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最終更新日:2023年12月11日
【需給動向:トウモロコシ】
世界の生産量は前回から上方修正され、過去最大の見込み
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2023年11月9日、2023/24年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表2)。
これによると、世界のトウモロコシ生産量は12億2079万トン(前年度比5.5%増)と前月から632万トン上方修正され、前年度をやや上回り、過去最大であった一昨年度をも上回る生産量が見込まれている。地域別に見ると、干ばつやハリケーンの影響を受けて収穫面積が減少したメキシコなどが下方修正されたが、好天に恵まれたウクライナや、ロシア、米国などでの上方修正分がそれを上回った。
輸入量は、世界全体で1億8987万トン(同10.3%増)と前月から295万トン上方修正され、前年度をかなりの程度上回った。地域別に見ると、EUは2450万トン(同4.3%増)と前月から上方修正され、中国は2300万トン(同22.9%増)と前月から据え置かれた。
消費量は、世界全体で12億503万トン(同3.2%増)と前月から483万トン上方修正された。地域別に見ると、主要消費国である米国などが前月から上方修正された。
輸出量は、世界全体では1億9962万トン(同10.3%増)と前月から337万トン上方修正された。地域別に見ると、インドは主要輸出先であるバングラディシュの需要減により前月から下方修正されたが、生産量を上方修正した米国やロシア、ウクライナなどが前月から上方修正された。
この結果、期末在庫は3億1499万トン(同5.3%増)と前月から259万トン上方修正され、前年度からやや増加すると見込まれている。
【需給、価格動向:トウモロコシ】
米国の生産量は過去最大で輸出量も前年度から大幅増加の見込み
USDA/WAOBは同日、2023/24年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表3)。
生産量は、単収が上方修正されたことから152億3400万ブッシェル(3億8696万トン(注)、前年度比11.1%増)と前月から1億7000万ブッシェル(432万トン)上方修正され、過去最大の生産量が見込まれている。今夏は多くの地域で猛暑と乾燥気候が長引き、収量の落ち込みが懸念されていたものの、収穫作業は好天などにより順調に進んだことを受け、上方修正されたものとみられる。
米国内消費量は、123億9000万ブッシェル(3億1472万トン、同2.3%増)と前月から上方修正され、前年度からわずかに増加すると見込まれている。
輸出量は、20億7500万ブッシェル(5271万トン、同24.9%増)と前月から上方修正され、前年度から大幅に増加すると見込まれている。
期末在庫は、消費量の増加を上回る供給量の増加が見込まれることから、21億5600万ブッシェル(5476万トン、同58.4%増)と前月から4500万ブッシェル(114万トン)上方修正され、前年度から大幅に増加すると見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、14.9%(同5.0ポイント増)と前月から0.2ポイント増加し、昨年を上回る水準が予測されている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.85米ドル(730円。1キログラム当たり28.7円、同25.8%安)と前年度からは大幅に下落すると見込まれている。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
【貿易動向:トウモロコシ】
輸出量は前月からかなりの程度増加し、輸出価格は8カ月連続下落
2023年8月の米国のトウモロコシ輸出量は、255万5830トン(前年同月比23.4%減、前月比6.1%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月からかなりの程度増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表4の通りである。
また、同月の輸出価格(FAS価格(注))は、1トン当たり277.4米ドル(4万1751円、同17.8%安、同5.2%安)と8カ月続けて下落した。
(注)リスク移転時(埠頭上または艀〈はしけ〉といった船べりに貨物が置かれた時点)までのコストのことで、運賃や保険料は含まれない。
【貿易動向:コーンスターチ】
輸出価格は6カ月ぶりに上昇
2023年8月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万2578トン(前年同月比19.7%減、前月比25.0%減)と前年同月および前月から大幅に減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表5の通りである。
同月の輸出価格(FAS)は、1トン当たり906.5米ドル(13万6437円、同9.6%高、同2.3%高)と6カ月ぶりに上昇した。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、23年8月の同国中西部市場におけるコーンスターチ価格は、1ポンド当たり18.58米セント(注)(28.0円、前年同月比12.8%安、前月比10.7%安)と前年同月からかなり大きく、前月からかなりの程度下落した。
(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
【生産動向】
23/24年度のキャッサバ生産量は減産見込み
タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2023年10月)によると、2022/23年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は973万ライ(156万ヘクタール(注)、前年度比1.9%減)、単収は1ライ当たり3.36トン(1ヘクタール当たり21.02トン、同2.1%減)、生産量は3273万トン(同3.9%減)といずれも前月から据え置かれた(表6)。
また、同省ホームページ(10月30日付け)によると、23/24年度のキャッサバの生産量は2794万トンと見込まれている。これは、前年度から14.6%の減少であり、更新のたびに予測値が下方修正されていることから、今後も、雨期の降水量不足などの影響を受けて、現時点の予測値よりも生産量が減少する可能性がある。
(注)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
【価格動向】
国内価格は19バーツ台に突入
