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でん粉の価格調整業務実績について(令和4でん粉年度)

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最終更新日:2023年12月11日

でん粉の価格調整業務実績について(令和4でん粉年度)

2023年12月

特産調整部、特産業務部

はじめに

 当機構では「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、コーンスターチ用輸入とうもろこしおよび輸入でん粉から調整金を徴収し、それを財源として国内のでん粉原料用かんしょ生産者やいもでん粉製造事業者に支援を行うことで内外価格差を調整し、国内のでん粉の安定的な供給の確保を図っている。

 本稿では、令和4でん粉年度(令和4年10月1日〜翌年9月30日〈以下「4SY」という〉)におけるでん粉の価格調整業務実績について取りまとめたので、報告する。

 なお、令和4砂糖年度における砂糖の価格調整業務実績については、本誌2024年3月号において報告する予定である。
 

1 調整金徴収業務

(1)4SYの指標価格等

 4SYを含む直近3年間の指標価格等は表1の通り。
 

(2)でん粉の需要と供給

 令和5年9月に農林水産省が公表したでん粉の需給見通し(以下「需給見通し」という)によると、4SYのでん粉の需給見通しは、表2、3の通り(詳細は、本誌2023年11月号「でん粉の国内需給」を参照)。






 
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(3)国際相場などの動き

 シカゴとうもろこし先物相場(期近)は、4SY当初はウクライナ情勢の長期化によるウクライナ産の黒海経由での輸出の混乱懸念から、1ブッシェル当たり680セント台であったものの、世界的な景気後退懸念などを受け徐々に下落し、令和5年7月には同540セント台まで下落した。さらに、ブラジル産の豊作、米国産の豊作見通しなどにより、4SY末には470セント台まで下落した。

 一方、月平均の米ドルの為替相場は、令和4年10月に1ドル148円台の水準でスタートした後、一時同131円台まで円高・ドル安が進んだものの、米国の金融引き締めが長期化するとの見方などから、日米の金利差の拡大が意識されて円安が進み、4SY末には148円台の水準まで上昇した(図1)。
 
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(4)指定でん粉等の平均輸入価格等

 4SYにおける指定でん粉等の平均輸入価格等は表4の通り。
 
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(5)売買実績

 4SYの売買数量は、輸入でん粉は前年度比2.2%減の13万2000トンと減少した一方で、でん粉供給量の大半を占めるコーンスターチ用輸入とうもろこしについては、コロナ禍からの需要回復により同3.6%増の311万トンと前年度をやや上回った。

 売買差額は、コーンスターチ用輸入とうもろこしの売買数量の増加と4月から9月までの調整金単価が前年と比較して高かったことを受け、輸入でん粉が同12.8%増の5億200万円、コーンスターチ用輸入とうもろこしが同19.2%増の80億4400万円、合計で同18.8%増の85億4500万円と前年度を大幅に上回った(表5)。
 
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2 交付金交付業務など

(1)でん粉原料用いもおよび国内産いもでん粉の生産動向

ア でん粉原料用ばれいしょ・ばれいしょでん粉
 
北海道のばれいしょ生産は、近年170万〜190万トン程度で推移しており、その約4割がでん粉原料用に仕向けられている。

 4SYについて、需給見通しによると、北海道における作付面積の拡大により、ばれいしょの収穫量が増加したことから、ばれいしょでん粉の生産量は、前年度比2.7%増の15万2000トンとなる見込みである(表6)。




 


イ でん粉原料用かんしょ・かんしょでん粉
 
南九州のかんしょ生産は、生産者の高齢化による離農を主たる要因として、作付面積は減少傾向にある。

 4SYについて、需給見通しによると、サツマイモ基腐(もと ぐされ)病(立枯症状や塊根部が腐敗する症状)の発生に加え、他用途向けとの原料の競合によりでん粉原料用かんしょの収穫量が減少したことから、かんしょでん粉の生産量は前年度比28.6%減の1万5000トンと、過去最低となる見込みである(表7)。
 

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(2)交付金の交付状況など

ア でん粉原料用いも交付金(でん粉原料用かんしょのみ)
 
収穫期はおおむね9月から12月であり、いもでん粉製造事業者への売り渡しに応じて交付金を交付している。

 4SYについては、交付金単価がトン当たり1320円引き上げられたものの、サツマイモ基腐病の影響などでかんしょ生産量が減少したため、交付決定数量は前年度比27.1%減の5万1000トン、交付決定金額は同24.1%減の14億6700万円となった(表8)。




 


イ 国内産いもでん粉交付金
 
ばれいしょでん粉およびかんしょでん粉の販売は年間を通じて行われ、これに応じて交付金を交付している(表9)。

(ア)ばれいしょでん粉の交付状況
 4SYの交付実績は、交付決定数量は前年度比4.9%減の9万7000トンとやや減少、交付金額は同2.8%減の18億3500万円とわずかに減少した。

(イ)かんしょでん粉の交付状況
 4SYの交付実績は、サツマイモ基腐病などによりかんしょ収穫量が減少したことを受け、交付決定数量は前年度比30.4%減の1万6000トンと大幅に減少、交付金額も同33.0%減の6億1200万円と大幅に減少した。
 

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(3)国庫納付金納付業務(でん粉原料用ばれいしょ)

 でん粉原料用ばれいしょ生産者への農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に要する経費の財源に充てるため、4SYにおいては、農林水産大臣からの通知に従い、調整金収入から52億1400万円を国庫に納付する予定である(表10)。

 なお、調整金単価の上昇により指定でん粉等の調整金収入が増加したことから、納付金額は前年度を上回る見込みである。
 
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(4)でん粉の価格調整業務における収支(見込み)

 4SYの収入額は、コロナ禍からの経済活動の回復に伴う清涼飲料および土産需要などの増加が見込まれていることに加え、為替相場の円安・ドル高基調は継続したものの、トウモロコシ相場が下落したことによる調整金単価の回復を受け、調整金収入は前年度比13億円増となる85億円となった。

 4SYの支出額のうち、ばれいしょでん粉の交付金額は前年並みの18億円であった。かんしょでん粉およびでん粉原料用かんしょは、サツマイモ基腐病などの影響で生産が減少したこともあり、ともに6億円、15億円と減少する見込みである。でん粉原料用ばれいしょへの支援として国の経営所得安定対策の財源として支出する国庫納付金は、調整金収入の増加のため前年度比11億円増の52億円と見込んでいる。これらの結果、支出合計は同2億円増となる91億円となる見込みである。

 以上の結果、4SYにおける調整金収支は、6億円の赤字(前年度は17億円の赤字)が見込まれている(表11)。

 調整金の期末残高については令和2SYまでは20億〜30億円程度で推移していたが、コロナ禍による需要減や穀物相場の高騰により単年度収支が3年連続で赤字となった影響で、減少傾向となっており、4SY末は1億円の赤字となる見込みである(図2)。



 
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