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でん粉の国内需給

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最終更新日:2024年3月11日

でん粉の国内需給

2024年3月

調査情報部

1 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、でん粉に関して適切な価格調整を図るため、半期ごとにでん粉の需給見通しを公表している。2月に公表したでん粉の需給見通しの概要は、次の通り。






 
1

(1)でん粉の需要量の見通し

 用途ごとのでん粉の需要量の見通しは以下の通り。

【糖化用向けでん粉の需要量】
令和4でん粉年度は、前年度からやや増加
 
令和4でん粉年度は、経済活動の回復に伴い緩やかに需要が増加し、清涼飲料および土産需要などが増加したことから、前年度を5万1000トン上回る166万3000トンとなった。

 5でん粉年度は、酒税法改正に伴う発泡酒などの需要の減少が見込まれるものの、外出機会の増加やインバウンド需要の回復に伴い清涼飲料需要などの増加が見込まれることから、前年度を1万4000トン上回る167万7000トンと見通している。

【化工でん粉用向けでん粉の需要量】
令和4でん粉年度は、前年度からやや減少
 
令和4でん粉年度は、主に製紙メーカーの原料変更の影響などにより、前年度を1万6000トン下回る25万3000トンとなった。

 5でん粉年度は、製紙関連需要の低下により製紙向け需要の減少が見込まれることから、前年度を5000トン下回る24万8000トンと見通している。

その他用途向けでん粉の需要量】
令和4でん粉年度は、前年度からやや増加

 令和4でん粉年度は、主に製紙メーカーの原料変更の影響などにより、前年度を1万7000トン上回る53万8000トンとなった。

 5でん粉年度は、製紙向け需要の減少が見込まれるものの、物流回復に伴う段ボール需要および酒税法改正に伴うビール需要などの増加が見込まれることから、前年度を8000トン上回る54万6000トンと見通している。

(2)でん粉の供給量の見通し

 各種でん粉の供給量の見通しは以下の通り。

【かんしょでん粉の生産量】
令和4でん粉年度は、前年度から大幅に減少
 
令和4年産のでん粉原料かんしょの生産量が、産地でのサツマイモ基腐(もとぐされ)病発生により落ち込んだことに加え、他用途向けとの原料の競合の影響により、かんしょでん粉の生産量は、前年を6000トン下回る1万5000トンとなった。

 5年産についても、サツマイモ基腐病の発生面積は減少したものの、他用途向けとの原料の競合の影響により、かんしょでん粉の生産量は前年度を4000トン下回る1万1000トンと見通している。

【ばれいしょでん粉の生産量】
令和4でん粉年度は、前年度からやや増加
 
令和4年産のでん粉用原料ばれいしょの生産量が、北海道における作付面積の拡大により増加したことから、ばれいしょでん粉の生産量は前年を5000トン上回る15万5000トンとなった。

 5年産については、酷暑によるでん粉含有率の低下が生じたため、ばれいしょでん粉の生産量は前年を7000トン下回る14万8000トンと見通している。

【コーンスターチの供給量】
令和4でん粉年度は、前年度からやや増加
 
令和4年度は、経済活動の回復に伴い緩やかに需要が増加し、清涼飲料および土産需要などが増加したことから、4でん粉年度の供給量はでん粉ベースで前年度を6万4000トン上回る211万6000トンとなった。

 5年度は、外出機会の増加やインバウンド需要の回復に伴い清涼飲料およびビール需要などの増加が見込まれることから、前年度を1万5000トン上回る213万1000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(糖化製品、化工でん粉用)
令和4でん粉年度は、前年度からわずかに減少

 令和4でん粉年度は、需要計での大きな動きはないことから、前年度を2000トン下回る13万2000トンとなった。

 5でん粉年度は、行動制限解除に伴う外出機会の増加による清涼飲料向け需要の増加が見込まれることから、前年度を1万8000トン上回る15万トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(その他用)
令和4でん粉年度は、前年度からかなりの程度減少
 
