中国のかんしょに関する研究報告(後編)
最終更新日:2024年8月9日
中国のかんしょに関する研究報告(後編)
2024年8月
【要約】
前編(「砂糖類・でん粉情報」2024年7月号掲載)では、中国のかんしょ生産および貿易の概要について紹介した。後編では、中国のかんしょに関する研究報告のうち、かんしょ加工の概要と産業の問題点を整理し、見通しについて考察することにより、日本国内の生産者、流通・加工業者、政府関係者が今後の取り組みを検討するに当たっての一助とする。
かんしょの用途別仕向けを見ると、飼料向けが減少しつつも、生食向けとでん粉向けが増加傾向にあり、中でもでん粉向け生産への投資が増えている。現在の中国のかんしょ関連産業は、一次加工製品が占める割合が高く、産業チェーンのさらなる改善が求められているのはもちろん、原料となるかんしょの歩留りや栽培効率にも改善に大きな余地がある。しかし、作付面積は今後も安定して推移することが見込まれるため、産業全体の効率化が図られれば、その効果はより顕著になると予測される。
1 かんしょの仕向け先の概況
中国では現在、かんしょの飼料向け比率が縮小し、生食向けと加工向けの割合が増加しており、中でも加工向けはでん粉用途が主体となっている。「第十三次五カ年計画」期間中(2016年から20年まで)で見ると、中国のかんしょ仕向け割合は、加工向けが40〜45%、飼料向けが30〜35%、生食向けが20〜30%、輸出向けが5%、種いも向けが8〜10%であった1)、2)。
(1)かんしょの主な用途
ア 生食用
生食用のかんしょは、生かんしょおよび葉茎部を指し、かんしょの外形や色に対する需要者の要求が比較的強く、価格は比較的高い。生かんしょと葉茎部は独特の風味があり、栄養価も高く、消費者の健康志向に合うことから、現在、多くの消費者に好まれており、将来性は明るい。
イ 加工食品
加工食品は、主に発酵類と非発酵類の2種類に分けられる(表1)。発酵類には醸造酒、調味品、フルーツビール飲料などが含まれ、非発酵類にはかんしょでん粉、かんしょの砂糖漬け、かんしょのフライドポテトなどの軽食品類が含まれる。こうした加工企業からはかんしょの外形に対する要求が高くはなく、価格も比較的低い。このうち、「粉麺」「春雨」「幅広麺」が加工食品の80%以上を占める。
ウ アルコールなど向け
中国のかんしょ加工に関し、より複雑な加工は発展途上段階にあり、主にでん粉発酵、加水分解、変性を行う。主な製品はアルコール、グルタミン酸ナトリウム、クエン酸、乳酸、酪酸、アミノ酸、酵素製剤、グルコース、フルクトース、マルトース、変性でん粉などである。また、天然色素の抽出といった非常に複雑な加工製品の生産もある程度の進展がみられるが、大規模生産が可能なのはアルコールのみである(注1)。
エ 飼料加工向け
かんしょの茎葉や加工後の副産物のかんしょかすなどは、栄養やカロリーが豊富であり、また、繊維質を豊富に含んでいることから、これを飼料とすることでかんしょの利用率を高めることができる4)。
(注1)2007年に国家発展改革委員会が公布した「再生可能エネルギー中長期発展計画」では、かんしょは近い将来において重点的に発展させる燃料エタノールの原料作物とされた。
(2)生産から消費までの流れ(商的流通)
ア 生産者/庭先作業場→消費者
生産者が定期市、直売所、ネットショップなどを通じて、生かんしょを直接消費者に販売する伝統的な商的流通である。庭先作業場で簡単な加工を行った上で、定期市で販売することも可能となる。
イ 生産者→小売業者→消費者
生産者がかんしょを小売業者(量販店、飲食店、食料品市場)に販売し、小売業者がかんしょを選別、包装、加工した上で消費者に販売する。最も典型的なのは「生産者から量販店」「生産者から飲食店」などの商的流通である。
ウ 生産者→加工企業→卸売業者/小売業者→消費者
一部の大規模加工企業(かんしょでん粉や嗜好食品類の加工企業など)は、原料需要量が大きく、自社農場のみで需要を満たすことができないため、これらの企業は生産者から直接かんしょを買い取り、かんしょを加工して製品にした上で小売業者を通じて消費者に販売する。
エ 生産者→仲買人→加工企業→小売業者→消費者
生産者は仲買人を通して加工企業に販売し、加工企業が加工を行う。この商的流通は、主産地の中でも加工企業が多い地域でよく見られる。
