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2 日本の品目別主要輸入先の動向

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最終更新日:2024年6月10日

2 日本の品目別主要輸入先の動向

2024年6月


 本稿中の為替レートは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年4月末日TTS相場の1米ドル=157.90円、1タイバーツ=4.32円を使用した。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
主要国のトウモロコシ生産量は微減するも、期末在庫は高水準の見通し

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2024年5月10日、2024/25年度最初の世界のトウモロコシ需給予測値を公表した(表)。

 これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は12億1993万トン(前年度比0.7%減)とわずかに減少が見込まれている。このうち、主要生産国・地域であるブラジル、EUおよび中国は、いずれも作付面積の増加により前年度からの生産増が見込まれている。一方、作付面積が減少する米国やアルゼンチンに加え、作付面積と単収が減少するウクライナでは、いずれも前年度からの生産減が見込まれている。

 輸入量は、世界全体で1億8437万トン(同0.7%減)とわずかに減少が見込まれている。このうち、EUは生産量の増加により、1800万トン(同14.3%減)とかなり大きく減少が見込まれている。一方、世界最大のトウモロコシ輸入国である中国は、前年同量の2300万トンとされた。

 消費量は、世界全体で12億2075万トン(同0.4%増)とわずかに増加が見込まれている。用途別に見ると、飼料向けは増加が見込まれている一方、食品・工業向けなど非飼料向けは小幅の減少が見込まれている。

 輸出量は、世界全体で1億9110万トン(同3.2%減)とやや減少が見込まれている。米国は5588万トン(同2.3%増)とわずかに増加するものの、アルゼンチン、ブラジル、ウクライナなどその他主要輸出国は、いずれも減少が見込まれている。

 この結果、期末在庫はブラジルおよびウクライナの減少を米国の増加が補い、3億1227万トン(同0.3%減)と前年度並みの高水準を維持すると見込まれている。
 

1

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
米国の生産量はやや減少、生産者価格は前年度に引き続き下落
 
USDA/WAOBは同日、2024/25年度(9月〜翌8月)最初の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表)。

 生産量は、1エーカー当たりの単収は増加するものの、作付面積の減少により、148億6000万ブッシェル(3億7746万トン(注)、前年度比3.1%減)とやや減少が見込まれている。

 消費量は、126億500万ブッシェル(3億2018万トン、同0.4%増)とわずかに増加が見込まれている。このうち、エタノール向けは、ガソリン消費量がほぼ横ばいと予想されることから前年並みとした一方、飼料など向けは、供給量の増加などからわずかな増加が見込まれている。

 輸出量は、22億ブッシェル(5588万トン、同2.3%増)とわずかな増加が見込まれている。

 この結果、期末在庫は期首在庫と総供給量の増加に伴い、21億200万ブッシェル(5339万トン、同4.0%増)とやや増加し、前年度に引き続き高水準が見込まれている。

 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、14.2%(同0.4ポイント増)とわずかに前年度を上回る水準が見込まれている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.40米ドル(695円。1キログラム当たり27.4円、同5.4%安)とやや下落が見込まれている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
 

2

【貿易動向:トウモロコシ】
24年2月の輸出量は前月から大幅に増加、輸出価格は前月からやや下落
 
2024年2月の米国のトウモロコシ輸出量は、538万3042トン(前年同月比63.7%増、前月比24.9%増)と前年同月を大幅に上回り、前月から大幅に増加した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FAS価格(注))は、1トン当たり234.3米ドル(3万6996円、同27.2%安、同4.4%安)と前年同月を大幅に下回り、前月からやや下落した。

(注)FAS(Free alongside ship)価格:貨物が輸出国の埠頭(ふ とう)または(はしけ)に置かれた時点までの費用を含めた価格。
 



 

3

【貿易動向:コーンスターチ】
24年2月の輸出量は前月から大幅に減少、輸出価格は前月並み
 
2024年2月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万3187トン(前年同月比15.9%減、前月比21.2%減)と前年同月をかなり大きく下回り、前月から大幅に減少した(表、図)。

