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2. 日本の品目別主要輸入先の動向

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最終更新日:2023年8月10日

2. 日本の品目別主要輸入先の動向

2023年8月

 本稿中の為替レートは2023年6月末日TTS相場(注)の値であり、1米ドル=145.99円、1タイバーツ=4.15円、1ユーロ=159.10円である。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の月末TTS相場。
 

トウモロコシ・コーンスターチ

世 界

【需給動向:トウモロコシ】
米国などの増産見込みを受けて期末在庫は前年度からかなりの程度増加

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年7月12日、2023/24年度の世界のトウモロコシ需給予測値を公表した(表2)。

 これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億2447万トン(前年度比6.4%増)と前月から170万トン上方修正され、前年度をかなりの程度上回り、過去最高が見込まれている。地域別に見ると、EUでは作付面積の減少を受けて生産量が下方修正された一方で、米国では当初予測を上回る作付面積の増加が乾燥による単収の減少を補うことで増産が見込まれている。

 輸入量は、世界全体で1億8840万トン(同7.6%増)と前月から140万トン上方修正された。地域別に見ると、生産量が前月から下方修正されたEUは、需要増を背景に150万トン上方修正され、その結果、中国を抑えて世界最大のトウモロコシ輸入地域になると見込まれている。

 消費量は、世界全体で12億665万トン(同3.6%増)と前月から30万トン上方修正され、過去最高が見込まれている。地域別に見ると、米国や中国など主要消費国がいずれも前月から据え置かれた中で、EUは前月から60万トン上方修正された。

 輸出量は、生産量が前月から上方修正されたウクライナの輸出量の増加などが反映され、世界全体で1億9826万トン(同12.3%増)と前月から50万トン上方修正された。

 この結果、期末在庫は3億1412万トン(同6.0%増)と前月から14万トン上方修正され、前年度からかなりの程度増加すると見込まれている。
 
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米 国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
23/24年度の作付面積は1944年以来3番目の拡大見込み

 USDA/WAOBは併せて、2023/24年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表3)。

 生産量は、作付面積の上方修正を受けて、153億2000万ブッシェル(3億8914万トン(注)、前年度比11.6%増)と前月から5500万ブッシェル(140万トン)上方修正され、過去最高が見込まれている。

 消費量は、123億8500万ブッシェル(3億1459万トン、同2.5%増)と前月から据え置かれ、前年度からわずかに増加すると見込まれている。

 輸出量は、21億ブッシェル(5334万トン、同27.3%増)と前月から据え置かれ、前年度から大幅に増加すると見込まれている。

 期末在庫は、22億6200万ブッシェル(5746万トン、同61.3%増)と前月から微増、また、前年度から大幅に増加し、16/17年度以来の高水準が見込まれている。

 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、15.6%(同5.4ポイント増)と前月から据え置かれ、前年度を大幅に上回る水準が予測されている。

 生産者平均販売価格は、生産量が上方修正されたものの1ブッシェル当たり4.80米ドル(701円。1キログラム当たり27.6円、同27.3%安)と前月から据え置かれたが、増産見込みや期末在庫の回復などを背景に前年度からは大幅に下落すると見込まれている。

 今回の作付面積の上方修正は、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月30日に公表した調査結果に基づいており、9410万エーカー(3808万ヘクタール)は1944年以来、米国で過去3番目となる広さと言われている。一方で、6月のトウモロコシ主産地域の降水量は平年より極端に減少したことなどから、単収は前月から下方修正された。7月に入り、降雨や気温の低下なども見られ、今後、重要な受粉の時期を迎える中で、引き続き産地の天候が注目されている。

 
(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
 
2
【貿易動向:トウモロコシ】
輸出量は前月からわずかに増加し、輸出価格は4カ月連続下落

 2023年4月の米国のトウモロコシ輸出量は、509万2883トン(前年同月比27.3%減、前月比2.8%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月からわずかに増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表4の通りである。

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり311.3米ドル(4万5447円、同5.5%安、同2.6%安)と4カ月続けて下落した。
 
