3)。

 生産量は、152億6500万ブッシェル(3億8775万トン(注)、前年度比11.2%増)と前月から据え置かれ、前年度からかなり大きく増加し、過去最高が見込まれている。

 消費量は、123億8500万ブッシェル(3億1459万トン、同3.6%増)と前月から据え置かれ、前年度からやや増加すると見込まれている。

 輸出量は、21億ブッシェル(5334万トン、同21.7%増)と前月から据え置かれ、前年度から大幅に増加すると見込まれている。

 期末在庫は、22/23年度の輸出量が5000万ブッシェル(127万トン)下方修正されたことなどから22/23年度が上方修正され、23/24年度にも反映される形となり、22億5700万ブッシェル(5733万トン、同55.4%増)と前年度から大幅に増加し、16/17年度以来の高水準が見込まれている。

 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、15.6%(同5.0ポイント増)と前月から0.3ポイント上方修正され、前年度を大幅に上回る水準が予測されている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.80米ドル(676円。1キログラム当たり26.6円、同27.3%安)と、前月から据え置かれ、前年度から大幅に下落すると見込まれている。
 
(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。

 

【貿易動向:トウモロコシ】
輸出量は前月から大幅に増加し、輸出価格は3カ月連続下落

 2023年3月の米国のトウモロコシ輸出量は、495万3078トン(前年同月比33.6%減、前月比50.6%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり319.4米ドル(4万4962円、同4.4%高、同0.8%安)と3カ月続けて下落し、22年9月の水準にまで落ち込んだ。
 
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる(FOB※価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
 ※Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。

 

 

【貿易動向:コーンスターチ】
輸出価格は先月に引き続き1000米ドル台と高水準

 2023年3月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万7181トン(前年同月比20.3%増、前月比9.6%増)と前年同月から大幅に、前月からかなりの程度増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり1000.3米ドル(14万812円、同30.8%高、同0.9%安)と前月から下落したものの、1000米ドル台を維持した。

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国中西部市場における23年3月のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり19.90米セント(注)(28.0円、前年同月比2.3%高、前月比1.5%高)と前年同月および前月からわずかに上昇した。
 
(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。

 

 

 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
キャッサバ生産量は前月予測から据え置かれ、前年度からやや減少する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2023年5月)によると、2022/23年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は973万ライ(156万ヘクタール(注)、前年度比1.9%減)、単収は1ライ当たり3.36トン(同2.1%減)、生産量は3273万トン(同3.9%減)と前月から据え置かれた(表6)。
 
(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。



【価格動向】
国内価格は18バーツ台を推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2023年6月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり18.4バーツ(76円、前年同期比5.1%高、前週比同)と前年同期からやや上昇した(図3)。国内価格は22年4月以降、原料費や燃料費の上昇に加えて、キャッサバ関連製品の堅調な中国向け輸出も含めた国内外の需要が高いことから高水準で推移している。

        

【貿易動向】
輸出価格は高水準を推移

 2023年4月のタピオカでん粉輸出量は、15万1426トン(前年同月比46.5%減、前月比40.5%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり551米ドル(7万7564円、同9.4%高、同2.1%高)と前月に引き続き高水準で推移し、18年5月以来となる550米ドルを超える水準となった。
 

 

 

ベトナム

【生産動向】
北部地域で干ばつが発生

 北部地域では、2月から3カ月近く高温で乾燥した気候が続いたことで、主産地であるソンラ省やタインホア省の作付け作業が例年より遅れている(以下、ベトナムの民間調査会社〈AgroMonitor〉による)。これら多くの地域では、干ばつ対策が実施されているものの、灌漑(かん がい)用水の不足から再植が余儀なくされており、苗不足が深刻化している。高温乾燥気候は5月中旬まで続くと見込まれ、前年からの作付面積の拡大(20.5%増)が予測されているソンラ省を含め、北部地域のキャッサバの作付けペースや作付面積への影響が懸念されている。

 中部地域北方のゲアン省では、ハダニ類の被害に対して注意が呼びかけられている。乾季に発生するハダニ類は葉を枯死させ、キャッサバの収量減につながるとされており、同省では最近、乾燥気候が続いているため、大規模なハダニ類の発生が懸念されている。同省農業農村開発局は、被害が確認された場合には、早急に被害のあった葉や害虫の生息環境となる雑草の除去や薬剤散布が必要であるとして注意を促している。

