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2 日本の品目別主要輸入先の動向

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最終更新日:2024年2月9日

2 日本の品目別主要輸入先の動向

2024年2月


 本稿中の為替レートは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2023年12月末日TTS相場の1米ドル=142.83円、1タイバーツ=4.21円、1ユーロ=158.62円を使用した。
 

トウモロコシ・コーンスターチ

世 界

【需給動向:トウモロコシ】
世界の生産量は上方修正、引き続き過去最大の生産見込み
 
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2024年1月12日、2023/24年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表)。

 これによると、世界の生産量は12億3573万トン(前年度比6.9%増)と前月から1366万トン上方修正された。今年度は米国や中国の増産により過去最大の生産量が見込まれている。このうち、最大の生産国である米国は、単収の上方修正により前月から272万トン上方修正された。現地報道によると、今回の上方修正は事前の市場予測を上回っているとの声が多く、米国内のトウモロコシ相場に一定の影響を及ぼすとされている。また、これに次ぐ中国も、豊作により前月から1184万トン上方修正された。これら上方修正は、高温と乾燥懸念により前月から200万トン下方修正されたブラジルの減少分を十分に補っている。今回、上方修正が行われた中国の生産量については、中国農業農村省が同日に公表したトウモロコシ生産量(予測)と一致している。

 輸入量は、世界全体で1億9076万トン(同10.8%増)と前月から77万トン下方修正された。このうち、EUは前月から100万トン下方修正された。

 消費量は、世界全体で12億1107万トン(同3.9%増)と前月から412万トン上方修正された。このうち、米国はエタノールや飼料向け需要の伸びが見込まれることで前月から191万トン上方修正された。

 輸出量は、世界全体で2億89万トン(同11.1%増)と前月から57万トン下方修正された。このうち、ブラジルは生産量の減少を受けて前月から100万トン下方修正された。

 この結果、期末在庫は3億2522万トン(同8.2%増)と前月から1000万トン上方修正され、前年度からかなりの程度の増加が見込まれている。
 

1

米 国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
米国の生産量、輸出量は大幅増も、生産者平均価格は下落の見込み
 
USDA/WAOBは同日、2023/24年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表)。

 生産量は、153億4200万ブッシェル(3億8970万トン(注)、前年度比12.4%増)と前月から上方修正された。乾燥気候から当初は一部地域で単収の落ち込みが懸念されたものの、天候の好転による単収の増加などから過去最大の生産量が見込まれている。

 米国内消費量は、エタノールや飼料向け需要の伸びが見込まれることで124億6500万ブッシェル(3億1662万トン、同3.5%増)と前月から上方修正された。

 輸出量は、21億ブッシェル(5334万トン、同26.4%増)と前月から据え置かれ、引き続き大幅な増加が見込まれている。

 期末在庫は、生産量の増加を受けて21億6200万ブッシェル(5492万トン、同59.0%増)と前月から上方修正され、引き続き大幅な増加が見込まれている。

 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、14.8%(同4.9ポイント増)と前月から0.1ポイント上昇し、前年度を上回る水準が見込まれている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.80米ドル(686円。1キログラム当たり27.0円、同26.6%安)と大幅な下落が見込まれている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
 

2

【貿易動向:トウモロコシ】
輸出量は前年同月を大幅に上回り、輸出価格は10カ月ぶりに上昇
 
2023年10月の米国のトウモロコシ輸出量は、282万4670トン(前年同月比28.6%増、前月比11.0%減)と前年同月を大幅に上回ったものの、前月からかなり大きく減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FAS価格(注))は、1トン当たり251.8米ドル(3万5965円、同21.9%安、同3.3%高)と10カ月ぶりに上昇した。

(注)FAS(Free alongside ship)価格:貨物が輸出国の埠頭(ふ とう)または(はしけ)に置かれた時点までの費用を含めた価格


 


 

3

【貿易動向:コーンスターチ】
輸出量は前月から大幅に増加し、輸出価格はほぼ横ばい

 2023年10月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万8133トン(前年同月比9.7%減、前月比30.9%増)と前年同月からかなりの程度下回ったものの、前月から大幅に増加した(表、図)。

 同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり906.1米ドル(12万9418円、同6.4%高、同2.2%安)と3カ月ぶりに下落し、2カ月前の水準となった。

 





 