(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる
  (FOB※価格から横持ち料〈倉庫間の移動費〉、積み込み料、保険料などを差し引いた)価格。
 
※Free On Board:貨物を船に乗せた段階で支払われる取引条件。
 


 
3

【貿易動向:コーンスターチ】
輸出価格は引き続き高水準も前月からやや下落

 2023年4月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万3545トン(前年同月比21.3%減、前月比21.2%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表5の通りである。

 同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり957.1米ドル(13万9727円、同29.4%高、同4.3%安)と前月から下落した。

 





 


 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、同国中西部市場における23年4月のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり18.79米セント(注)(27.4円、前年同月比12.7%安、前月比5.6%安)と前年同月からかなり大きく、前月からやや下落した。
 

(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
 

4

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
キャッサバ生産量は前月予測から据え置かれ、前年度からやや減少する見込み

 タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2023年6月)によると、2022/23年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は973万ライ(156万ヘクタール(注)、前年度比1.9%減)、単収は1ライ当たり3.36トン(同2.1%減)、生産量は3273万トン(同3.9%減)といずれも前月から据え置かれた(表6)。
 
(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
 
5
【価格動向】
国内価格は18バーツ台を推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2023年7月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり18.5バーツ(77円、前年同期比5.7%高、前週比同)と前年同期からやや上昇した(図3)。国内価格は22年4月以降、原料費や燃料費の上昇に加えて、中国向けキャッサバ関連製品の堅調な輸出も含めた国内外からの高い需要を受けて急騰した後、高止まりで推移している。




【貿易動向】
輸出価格は6カ月連続上昇

 2023年5月のタピオカでん粉輸出量は、17万8590トン(前年同月比40.2%減、前月比17.9%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表7の通りである。

 同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり566米ドル(8万2630円、同7.4%高、同2.7%高)に上昇し、前月に引き続き18年5月以来となる550米ドルを超える水準となった。
 


 
6

ベトナム

【生産動向】
北中部地域で干ばつの発生が続く

 ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、今年はキャッサバの主要生産地域の一つである同国北中部地域で高温乾燥気候が続いており、今後も同様の天候が見込まれることで、キャッサバの作付面積および収量は、2022年から大幅に減少すると懸念されている。

 北部地域の主な生産地を見ると、ソンラ省最大のキャッサバ生産地域であるソンマー県では22年比で最大5割の減産の恐れがあるとしている。また、同省では23年の旧正月(1月末)以降に作付けされたキャッサバの約5割で枯死が見込まれ、再植などの手当てに追われるも、産地では優良苗の確保に苦慮しているとされている。

 また5月下旬時点で、北中部地域のタインホア省でも枯死したキャッサバの再植が行われており、6月以降も22年の同時期と比較して厳しい熱波に襲われているとされている。今後、同省ではキャッサバの生産にさらなる影響が出ることが予想され、でん粉の大規模工場と協力し、井戸の掘削や灌漑(かん がい)システムの設置など、水源確保に向けた取り組みが進められている。

 一方で同省に隣接するゲアン省でも、23年のキャッサバ作付面積は前年比で2〜3割程度の減少が見込まれ、同省灌漑(水資源)局によると、省内の湖やダムの水位は、長引く暑さと少雨により低下しており、中には貯水容量の2割に満たないような渇水の危険水位に近い水源もあるとされている。このため、今後もこの状態が続くと、農業のみならず生活用水にまで影響を及ぼすとみられている。

 また、キャッサバモザイク病(注1)は5月31日現在、同国の中央直轄5都市および58省のうち15省などの合計6万2659ヘクタールで感染が確認され、その被害面積は前月比で6.4%増加し、引き続き同病による被害の発生が懸念されている(注2)

 
(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、
    最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。
    ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。

 


【貿易動向】
5月の輸出量は前月からわずかに増加し、輸出価格は5カ月連続上昇

 AgroMonitorによると、2023年5月のタピオカでん粉輸出量は、10万5260トン(前年同月比41.6%減、前月比2.4%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月からわずかに増加した。同国の主要国・地域別輸出量は表8の通りである。