(3)かんしょでん粉加工業
かんしょは、でん粉の含有量が豊富であり、乾燥重量の約50〜80%をでん粉が占める。生かんしょのでん粉含有量は通常18〜25%で、最も高いものは30%に達することもあるため、かんしょはでん粉生産の最適な原料となる。また、かんしょでん粉は穀類(小麦、トウモロコシ)のでん粉と比べて独特の特性がある。第一に、アミロペクチンの含有量が多い(80%以上)ことから粘度が高く、「春雨」「幅広麺」に使用すると弾力性が高くなる。第二に、重合度が高く、膜が形成されやすい。第三に、味がまろやかである5)。このため、かんしょでん粉やその製品は、中国はもちろん、各国の消費者に人気があり、国内、国際市場で広く需要がある。
ア かんしょでん粉の生産
「中国軽工業年鑑」の統計によると、この数年、中国のかんしょでん粉生産量は25万トン前後を維持している(表2)。一方で、新しい環境保護法の公布および施行に伴い、食品加工企業に対する環境保護の圧力は高まり、でん粉加工企業の汚水処理コストは上昇している。このため、2019年には、でん粉加工工場の稼働率が低下し、かんしょでん粉生産もやや減少したが、20年には再び平均的な水準に回復した。国内で生産されるでん粉のうち、トウモロコシ由来のものは直近の6年間が95%前後で推移しているのに対し、かんしょ由来のものは1%以下である。かんしょ由来のでん粉は17年をピークに低下傾向であったが、20年には、トウモロコシ由来、ばれいしょ由来などの価格が上昇したことから、代替品としてかんしょ由来の割合がやや増加した。
かんしょでん粉は、加工企業の規模が小さく、企業間の製造能力の差が大きく、製品構造が単一なことから、でん粉市場での競争力は弱い。
イ かんしょでん粉の消費
かんしょでん粉は、主に「春雨」「幅広麺」といった食品以外に、食品包装紙などの工業製品、錠剤などの医薬品原料に用いられている。20年には、前述の代替品需要から、かんしょでん粉の消費量が増加したことで、同年の中国の精製かんしょでん粉の消費量は約28万トン(前年比7.7%増)となった(注2)。
ウ かんしょでん粉の輸出入
かんしょでん粉の輸出入の状況を見ると、輸入量は比較的少なく、直近5年間の輸入量は3万トン以下である(図)。輸出量は、中韓自由貿易協定の調印後の韓国向けを始め、タイや日本などのかんしょでん粉需要を背景に、同4万トン以上で推移している。中国税関の統計によると、20年の中国のかんしょでん粉関連製品の主な輸出先は韓国、タイ、日本、インドネシア、マレーシア、米国などであり、輸出量は4万712トンとなった。一方、同年の主な輸入先はインドネシア、フランス、ベトナムであり、輸入量は2万7322トンとなった。
(注2)資料:でん粉業界協会
エ かんしょでん粉の価格
ばれいしょでん粉とかんしょでん粉は、トウモロコシでん粉やキャッサバでん粉と比べて価格が高い(表3)。ここ数年、かんしょでん粉価格は、1トン当たり7500元(16万7550円)強で推移している。安価なトウモロコシでん粉やキャッサバでん粉などが、価格優位性からかんしょでん粉の市場を侵食している。これにより、かんしょでん粉の消費の伸びは鈍化したが、ここ数年、生産量は25万トン前後で安定し、末端需要の変動は少ないため、価格は基本的に安定している。19年には生産量がやや減少し、原料コストの上昇や環境保護への対応が求められていることなどから、価格は小幅に上昇した。19年のかんしょでん粉の国内価格は1トン当たり7650元(17万901円)と、前年比1.6%上昇した。20年は同7600元(16万9784円)とわずかに下落したが、平均輸出単価は同1017米ドル(16万4825円)と、前年比で6%上昇し、平均輸入単価は同490米ドル(7万9414円)と、前年比で14%下落した。
オ 加工企業の分布状況
近年、中国では環境保護関連法が強化されたことで、排水処理設備などを持たない多くの小規模かんしょでん粉加工企業は閉鎖を余儀なくされ、設備投資が可能な主力企業に生産が集約されてきた。かんしょでん粉加工企業は、主に北方および長江中・下流のかんしょ生産地域に分布しており、中でも山東省および河南省はかんしょでん粉の生産量が多く、この2省で国内総生産量の8割前後を占めている。19年には、山東省の生産量が14万トン、河南省の生産量が4万トンとなり、山東省が国内総生産量の6割、河南省が同2割を占めた(注3)。安徽省の泗県、河北省の盧龍、福建省の連城、山東省の泗水が中国の主なかんしょ加工地域となっている。