 
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、23年10月の同国中西部市場におけるコーンスターチ価格は、1ポンド当たり15.79米セント(注)(22.6円、前年同月比20.8%安、前月比9.8%安)と3カ月連続で下落し、前年同月を大幅に下回った(図)。

(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
 

4

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
23/24年度のキャッサバ生産量は減産見込み
 
タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)の予測(2023年12月)によると、エルニーニョ現象により少雨が予測されていることもあり、2023/24年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は、905万ライ(145万ヘクタール(注1)、前年度比3.2%減)、単収は1ライ当たり3.09トン(1ヘクタール当たり19.31トン、同6.1%減)とそれぞれ減少が見込まれている。この結果、生産量も2794万トン(同9.1%減)と前年度をかなりの程度下回る水準が見込まれている(表)。

 タイでは、23年9月に発足したセター政権により、19/20年度から実施してきた所得補償制度(注2)を見直し、代わりに各品目への支援策が計画されている。キャッサバに関しては、23/24年度にキャッサバの保管費用の利子補てんなどを含む総額3.7億バーツ(15.6億円)の予算が承認されたが、まだ具体策は公表されていないため、今後の発表が注目されている。

(注1)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)キャッサバのほか、米、アブラヤシ、天然ゴム、飼料用トウモロコシの主要5品目の生産農家に対する所得補償策。農家の負債軽減のために導入された経緯がある。

 

 

 

 

5

【価格動向】
国内価格は19バーツ台と高止まって推移
 
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2024年1月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり19.05バーツ(80.2円、前年同期比15.5%高)と前年同期を大幅に上回り、前年11月以降、この水準で推移している(図)。

 タイ農業・農業協同組合銀行(BAAC)研究・イノベーション開発センターによると、エルニーニョ現象による少雨から、23/24年度も昨年に引き続きでん粉供給量の減少が見込まれるため、キャッサバおよび関連製品の価格は高値で推移すると予想している。
 

6

【貿易動向】
11月の輸出量は大幅に減少し、輸出価格は引き続き上昇
 
2023年11月のタピオカでん粉輸出量は、27万8323トン(前年同月比17.7%減、前月比21.8%減)と前年同月および前月から大幅に減少した(表、図)。

 同月の輸出価格(FOB価格(注)・バンコク)は、1トン当たり582.5米ドル(8万3198円、同19.6%高、同0.6%高)と前年同月を大幅に上回り、緩やかながらもさらに上昇基調にある。

(注)FOB(Free on Board)価格:貨物が輸出国の船上に置かれた時点までの費用を含めた価格。




 

7

ばれいしょでん粉

E U

【貿易動向】
輸出価格は7カ月連続下落
 
2023年10月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万6073トン(前年同月比12.7%増、前月比6.0%増)と前年同月からかなり大きく上回り、前月からかなりの程度増加した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり941.3ユーロ(14万9309円、同9.9%高、同1.3%安)と7カ月連続で下落した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。




 

8

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要国・地域別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タ イ

【貿易動向】
11月の輸出量は前年同月をわずかに下回る

 2023年11月の化工でん粉の輸出量は、9万9558トン(前年同月比2.9%減、前月比12.3%増)と前年同月をわずかに下回ったものの、前月からかなりの程度増加した(表、図)。

 


 

9

E U

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月を大幅に下回る
 
2023年10月の化工でん粉の輸出量(注)は、3万7130トン(前年同月比23.0%減、前月比8.3%増)と前年同月を大幅に下回り、前月からかなりの程度増加した(表、図)。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。




 

10

米 国

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月をわずかに上回る
 
2023年10月の化工でん粉の輸出量は、2万5474トン(前年同月比1.7%増、前月比7.0%増)と前年同月をわずかに上回り、前月からかなりの程度増加した(表、図)。

 


 

11

中 国

【貿易動向】
11月の輸出量は前月から大幅に増加
 
2023年11月の化工でん粉の輸出量は、1万6677トン(前年同月比7.0%増、前月比42.2%増)と前年同月からかなりの程度上回り、前月から大幅に増加した(表、図)。

 


 

12

豪 州

【貿易動向】
10月の輸出量は前年同月を大幅に上回る
 
2023年10月の化工でん粉の輸出量は、2315トン(前年同月比43.8%増、前月比7.7%増)と前年同月を大幅に上回り、前月からかなりの程度増加した(表、図)。

 


 

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