 同月の輸出価格(CFR(注)・中国向け)は、1トン当たり539米ドル(7万8689円、同5.5%高、同8.0%高)と前月からかなりの程度上昇し、500米ドルを超過した。
 

(注)Cost and Freightの略。輸入港までの海上運賃を売主が負担し、
   危険負担は物品を引き渡した際に売主から買主に移転される取引条件であり、
   コンテナ輸送貨物に使われることが多い。

 


 
7

ばれいしょでん粉

E U

【貿易動向】
輸出価格は7カ月ぶりに下落も高水準
 2023年4月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、2万9874トン(前年同月比16.1%増、前月比10.9%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月からかなりの程度減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表9の通りである。

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり1053ユーロ(16万7532円、同50.0%高、同0.7%安)と7カ月ぶりに下落した。

 
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。

 
8

コラム 欧州主要国のばれいしょでん粉生産動向−デンマーク−

 世界最大のばれいしょでん粉生産地域である欧州では、デンマーク、フランス、オランダおよびドイツの4カ国が主産国として位置付けられている。本コラムでは、このうちデンマークのばれいしょでん粉の生産動向について紹介する。

  同国のばれいしょでん粉工場は、ばれいしょ農家が組織する三つの協同組合(KK Karup組合、AKD組合およびAKV Langholt組合)で所有・運営されている。そのうちKK Karup組合とAKD組合は、ばれいしょでん粉や化工でん粉、ばれいしょたんぱく質などの販売や新製品の開発を行う「KMC社」を共同で設立し、両組合のばれいしょでん粉の販売や輸出は同社が担っている。またAKV Langholt組合は、米国の大手穀物企業Cargill社との合弁会社を通じて同組合の産品の販売・輸出を行っており、同組合で生産したばれいしょでん粉の約95%が輸出向けであるとしている。

  英国の調査会社LMC Internationalによると、同国のばれいしょでん粉の生産量は近年増加傾向にあるとされている(コラム−図)。22年のばれいしょでん粉の生産量は、AKV Langholt組合が年間8万〜9 万トンと安定的な生産を維持しており、KMC社は同年、約34万トンを生産したとされていることから、合算で42万〜43万トンの生産量と見込まれる。同社は近年、ばれいしょでん粉の生産規模を拡張しており、22年11月には、植物性代替製品の開発が進む中で、品質向上に向けた投資を公表するなど、中長期的な需要増加を見通してさらなる拡張を図っている。




 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要国・地域別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
5月の輸出量は前月から大幅に増加

 2023年5月の化工でん粉の輸出量は、8万7115トン(前年同月比9.3%減、前月比28.7%増)と前年同月からかなりの程度減少したものの、前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表10の通りである。



 
9

米国

【貿易動向】
4月の輸出量は前月からかなり大きく減少

 2023年4月の化工でん粉の輸出量は、2万2894トン(前年同月比19.1%減、前月比12.5%減)と前年同月から大幅に、前月からかなり大きく減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表11の通りである。



 
10

中国

【貿易動向】
輸出量は前月から大幅に減少したものの、12カ月連続で1万トン以上を維持

 2023年5月の化工でん粉の輸出量は、1万2383トン(前年同月比36.8%増、前月比19.2%減)と前年同月から大幅に増加したものの、前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別の輸出量は表12の通りである。



 
11

EU

【貿易動向】
4月の輸出量は前月から大幅に減少

 2023年4月の化工でん粉の輸出量(注)は、3万6077トン(前年同月比18.5%減、前月比26.2%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別の輸出量は表13の通りである。

 
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
 


 
12

豪州

【貿易動向】
4月の輸出量は前月からわずかに減少

 2023年4月の化工でん粉の輸出量は、2105トン(前年同月比32.3%減、前月比0.7%減)と前年同月から大幅に、前月からわずかに減少した。同月の主要国・地域別の輸出量は表14の通りである。



 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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