ホーム > でん粉 > でん粉の国内需給 > 2 日本の品目別主要輸入先の動向
最終更新日:2024年8月9日
【需給動向:トウモロコシ】
米国などの増産見込みを受けて期末在庫は高水準の見通し
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2024年7月12日、2024/25年度の世界のトウモロコシ需給予測値を公表した(表)。
これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は12億2479万トン(前年度比0.1%減)と前月から425万トン上方修正された。地域別に見ると、カナダでは作付面積、EUとロシアでは単収がそれぞれ下方修正されたことで、生産量も下方修正された。一方で、米国では作付面積の上方修正に伴い生産量も610万トン上方修正された。
輸入量は、1億8651万トン(同1.0%減)と前月から35万トン上方修正された。主要国はいずれも据え置かれたが、カナダやメキシコでの上方修正がイランやバングラデシュの下方修正を上回った。
消費量は、12億2228万トン(同0.3%増)と前月から12万トン上方修正された。このうち、中国は前月から据え置かれたが、米国での上方修正がウクライナやEUの下方修正を上回った。
輸出量は、1億9181万トン(同4.5%減)と前月から6万トン上方修正された。ブラジルやアルゼンチンは前月から据え置いたが、生産量の増加を背景とした米国の上方修正が大きく反映された。
この結果、期末在庫は3億1164万トン(同0.8%増)と前月から87万トン上方修正され、引き続き高水準を維持すると見込まれている。
【需給、価格動向:トウモロコシ】
作付面積の拡大に伴い生産量は上方修正、生産者販売価格は引き続き低迷
USDA/WAOBは同日、2024/25年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表)。
生産量は、作付面積と収穫面積の上方修正を受けて、151億ブッシェル(3億8356万トン(注)、前年度比1.6%減)と前月から上方修正され、前年度からわずかに減少すると見込まれている。
米国内消費量は、126億8000万ブッシェル(3億2208万トン、同0.4%増)とわずかな増加が見込まれている。このうち、飼料等向けは、供給量の増加などからわずかな増加が見込まれている。
輸出量は、生産量の上方修正などを背景に22億2500万ブッシェル(5652万トン、前年度同)と上方修正された。
この結果、総供給量が総消費量を上回り、期末在庫は20億9700万ブッシェル(5327万トン、前年度比11.7%増)と前月から下方修正されたものの、高水準だった前年度をかなり大きく上回ることが見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、14.1%(同1.5ポイント増)と前年度からわずかな増加が見込まれている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.30米ドル(697円。1キログラム当たり27.4円、同7.5%安)とかなりの程度下落が見込まれている。
今回の作付面積と収穫面積の上方修正は、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月28日に公表した作付面積の調査結果に基づいており、作付面積である9150万エーカー(3703万ヘクタール、前年度比3.3%減)は、統計が開始された1944年以降で8番目の規模となっている。
ただし、今回の予測では、23/24年度の米国の消費量と輸出量が前月からそれぞれ191万トン上方修正されたことなどから、同年度の期末在庫が下方修正され、24/25年度の期末在庫に反映される形となった。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
【貿易動向:トウモロコシ】
24年5月の輸出量は前月からかなりの程度減少、輸出価格は前月からわずかに下落
2024年5月の米国のトウモロコシ輸出量は、598万1652トン(前年同月比2.7%減、前月比7.2%減)と前年同月をわずかに下回り、前月からかなりの程度減少した(表、図)。
また、同月の輸出価格(FAS価格(注))は、1トン当たり226.8米ドル(3万6757円、同26.8%安、同1.4%安)と前年同月を大幅に下回り、前月からわずかに下落した。
(注)FAS(Free alongside ship)価格:貨物が輸出国の埠頭または艀に置かれた時点までの費用を含めた価格。
【貿易動向:コーンスターチ】
24年5月の輸出量は前月からかなり大きく減少、輸出価格は前月からわずかに上昇
2024年5月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万4618トン(前年同月比10.0%増、前月比15.4%減)と前年同月をかなりの程度上回り、前月からかなり大きく減少した(表、図)。
同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり799.7米ドル(12万9607円、同14.7%安、同1.7%高)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からわずかに上昇した。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、24年6月の同国中西部市場におけるコーンスターチ価格は、1ポンド当たり16.51米セント(注)(26.8円、前年同月比15.1%安、前月比4.6%高)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からやや上昇した(図)。