令和4でん粉年度は、住宅の着工数量の減少により、資材の(のり)付け需要が減少したことから、前年度を1000トン下回る1万トンとなった。

 5でん粉年度は、行動制限解除に伴う業務用加工食品向け需要の増加が見込まれることから、前年度を5000トン上回る1万5000トンと見通している。

【小麦でん粉の供給量】
令和4でん粉年度は、前年度からかなり大きく減少
 
小麦でん粉は、主に畜水産練り製品向けとして供給されており、令和4でん粉年度は前年度を2000トン下回る1万4000トンとなった。

 5でん粉年度も、需要に応じて同程度の供給がなされるものとして、前年同並みの1万4000トンと見通している。

2 輸入動向

【タピオカでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からかなり大きく減少
 
財務省「貿易統計」によると、2023年12月のタピオカでん粉の輸入量は、7668トン(前年同月比15.7%減、前月比12.5%減)と、前年同月からかなり大きく減少した(図1)。

 輸入先はタイ、ベトナムおよび台湾で、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 タイ                    6668トン
  (前年同月比26.4%減、前月比13.0%減)
 ベトナム                 991トン
  (同58.3倍、同9.3%減)
 台湾                        5トン
  (同70.0%減、前月輸入実績なし)





 また、2023年1〜12月のタピオカでん粉の輸入量は、前年比4.9%減の12万690トンと、前年をやや下回った(図2)。国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 タイ    11万6028トン
  (前年比8.1%減)
 ベトナム     4567トン
  (同8.2倍)
 台湾          71トン
  (同28.9%減)
 ブラジル       24トン
  (同27.7%増)





 2023年12月の1トン当たりの輸入価格は、8万3085円(前年同月比8.1%高、前月比2.1%安)と、前年同月をかなりの程度上回った(図3)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 タイ                   8万2325円
  (前年同月比7.9%高、前月比2.9%安)
 ベトナム              8万4423円
  (同14.0%高、前年並み)
 台湾                  48万1930円
  (同21.7%高、前月輸入実績なし)
 

2

【サゴでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からかなりの程度増加

 財務省「貿易統計」によると、2023年12月のサゴでん粉の輸入量は、1517トン(前年同月比10.5%増、前月比17.1%増)と、前年同月からかなりの程度増加した(図4)。

 輸入先はマレーシアおよびインドネシアで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 マレーシア         1337トン
  (前年同月比13.8%増、前月比16.1%増)
 インドネシア            180トン
  (同9.1%減、同25.0%増)





 また、2023年1〜12月のサゴでん粉の輸入量は、前年比5.0%増の1万8137トンとなり、前年をやや上回った(図5)。国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 マレーシア   1万6553トン
 (前年比4.3%増)
 インドネシア     1584トン
 (同12.8%増)




 
 2023年12月の1トン当たりの輸入価格は、11万2643円(前年同月比1.0%高、前月比3.6%安)、前年同月をわずかに上回った(図6)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 マレーシア          11万3374円
  (前年同月比0.4%高、前月比3.4%安)
 インドネシア        10万7211円
  (同3.5%高、同4.2%安)
 

3

【ばれいしょでん粉の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月から大幅に増加
 
財務省「貿易統計」によると、2023年12月のばれいしょでん粉の輸入量は502トン(前年同月比2.5倍、前月比24.0%減)と、前年同月から大幅に増加した(図7)。

 輸入先はデンマーク、ドイツ、オランダおよびポーランドで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 デンマーク              288トン
  (前年同月比44.0%増、前月比3.3倍)
 ドイツ                    132トン
  (前年同月輸入実績なし、同76.9%減)
 オランダ                  60トン
  (前年同月輸入実績なし、同480倍)
 ポーランド                22トン
  (前年同月および前月輸入実績なし)