(注3)資料:でん粉業界協会
カ 今後の予測
今後も、環境保護政策の厳格化が進む中で、環境保護に関する設備基準を満たせない零細企業は次々と市場から姿を消し、業界の集積度はさらに高まると予測される。この結果、主力企業の大規模工場が増えることで、かんしょでん粉生産地域の大規模化は今後もさらに進むとみられる。
ここ数年の原料かんしょやでん粉の価格の傾向を見ると、でん粉価格の利益の上昇率は、加工コストの低下により原料かんしょ価格の上昇率を上回っており、かんしょでん粉加工企業の利益率は高まっている。今後、さらに大規模化や加工技術が高まれば、より低コスト化が図られ、今以上に利益率が高まる可能性がある。さらに複雑な加工を施せば、商品の価値は2〜3倍と、より利益率は高まる。このため、今後は生産地域におけるでん粉加工は大きな投資の対象となると予測される。
国内市場は、依然としてかんしょでん粉の主な供給先である。かんしょでん粉の国内需要は「春雨」などのでん粉製品向けが中心となる。また、これらは輸出もされており、輸出先としては韓国、タイなどのアジア諸国向けが中心となる。かんしょでん粉は汎用性が高く、食品工業では、加工原料はもちろん、増粘剤、安定剤、組織増強剤など、食品の保水性を高め、水分流動の制御、食品の貯蔵の質の保持などを目的とした食品添加物の原料にもなる。今後、中国のかんしょでん粉加工技術はさらに進歩し、品質特性が改善されることで、かんしょでん粉の全体的な需要量の増加が見込まれる。
2 中国のかんしょ産業の課題
(1)環境保護対策と製造技術の改善
中国のかんしょ加工企業には、現在、生産者による単純な手作業の庭先作業場、生産が半機械化された中小規模の工場、全面的に自動化され流れ作業を行う主力企業による大規模工場など、多くの工場が併存している。中国の一部のかんしょ加工企業は発展途上であるとともに、多くの生産地域では依然として伝統的な方法で加工が行われており、でん粉加工や「春雨」「幅広麺」などの伝統的な食品を中心とした一次加工製品の占める割合が高い。かんしょでん粉加工企業の発展のためには、産業チェーンの最適化が必要となる。このほか、規格の標準化が不十分なことから、かんしょ加工製品は、色、外形、品質といった面で多様化する消費者の需要を満たすことができていない。同時に、かんしょの加工過程で発生する汚水処理の技術開発、その普及のための支援政策が少ないため、より有効な環境支援政策を制定し、環境保全と低コスト化を両立させて、かんしょ農家の利益を保障する必要がある。
(2)かんしょの総合利用
現在、かんしょ加工企業では、多くの場合、でん粉などの単一製品のみが生産されており、原料かんしょが持つ有用な部位の多くが流失している。例えば、かんしょ加工では、主に塊茎のみが原料として使用され、その他の部位や副産物が利用されることはほとんどない。かんしょの葉には糖たんぱく質、多糖類などの機能性成分が豊富に含まれており、さまざまな効果が期待できると報告されている。しかし、家畜・家きん向け飼料としての利用が多く、栄養成分が十分に活用されていない6)。このため、これまで不用部位とされてきたものの有効活用が、かんしょ産業の多角的な発展を促すために重要となる。また、農地、労働力などの生産コストが上昇していることに加え、かんしょは穀物栽培補助金の対象外であることが、収益性の低い中小産地におけるかんしょ作付面積の減少の一因となっている。
(3)利益の少なさによる輸出意欲の減退
中国のかんしょ加工製品の輸出では、葉茎部を含む生鮮かんしょ、冷蔵および冷凍かんしょ、干いも、でん粉、春雨といった安価な一次製品が中心であり、アントシアニン、植物性タンパク質など付加価値の高い製品の輸出は十分に行われていない。中国のかんしょ輸出は、近年輸出価格が下落している上、選別、調製、人件費、輸送費など輸出付帯コストも上昇している。これらを背景とした利益の少なさに加え、その貿易段階の手順の多さによって輸出意欲が低下してきたことから、需要が高いにもかかわらず、国際市場占有率は一層低下している7)。
(4)病害虫防除