(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
【生産動向】
23/24年度のキャッサバ生産量は減産見込み
タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)が公表した「農業経済2024年6月」によると、2023/24年度(10月〜翌9月)のキャッサバの収穫面積は、868万ライ(139万ヘクタール(注1)、前年度比6.4%減)、単収は1ライ当たり3.10トン(1ヘクタール当たり19.35トン、同6.3%減)とそれぞれ減少が見込まれている(表)。この結果、生産量も2688万トン(同12.2%減)とかなり大きく減少が見込まれている。
タイでは、2018/19年度からキャッサバモザイク病(注2)の発生が拡大しており、農業協同組合省農業普及局はさらなる発生拡大を防ぐため、近隣国から流入する感染苗の監視を強化し、キャッサバ生産者に対して抵抗性品種の栽培を推奨している。
天候不順の影響やキャッサバモザイク病発生を懸念した生産者による収穫適期前の前倒し収穫により、でん粉濃度が低下し、取引価格が下落している。キャッサバ関連製品の主要輸出先である中国からの需要の減少もあり、価格の下落が続くと懸念されている。政府は23/24年度の収穫を遅らせて価格を安定させることを目的に、全国の約6万5000世帯のキャッサバ農家を対象に、農業協同組合銀行を通じて世帯当たり最大で5万バーツ(22万2000円)の特別融資を開始した。
(注1)1ライを0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)ウイルス感染により葉に黄化斑が発生する病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物が枯死してしまうため、収穫量が大幅に減少する。タイのほかに、近隣国のベトナムやカンボジアで流行が確認されている。
【価格動向】
国内価格は前年同期からわずかに下落
タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2024年7月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり18.2バーツ(80.8円、前年同期比1.6%安)と前年同期からわずかに下落した(図)。
【貿易動向】
24年5月の輸出量は前月からやや減少、輸出価格は前月からわずかに下落
2024年5月のタピオカでん粉輸出量は、22万8657トン(前年同月比28.0%増、前月比4.0%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からやや減少した(表、図)。
同月の輸出価格(FOB価格(注)・バンコク)は、1トン当たり557.5米ドル(9万354円、同1.5%安、同2.9%安)と、前年同月および前月からわずかに下落した。
(注)FOB(Free on Board)価格:貨物が輸出国の船上に置かれた時点までの費用を含めた価格。
【貿易動向】
24年4月の輸出量は前年同月を大幅に上回り、前月からかなり大きく減少
2024年4月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、4万53トン(前年同月比33.5%増、前月比11.5%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からかなり大きく減少した(表、図)。
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
【貿易動向】
24年5月の輸出量は前年同月をわずかに下回る
2024年5月の化工でん粉の輸出量は、8万6216トン(前年同月比1.0%減、前月比1.5%増)と前年同月をわずかに下回り、前月からわずかに増加した(表、図)。
【貿易動向】
24年4月の輸出量は前年同月を大幅に上回り、前月からわずかに減少
2024年4月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万6783トン(前年同月比26.8%増、前月比2.1%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からわずかに減少した(表、図)。
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
【貿易動向】
24年4月の輸出量は前年同月を大幅に上回り、前月からかなりの程度増加
2024年4月の化工でん粉の輸出量は、2万6647トン(前年同月比16.7%増、前月比10.6%増)と前年同月を大幅に上回り、前月からかなりの程度増加した(表、図)。
【貿易動向】
24年5月の輸出量は前年同月を大幅に上回り、前月からわずかに増加
2024年5月の化工でん粉の輸出量は、1万8199トン(前年同月比47.0%増、前月比0.7%増)と前年同月を大幅に上回り、前月からわずかに増加した(表、図)。
【貿易動向】
24年4月の輸出量は10カ月ぶりに減少
2024年4月の化工でん粉の輸出量は、4078トン(前年同月比93.7%増、前月比12.7%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からかなり大きく減少した(表、図)。