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最終更新日:2024年3月11日
【需給動向:トウモロコシ】
ブラジルの生産量は下方修正も、世界の生産量は過去最大の見込み
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2024年2月8日、2023/24年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表)。
これによると、世界の生産量は12億3257万トン(前年度比6.6%増)と前月から316万トン下方修正された。今年度は米国や中国の増産により過去最大の生産量が見込まれている。このうち、最大の生産国である米国、これに次ぐ中国はいずれも前月から据え置かれた。一方でブラジルは、エルニーニョ現象の影響による乾燥懸念により前月から300万トン下方修正され、2カ月続けての減少となった。
輸入量は、世界全体で1億8982万トン(同10.0%増)と前月から94万トン下方修正された。このうち、EUは前月から50万トン下方修正された。
消費量は、世界全体で12億1076万トン(同3.8%増)と前月から31万トン下方修正された。このうち、EUは前月から30万トン下方修正された。
輸出量は、世界全体で2億82万トン(同11.0%増)と前月から7万トン下方修正された。このうち、ブラジルは生産量の減少見込みを受けて前月から200万トン下方修正されたが、ウクライナが前月から200万トン上方修正されたことで、ブラジルの減少分を補う形となった。
この結果、期末在庫は3億2206万トン(同7.3%増)と前月から316万トン下方修正されたが、前年度からかなりの程度増加が見込まれている。
現地情報によると、今回修正されたブラジルの生産量見通しは、ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)が公表した直近の生産量予測(1億1370万トン)は、見通しから1030万トン下回っていることから、今後、より大きな下方修正の可能性が予想されている。
【需給、価格動向:トウモロコシ】
米国の生産量、輸出量は大幅増も、生産者平均価格は下落の見込み
USDA/WAOBは同日、2023/24年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表)。
生産量は、153億4200万ブッシェル(3億8970万トン(注)、前年度比12.4%増)と前月から据え置かれた。乾燥気候から当初は一部地域で単収の落ち込みが懸念されたものの、天候の好転による単収の増加などから過去最大の生産量が見込まれている。
米国内消費量は、エタノールや飼料向け需要は伸びるものの、異性化糖向けの減少が見込まれることで124億5500万ブッシェル(3億1637万トン、同3.4%増)と前月から下方修正された。
輸出量は、21億ブッシェル(5334万トン、同26.4%増)と前月から据え置かれ、引き続き大幅な増加が見込まれている。
期末在庫は、生産量の増加と消費量の減少を受けて21億7200万ブッシェル(5517万トン、同59.7%増)と前月から上方修正され、引き続き大幅な増加が見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、14.9%(同5.0ポイント増)と前月から0.1ポイント上昇し、前年度を上回る水準が見込まれている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.80米ドル(713円。1キログラム当たり28.1円、同26.6%安)と大幅な下落が見込まれている。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
【貿易動向:トウモロコシ】
23年11月の輸出量は前年同月を大幅に上回り、輸出価格は前月からわずかに下落
2023年11月の米国のトウモロコシ輸出量は、358万3952トン(前年同月比45.5%増、前月比26.9%増)と前年同月を大幅に上回り、前月からも大幅に増加した(表、図)。
また、同月の輸出価格(FAS価格(注))は、1トン当たり246.7米ドル(3万6647円、同26.1%安、同2.0%安)と前月からわずかに下落した。
(注)FAS(Free alongside ship)価格:貨物が輸出国の埠頭または艀に置かれた時点までの費用を含めた価格。
【貿易動向:コーンスターチ】
23年11月の輸出量は前年同月から大幅増、輸出価格は前月からほぼ横ばい
2023年11月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万6811トン(前年同月比22.9%増、前月比7.3%減)と前年同月を大幅に上回ったものの、前月からかなりの程度減少した(表、図)。
同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり905.5米ドル(13万4512円、同4.8%安、同0.1%安)と前月からほぼ横ばいで推移した。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、23年11月の同国中西部市場におけるコーンスターチ価格は、1ポンド当たり15.58米セント(注)(23.1円、前年同月比19.4%安、前月比1.3%安)と4カ月連続で下落し、前年同月を大幅に下回った(図)。
(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
【生産動向】
2023/24年度のキャッサバ作付面積は前年度から減少見込み
ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、23/24年度のキャッサバ作付面積は、すべての主産地で前年度から減少すると見込まれている(表)。同国では高温と少雨が続いたことで、作付面積のみならず収量の減少も予測されている。また、この減少にはここ数年、多くの地域でキャッサバモザイク病(注1)が発生し、キャッサバ農家が大きな損失を被ったため、サトウキビなどに転作が進んだ背景がある。また、北部のいくつかの地域ではキャッサバ価格の高騰を受け、作付面積の拡大意欲が高まっているが、資金調達面のハードルがあることから、意欲はあるものの面積拡大が難しい農家もいる。ソンラ省では、4万5000ヘクタールの作付面積が見込まれているが、多くの地域でキャッサバの作付け後、乾燥気候の影響から枯死してしまい、再度植え替える際に必要となる十分な苗が不足している。そのため、収穫面積は4万ヘクタール以下になる可能性もあるとされている。
また、同国全体のキャッサバモザイク病は24年1月11日現在、合計2万8776ヘクタールで感染が確認され、前月比13.5%減とかなり大きく減少した(注2)。
(注1)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気であり、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアの一部で流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。
【貿易動向】
23年12月の輸出量は前月からかなり大きく増加し、輸出価格は前月からやや下落
AgroMonitorによると、23年12月のタピオカでん粉輸出量は、27万2596トン(前年同月比8.8%減、前月比15.9%増)と前年同月からかなりの程度減少し、前月からかなり大きく増加した(表、図)。
同月の輸出価格(CFR価格(注)・中国向け)は、1トン当たり508米ドル(7万5463円、同17.7%高、同5.8%安)と前月からやや下落した。
(注)CFR(Cost and Freight)価格:貨物が輸出国の船上に置かれた時点までの費用および輸入国までの運賃を含めた価格。
【貿易動向】
23年11月の輸出量は前月からやや減少
2023年11月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万4755トン(前年同月比27.7%増、前月比3.6%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からやや減少した(表、図)。
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
【貿易動向】
23年12月の輸出量は前月から大幅に減少
2023年12月の化工でん粉の輸出量は、7万3216トン(前年同月比13.2%減、前月比26.5%減)と前年同月をかなり大きく下回り、前月から大幅に減少した(表、図)。
【貿易動向】
23年11月の輸出量は2カ月連続で増加
2023年11月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万1747トン(前年同月比7.6%減、前月比10.7%増)と前年同月をかなりの程度下回り、前月からかなりの程度増加した(表、図)。
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
【貿易動向】
23年11月の輸出量は前年同月をかなり大きく下回る
2023年11月の化工でん粉の輸出量は、2万3321トン(前年同月比12.0%減、前月比8.5%減)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からかなりの程度減少した(表、図)。
【貿易動向】
23年12月の輸出量は前月から大幅に減少
2023年12月の化工でん粉の輸出量は、1万3899トン(前年同月比6.0%増、前月比16.7%減)と前年同月をかなりの程度上回り、前月から大幅に減少した(表、図)。
【貿易動向】
23年11月の輸出量は5カ月連続で増加
2023年11月の化工でん粉の輸出量は、2415トン(前年同月比8.6%減、前月比4.3%増)と前年同月をかなりの程度下回り、前月からやや増加した(表、図)。