 同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり845.2米ドル(13万3457円、同16.3%安、同0.0%高)と前年同月を大幅に下回り、前月並みであった。








 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、24年4月の同国中西部市場におけるコーンスターチ価格は、1ポンド当たり14.80米セント(注)(23.4円、前年同月比21.2%安、前月比3.8%高)と前年同月を大幅に下回り、前月から9カ月ぶりに上昇した(図)。

(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
 

4

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
23/24年度のキャッサバ生産量は減産見込み
 
タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)が公表した「農業経済2024年4月」によると、2023/24年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は、905万ライ(145万ヘクタール(注1)、前年度比3.2%減)、単収は1ライ当たり3.09トン(1ヘクタール当たり19.31トン、同6.1%減)とそれぞれ減少が見込まれている(表)。この結果、生産量も2794万トン(同9.1%減)とかなりの程度減少が見込まれている。

 タイでは、18/19年度からキャッサバモザイク病(注2)の感染が拡大しており、農業協同組合省農業普及局は、さらなる感染拡大を防ぐため、近隣国から流入する感染苗の監視強化やキャッサバ生産者に対して抵抗性品種の栽培を推奨している。23/24年度も感染拡大の状況や拡大への懸念が報じられており、減産に拍車をかける可能性がある。

(注1)1ライを約0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)ウイルスの感染によって葉に黄化斑ができる病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物自体が枯れてしまうことから、収穫量が大幅に減少する。タイのほかに、近隣国のベトナムやカンボジアで流行が確認されている。
 

5

【価格動向】
国内価格は高水準を安定的に維持
 
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2024年5月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり18.7バーツ(80.8円、前年同期比2.2%高)と前年同期をわずかに上回り、高水準で推移している(図)。
 

6

【貿易動向】
24年3月の輸出量は前月からやや減少、輸出価格は高水準で推移
 
2024年3月のタピオカでん粉輸出量は、33万5178トン(前年同月比31.7%増、前月比3.9%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からやや減少した(表、図)。

 同月の輸出価格(FOB価格(注)・バンコク)は、1トン当たり580.0米ドル(9万1582円、同7.4%高、前月同)と、前年同期をかなりの程度上回り、高水準で推移している。

(注)FOB(Free on Board)価格:貨物が輸出国の船上に置かれた時点までの費用を含めた価格。
 



 

7

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
24年2月の輸出量は前年同月を大幅に上回り、前月からやや減少
 
2024年2月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、4万1196トン(前年同月比62.3%増、前月比4.5%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からやや減少した(表、図)。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。




 

8

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要国・地域別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
24年3月の輸出量は前年同月をやや下回る
 
2024年3月の化工でん粉の輸出量は、10万1579トン(前年同月5.5%減、前月比24.1%高)と前年同月をやや下回り、前月から大幅に増加した(表、図)。

 


 

9

EU

【貿易動向】
24年2月の輸出量は前年同月を大幅に上回り、前月からやや増加
 
2024年2月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万8825トン(前年同月比19.3%増、前月比3.5%増)と前年同月を大幅に上回り、前月からやや増加した(表、図)。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
 



 

10

米国

【貿易動向】
24年2月の輸出量は前年同月をかなり大きく上回り、前月から大幅に増加
 
2024年2月の化工でん粉の輸出量は、2万4796トン(前年同月比15.3%増、前月比21.0%増)と前年同月をかなり大きく上回り、前月から大幅に増加した(表、図)。
 



 

11

中国

【貿易動向】
24年3月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加
 
2024年3月の化工でん粉の輸出量は、1万9461トン(前年同月比29.3%増、前月比58.5%増)と前年同月を大幅に上回り、前月から大幅に増加した(表、図)。

 


 

12

豪州

【貿易動向】
24年2月の輸出量は8カ月連続で増加
 
2024年2月の化工でん粉の輸出量は、3913トン(前年同月比37.1%増、前月比32.0%増)と前年同月を大幅に上回り、前月から大幅に増加した(表、図)。

 


 

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