中国のかんしょ生産において、病害虫防除は重要な課題である。種いもの輸送の際、湿度や温度の管理ができないなど輸送設備が未整備なため、輸送中にカビが発生しやすい。また、生産者による自家育苗が多いことから、種いもの品質が低く、ウイルスに感染しやすいなどの問題がある。主な病害としては、黒斑病(注4)やかんしょ基腐病(注5)があり、これらに感染すると被害がかなり深刻になる8)。現在、多くのウイルス性の病害に対する耐病性品種が育成されており、中でも、江蘇省の徐州かんしょ研究センターが育成した「徐薯18」は、当時の根腐れ病の蔓延を効果的に抑えて、国の「発明一等賞」を獲得した。しかし、中国では優れた専用品種の育種は停滞期を迎えており、近年は画期的な品種の開発が進まず、種いも市場の品質監督基準も不十分で、ウイルスフリー種いも市場でも不良品が出回るなど、優良な種いもが順調に供給されているとはいえない9)。
(注4)カビにより発病する土壌病害。茎葉やいもに病斑ができ、特に収穫後、貯蔵中に発病すると被害が大きくなる。発病していない種いもを使用するとともに、種いもや苗は温湯消毒する必要がある。
(注5)カビにより発病し、罹患すると葉茎部が立ち枯れ、いもが腐敗する。発病すると防除が困難で圃場全体に広がることから被害が大きくなる。発病していない種いもや苗を使用するとともに、発病圃場では2年以上作付けを控える必要があり、排水対策を徹底したほ場での作付けが求められる。
おわりに ―かんしょ産業の展望―
(1)育種段階
中国では1930年代にはかんしょ遺伝資源の収集および保存作業が行われ、国のかんしょ遺伝資源ジーンバンクが構築されていた。今後、優良品種の育種のため、全国的な範囲でかんしょの遺伝資源の収集を行い、世界的にも一流の水準を有するかんしょ遺伝資源保存ジーンバンクを構築する10)。同時に、かんしょ遺伝資源に関する技術革新に力を入れ、さまざまな育種需要を満たす優れた遺伝資源を発掘し、品種の多様化を促進する。例えば、でん粉生産に適した高でん粉で低ポリフェノールオキシダーゼ型の品種、食品加工に適した高糖型の品種、保健食品の生産に適した薬用品種、葉茎部の加工に適した葉茎部利用の品種、生食に適した果物タイプの品種などである。同時に、生産者に対する技術研修に力を入れ、かんしょの優れた遺伝資源の利用率、普及率を高める。
(2)栽培段階
現時点では、政府の穀物栽培補助金政策により生産者の穀物作付意欲が高まっているため、補助金対象外のかんしょの作付面積は200万ヘクタール前後から変動がないと見込まれる。これに伴いかんしょの市場入荷量は現状のまま推移し、市況も安定する。このような中で、かんしょの単収は伸び続けており、生産拡大には、これまでの労働力投下から資本投下による生産性向上へと転換しつつ、近年ではバイオテクノロジーなどの科学技術の発展による効果も大きくなっている。中国国内のかんしょ生産の中心は西南へと移動し、また、産地集積効果も現れることから、特定地域の産業優位性が一層際立つようになる。これにより、中国のかんしょ栽培は大規模化、集約化、機械化が加速する。かんしょの産地と加工企業はともに集中する傾向が高まっており、かんしょ生産は広域分布していた過去の状態から地域的に集積する状態へと変化し、伝統的な零細生産者から専業の大規模生産企業へ転換することになる。また、かんしょ加工も生産者の庭先作業場から大中規模の加工企業へと転換していく。専業の大規模生産企業、専業合作社(注6)、主力企業といった新しいタイプの農業経営体が育っていくとともに、かんしょ産業は今後一層地域集中度を高め、生産の大規模化、組織化が顕著になると予測される。
(注6)専業合作社は産地内の農産物加工企業や有力生産者などが中心になって組織した合作社(農協)。営農指導、販売、資材共同購入、農産物加工など、日本の農協の営農経済事業と同様の事業を運営している。
(3)加工段階
近年、かんしょの加工や貯蔵、鮮度保持技術の向上、新型加工設備の開発および普及、かんしょ加工業における副産物の利用、半製品の開発によって、かんしょの利用率と付加価値は高まっている。中国国内のかんしょでん粉およびでん粉製品業界は、近代化、高度化、大規模化された大型の主力企業が育っている。主力企業が持つ近代化された加工設備によって、かんしょの生産効率とともに製品の品質は今後著しく向上し、主力企業のブランドの優位性が形成され、より市場競争力が高まる。