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2023年11月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり19.0バーツ(81円、前年同期比13.1%高)と前年同期からかなり大きく上昇した(図3)。国内価格は、需給ひっ迫の懸念などを受けて上昇基調にある。
タイ農業・農業協同組合銀行(BAAC)研究・イノベーション開発センターは、新年度の収穫開始時期で供給量が少ないことから、キャッサバ価格は上昇が続くと予測している。さらに、エルニーニョ現象による少雨の影響などから、23/24年度のキャッサバ生産量は減少するとみており、キャッサバおよび関連製品の価格動向を注視する必要があるとしている。
【貿易動向】
9月の輸出量は10カ月ぶりに30万トン超、輸出価格は上昇基調
2023年9月のタピオカでん粉輸出量は、30万8845トン(前年同月比1.6%減、前月比26.0%増)と前年同月からわずかに減少したものの、前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表7の通りである。
同月の輸出価格(FOB価格(注)・バンコク)は、1トン当たり575米ドル(8万6543円、同13.3%高、同0.9%高)と18年5月以来となる550米ドルを超える高水準にある。
(注)リスク移転時(船上に貨物が置かれた時点)までのコストで、運賃や保険料は含まれない。
【生産動向】
主産地の2023/24年度のキャッサバ作付面積は前年度から減少
ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、2023/24年度のキャッサバ作付面積はすべての主産地で前年度から減少と見込まれている。同国では高温と少雨が続いたことで、作付面積のみならず収量の減少も予測されており、北部では例年より早い24年2月頃には、出荷が終了する可能性もあるとされている。また、中部地方では、価格が上昇している砂糖(サトウキビ)やトウモロコシへの転作が進んだことからキャッサバの作付面積が減少したと考えられており、キャッサバモザイク病(注1)の被害が大きな地域もあることから、収量の減少が懸念されている。一方、南部のタイニン省では、作付面積は前年からわずかに減少したものの、同省では2種類の耐病性品種の利用が承認されており、当該種の生産が促進されたことなどから、同病による被害は軽度だったと報告されている。
また、同国全体のキャッサバモザイク病は9月28日現在、合計5万9940ヘクタールで感染が確認され、前月比で2.3%減少したものの、引き続き同病による被害の発生が懸念される(注2)。
(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。
【貿易動向】
9月の輸出量は前月から大幅に増加し、輸出価格は上昇
AgroMonitorによると、2023年9月のタピオカでん粉輸出量は、19万4217トン(前年同月比13.0%増、前月比17.8%増)と前年同月からかなり大きく、前月から大幅に増加した。同国の主要国・地域別輸出量は表8の通りである。
同月の輸出価格(CFR価格(注)・中国向け)は、1トン当たり534米ドル(8万372円、同8.8%高、同0.8%高)と前月から上昇した。
(注)リスク移転時(船上に貨物が置かれた時点)までのコストおよび運賃を含み、保険料は含まれない。
【貿易動向】
輸出価格は5カ月連続下落
2023年8月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万1034トン(前年同月比10.5%増、前月比9.0%減)と前年同月からかなりの程度増加したものの、前月からかなりの程度減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表9の通りである。
また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり980.5ユーロ(15万7037円、同18.2%高、同1.7%安)と5カ月連続で下落し、2カ月続けて1000ユーロを下回った。
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
欧州の気象状況とばれいしょの生産動向−オランダ・フランス−世界最大のばれいしょでん粉生産地域である欧州では、デンマーク、ドイツ、オランダおよびフランスが主産国とされている。昨年、欧州では、多くの地域で干ばつに見舞われており、本コラムでは、前月に続きオランダおよびフランスの気象状況とばれいしょの生産動向について紹介する。 欧州委員会の共同研究センター(JRC)によると、オランダでは7月最終週と8月第1週は多雨に見舞われ、オランダ気象機関の干ばつモニタリングでも干ばつ状態は観測されていない(コラム-図)。一方、現地報道によると、湿潤・冷涼な気候によってばれいしょ圃場での疫病被害の拡大が懸念されている。現在のところ、大部分は葉への被害であり、根茎への目立った影響は確認されていない。この原因について疫病菌の変異種によるものという見方もあるが、一部の殺菌剤を長期投与している圃場での被害が大きく、殺菌剤については耐性菌発生の報告があることから、現地の農協は、ばれいしょ農家に対し、薬剤散布は抗菌効果の高いものを適正期間で使用するよう推奨している。 |
【貿易動向】
9月の輸出量は前月からやや減少
2023年9月の化工でん粉の輸出量は、8万3775トン(前年同月比5.1%減、前月比5.7%減)と前年同月および前月からやや減少した。同月の主要国・地域別輸出量は表10の通りである。
【貿易動向】
8月の輸出量は前月からかなり大きく増加
2023年8月の化工でん粉の輸出量は、2万4250トン(前年同月比4.2%減、前月比15.4%増)と前年同月からやや減少したものの、前月からかなり大きく増加した。同月の主要国・地域別輸出量は表11の通りである。
【貿易動向】
9月の輸出量は前月から大幅に増加
2023年9月の化工でん粉の輸出量は、1万2694トン(前年同月比12.6%減、前月比18.1%増)と前年同月からかなり大きく減少したものの、前月から大幅に増加した。同月の主要国・地域別の輸出量は表12の通りである。
【貿易動向】
8月の輸出量は前月からかなり大きく増加
2023年8月の化工でん粉の輸出量(注)は、3万7010トン(前年同月比24.3%減、前月比11.0%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月からかなり大きく増加した。同月の主要国・地域別の輸出量は表13の通りである。
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
【貿易動向】
8月の輸出量は前月からやや増加
2023年8月の化工でん粉の輸出量は、2030トン(前年同月比57.4%減、前月比3.0%増)と前年同月から大幅に減少したものの、前月からやや増加した。同月の主要国・地域別の輸出量は表14の通りである。