 南部地域では、作付面積が同国第2位となるタイニン省の一部地域で、例年より早めに収穫作業を開始したと報道されている。また、現地の加工工場によると、早期収穫されたキャッサバはでん粉含有量が少ないため、今年度の買取単価は、昨年の平均買取単価である1キログラム当たり3900ベトナムドン(23.2円)を下回る同2500ベトナムドン(14.9円)程度とされている。それでも、昨年の収穫開始時期に大雨でキャッサバが腐敗するなどの被害を受けた地域では、圃場(ほ じょう)近くに排水施設がない一部の生産者が、大雨による腐敗を恐れ安値で販売する動きが出ている。

 また、キャッサバモザイク病(注1)は4月27日現在、同国の中央直轄5都市および58省のうち15省などの合計5万8893ヘクタールで感染が確認され、前月比で11.7%増加し、引き続き同病による被害の発生が懸念されている(注2)
 
(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。
 

【貿易動向】
4月の輸出量は前月から大幅に減少し、輸出価格はかなりの程度上昇

 AgroMonitorによると、2023年4月のタピオカでん粉輸出量は、10万2801トン(前年同月比34.4%減、前月比27.0%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同国の主要国・地域別輸出量は表8の通りである。

 同月の輸出価格(CFR(注)・中国向け)は、1トン当たり499米ドル(7万244円、同2.5%安、同7.3%高)と前月からかなりの程度上昇し、500米ドル付近にまで回復した。
 
(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、コンテナ輸送貨物に使われることが多い。
 

 

 

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
輸出量は前月から大幅に減少し、価格は6カ月連続上昇

 2023年3月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万2784トン(前年同月比9.8%増、前月比28.9%増)と前年同月からかなりの程度、前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり1084ユーロ(16万4269円、同61.1%高、同4.7%高)と6カ月連続して上昇した。21年5月以降、輸出価格は上昇基調にあり、約2年で2倍の水準となった(21年5月:同530ユーロ)。
 
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

 

 

コラム 欧州主要国のでん粉原料用ばれいしょ生産動向−デンマーク−

 世界最大のばれいしょでん粉生産地域である欧州では、ドイツ、オランダ、デンマークおよびフランスの4カ国が主産国と位置付けられている。本コラムでは、この中のデンマークのばれいしょの生産動向について紹介する。

 同国のばれいしょ生産量は、2018年の約181万トンから22年の約262万トンと5年間で5割弱の増加となった。食の多様化により、若者を中心にばれいしょを食する頻度が減少しているとされる中で生食用向けが減少した一方、ポテトチップスを含むでん粉・加工用向けのばれいしょは5年間で6割近く増加している。また、昨年、欧州で発生した熱波・干ばつが同国の農業生産にも大きな影響を及ぼしたが、他の欧州地域に比べてある程度の降雨があり、ばれいしょの栽培条件が整っていたことから、単収への影響は軽微なものになったとみられる。

 他国では、この熱波・干ばつによりばれいしょが減産となり、また、コーンスターチも価格の高騰から入手が困難とされる中で、ばれいしょでん粉の需要は増加しており、2022/23年度の欧州のばれいしょでん粉在庫の減少が見込まれている。こうした背景から、ばれいしょでん粉の販売などを手掛ける同国大手のKMC社によると、23年の同国のでん粉原料用ばれいしょ作付面積は若干の増加が予想されており、天候の安定などを前提に、単収も引き続き好調が持続されると見込まれている。

    

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要国・地域別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
4月の輸出量は前月から大幅に減少

 2023年4月の化工でん粉の輸出量は、6万7705トン(前年同月比25.3%減、前月比37.0%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表10の通りである。

 

 

米国

【貿易動向】
3月の輸出量は前月から大幅に増加

 2023年3月の化工でん粉の輸出量は、2万6166トン(前年同月比6.4%減、前月比21.6%増)と前年同月からかなりの程度減少したものの、前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表11の通りである。

 

 

中国

【貿易動向】
輸出量は11カ月連続で1万トンを超過

 2023年4月の化工でん粉の輸出量は、1万5334トン(前年同月比83.8%増、前月比1.9%増)と前年同月から大幅に、前月からわずかに増加した。この1年近くの間1万トン台で推移し、ロシア向けの輸出の伸びが顕著な中、今月はフィリピン向けなどが伸びた。同月の主要国・地域別の輸出量は表12の通りである。

 

 

EU

【貿易動向】
3月の輸出量は前月からかなり大きく増加

 2023年3月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万7183トン(前年同月比11.7%減、前月比11.8%増)と前年同月からかなり大きく減少したものの、前月からかなり大きく増加した。同月の主要国・地域別の輸出量は表13の通りである。
 
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

 

 

豪州

【貿易動向】
3月の輸出量は前月から大幅に減少

 2023年3月の化工でん粉の輸出量は、2234トン(前年同月比46.1%減、前月比21.8%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別の輸出量は表14の通りである。

 

 

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