(4)政策
かんしょの品質規制に関係する政府の関連部門は、今後、かんしょ関連の品質基準、監督、実施規定をさらに徹底させ、高位標準化された種いもの生産体系および品質管理体系を構築するとともに、かんしょでん粉の原料市場を規格化し、表示違反行為などを厳しく取り締まる。同時に、かんしょ市場価格分析と価格低落時などの周知体制を構築し、定期的にかんしょの価格、市場の需給状況、輸出入貿易などの取引情報を公表し、生産者が適時に需給状況を判断して生産調整することができるように支援する。これにより、かんしょ産業の健全性、効率性、持続可能な発展を促す。
(5)消費・貿易段階
かんしょの生化学的構造や機能成分に関する消費者の理解が深まり、かんしょが健康的な食品であるとの認識は、ますます高まっている。かんしょは、栄養が豊富で生理的機能に働きかける成分も有しており、茎葉の利用に代表される健康補助食品の消費量は年々増加していることなどから、各部位の高付加価値加工製品市場の将来性は明るい。また、アントシアニン、活性多糖体、糖たんぱく質などを機能成分とする保健食品や機能性食品の需要も増大を続けている11)。これらによりかんしょの価格は全体的に安定し、価格の変動リスクは低く抑えられており、市場の安定性は比較的良好である。
中国は今後、かんしょでん粉の輸出入先をさらに開拓し、市場構造の多角的な発展を促し、現在の限られた輸出入先に対する依存度を抑え、国際貿易における市場リスクを分散させる。各国の消費需要や消費習慣に合わせ、製品開発者と協同で製品に適した輸出先を発掘し、また、新たな輸出先に合わせた製品を開発する。供給、需要、物流輸送などを勘案したうえで、日本などの高価格市場への輸出割合を徐々に増やし、ベトナムなどの低価格市場への輸出割合を減らして、総合的な利益水準を引き上げる。輸出製品については、伝統的な製品構造を基礎として、アントシアニン、植物性タンパク質などを含む付加価値の高いかんしょ加工製品の輸出量を増やして外貨を獲得する。これらの差別化戦略を通して、中国産かんしょの核心となる競争力を形成する。
参考文献
1)馬剣鳳、程金花、汪潔等(2012)「国内外のかんしょ産業の発展概況[J]」『江蘇農業科学』40(12)pp.1-5.
2)戴起偉、鈕福祥、孫健等(2015)「中国におけるかんしょ加工産業の発展概況と趨勢の分析[J]」『農業工程技術』(35)pp.27-31.
3)湯月敏、代養勇、高歌等(2010)「中国におけるかんしょ産業の現状と発展の趨勢[J]」『中国食物・栄養』(08)pp.23-26.
4)張芳?(2019)「かんしょ加工副産物の総合利用と利益の分析[J]」『農業工程技術』39(11)pp.75-76.
5)「中国におけるかんしょでん粉加工業の現状と産業化発展対策[EB/OL]」
〈http://ganshudianfen.com/?news_4/195.html〉(2022/7/12アクセス)
6)李春英、孫義豪、范会平等(2021)「かんしょの蔓の栄養の評価と開発利用の進展[J]」『食品工業』42(06)pp.390-393.
7)陸建珍、易中懿、徐雪高等(2021)「中国のかんしょ産業の国際的競争力の分析[J]」『江蘇師範大学学報(自然科学版)』39(02)pp.35-39.
8)王騰蛟、牛豆豆、李俊玲等(2022)「北方かんしょ生産地域のかんしょの主な病虫害と総合対策措置[J]」『農業科技通信』(05)pp.215-217.
9)王欣、李強、曹清河、馬代夫(2021)「中国におけるかんしょ産業と種業の発展の現状と今後の展望[J]」『中国農業科学』54(03)pp.483-492.
10)房伯平、張雄堅、陳景益等(2004)「中国におけるかんしょ遺伝資源研究の歴史と現状[J]」『広東農業科学』(S1)pp.3-5.
11)戴起偉、鈕福祥、孫健等(2016)「中国におけるかんしょ製品の消費構造と国内外貿易に関する分析[J]」『農業展望』12(01)pp.72-77.
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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