 
 また、2023年1〜12月のばれいしょでん粉の輸入量は、前年比17.6%増の9705トンと前年から大幅に増加した(図8)。国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 ドイツ       4997トン
 (前年比22.5%減)
 デンマーク    4032トン
 (同3.3倍)
 オランダ      640トン
 (同14.3%増)
 台湾          14トン
 (同30.0%減)
 ポーランド      22トン
 (前年輸入実績なし)
 米国           1トン
 (前年同)





 2023年12月の1トン当たりの輸入価格は、15万6506円(前年同月比10.7%高、前月比6.2%高)と、前年同月をかなり大きく上回った(図9)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 デンマーク           15万3677円
  (前年同月比12.6%高、前月比3.0%安)
 ドイツ                17万7705円
  (前年同月輸入実績なし、同22.3%高)
 オランダ             12万6550円
  (前年同月輸入実績なし、同93.9%安)
 ポーランド           14万8045円
  (前年同月および前月輸入実績なし)
 

4

【でん粉誘導体の輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からかなり大きく減少
 
財務省「貿易統計」によると、2023年12月のでん粉誘導体の輸入量は、3万2847トン(前年同月比11.7%減、前月比25.3%増)と、前年同月からかなり大きく減少した(図10)。

 でん粉誘導体の輸入先は15カ国・地域で、最大の輸入先はタイであった。主要輸入先からの輸入量は次の通りで、タイが輸入量の約8割を占めており、次いでベトナム、デンマークとなっている(表3)。
 


 
 2023年12月の1トン当たりの輸入価格は、14万123円(前年同月比12.4%高、前月比8.1%安)と、前年同月をかなり大きく上回った。




 
 2023年1〜12月のでん粉誘導体の輸入量は、前年比10.0%減の39万6006トンとなった(図11)。

 また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比17.1%高の14万3639円となった。
 

5

【デキストリンの輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からやや増加
 
財務省「貿易統計」によると、2023年12月のデキストリンの輸入量は、916トン(前年同月比3.1%増、前月比29.6%減)と、前年同月からやや増加した(図12)。

 デキストリンの輸入先は7カ国・地域で、輸入量は上位輸入先の数量および各国のシェアも含め、月ごとの変動が大きい。

 上位輸入先からの輸入量は次の通りで、タイおよびベトナムで輸入量の約8割を占めている(表4)。
 



 2023年12月の1トン当たりの輸入価格は、15万4734円(前年同月比19.9%安、前月比16.9%安)と、前年同月を大幅に下回った。
 



 


 2023年1〜12月のデキストリンの輸入量は、前年比24.5%減の1万2068トンと前年から大幅に減少した(図13)。

 また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比21.1%高の19万5825円となった。
 

6

【コーンスターチ用トウモロコシの輸入動向】
12月の輸入量は前年同月からかなりの程度減少
 
財務省「貿易統計」によると、2023年12月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、20万9805トン(前年同月比8.1%減、前月比33.6%減)となり、前年同月からかなりの程度減少した(図14)。

 輸入先は、米国、ブラジル、南アフリカおよびアルゼンチンで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 米国                13万4212トン
  (前年同月比4.7%増、前月比20.3%減)
 ブラジル            3万4154トン
  (同63.6%減、同74.2%減)
 南アフリカ          2万6953トン
  (同5.4倍、同77.8%増)
 アルゼンチン        1万4486トン
  (同11.8倍、前月輸入実績なし)

 2023年12月の1トン当たりの輸入価格は、4万321円(前年同月比22.0%安、前月比10.7%安)と、前年同月を大幅に下回った。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 米国                   4万935円
  (前年同月比22.4%安、前月比8.0%安)
 ブラジル             3万8060円
  (同24.3%安、同18.3%安)
 南アフリカ           4万1755円
  (同14.6%安、同3.6%高)
 アルゼンチン         3万7296円
  (同36.7%安、前月輸入実績なし)





 2023年1〜12月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、前年比0.5%減の302万2706トンとなった(図15)。

 また、同年の1トン当たりの輸入価格は、前年比4.3%安の4万8393円となった。
 

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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