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2 日本の品目別主要輸入先の動向

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最終更新日:2024年9月10日

2 日本の品目別主要輸入先の動向

2024年9月


 本稿中の為替レートは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年7月末日TTS相場の1米ドル=153.44円、1ユーロ=166.39円を使用した。

 なお、本稿中の輸出価格は品目に応じて以下の価格を使用。

 ・FAS(Free alongside ship)価格:貨物が輸出国の埠頭(ふ とう)または(はしけ)に置かれた時点までの費用を含めた価格。

 ・CFR(Cost and Freight)価格:貨物が輸出国の船上に置かれた時点までの費用および輸入国までの運賃を含めた価格。

 ・FOB(Free on Board)価格:貨物が輸出国の船上に置かれた時点までの費用を含めた価格。
 

トウモロコシ・コーンスターチ

世 界

【需給動向:トウモロコシ】
米国などの増産見込みを受けて、期末在庫は高水準の見通し

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2024年8月12日、2024/25年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表)。

 これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は12億1982万トン(前年度比0.3%減)と前月から497万トン下方修正された。このうち、最大のトウモロコシ生産国である米国は単収の引き上げにより前月から118万トン上方修正されて3億8474万トン(同1.3%減)となり、これに続く中国、ブラジルはいずれも据え置かれた。一方、EUとウクライナなどは著しい高温や干ばつにより単収がそれぞれ下方修正されたことで、世界全体では米国の増産分を上回る減産とされた。

 輸入量は、1億8585万トン(同1.3%減)と前月から66万トン下方修正された。EUや中国などはいずれも前月から据え置かれたが、アジア諸国やエジプトなどでの下方修正がインドの上方修正分を上回った。近年、インドではエタノール原料や飼料用としてトウモロコシ需要が急増しており、輸入が増加しているが、アジア諸国やエジプトの需要減の方が大きかった。

 消費量は、12億1817万トン(同0.0%増)と前月から411万トン下方修正された。このうち、中国やブラジルなどは前月から据え置かれたが、米国やEUで下方修正された。

 輸出量は、1億9147万トン(前年度比4.5%減)と前月から34万トン下方修正された。このうち、米国は生産増を背景に前月から上方修正され、ブラジルとアルゼンチンはいずれも据え置いた。一方、ウクライナやEUなどが下方修正されたことで、米国の増加分を上回る減少とされた。

 この結果、期末在庫は3億1017万トン(同0.5%増)と前月から147万トン下方修正されたものの、引き続き高水準が見込まれている。
 

1

米 国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
米国は単収増加で生産量は上方修正、輸出量も2年ぶりの高水準
 
USDA/WAOBは同日、2024/25年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表)。

 生産量は、作付面積および収穫面積が下方修正される中で、単収の上方修正から151億4700万ブッシェル(3億8475万トン(注)、前年度比1.3%減)と前月から上方修正され、前年度をわずかに下回ると見込まれている。

 米国内消費量は、126億6500万ブッシェル(3億2170万トン、同0.4%増)と前月からわずかに下方修正された。このうち、飼料等向けやエタノール向けは前月から据え置かれたものの、でん粉用途向けなどを含む食品・種子・その他工業向けが下方修正された。

 輸出量は、国際相場が比較的低い水準にあることで米国産トウモロコシの需要が高まるとの期待から、23億ブッシェル(5842万トン、同2.2%増)と前月から上方修正され、22年9月に予測された22/23年度の輸出量以来の高水準とされた。

 この結果、期末在庫は20億7300万ブッシェル(5266万トン、同11.0%増)と前月から下方修正されたものの、高水準となった前年度をかなり大きく上回ると見込まれている。

 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、下方修正されたものの13.9%(同1.3ポイント増)と前年度からわずかな増加が見込まれている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.20米ドル(644円。1キログラム当たり25.4円、同9.7%安)とかなりの程度下落が見込まれている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
 

 

 

 

2

【貿易動向:トウモロコシ】
24年6月の輸出量は前月からかなりの程度減少、輸出価格は前月からわずかに下落
 
2024年6月の米国のトウモロコシ輸出量は、551万636トン(前年同月比44.6%増、前月比7.9%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からかなりの程度減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり223.1米ドル(3万4232円、同25.7%安、同1.6%安)と前年同月を大幅に下回り、前月からわずかに下落した。
 



 

3

【貿易動向:コーンスターチ】
24年6月の輸出量は前月から大幅に増加、輸出価格は前月からやや下落
 
2024年6月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万8747トン(前年同月比18.0%増、前月比28.2%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(表、図)。

 同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり759.5米ドル(11万6538円、同14.6%安、同5.0%安)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からやや下落した。
 






 


 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、24年7月の同国中西部市場におけるコーンスターチ価格は、1ポンド当たり16.12米セント(注)(24.7円、前年同月比22.5%安、前月比2.4%安)と前年同月を大幅に下回り、前月からわずかに下落した(図)。

(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
 

4

タピオカでん粉

ベトナム

【生産動向】
北部および南部地域では増産の見込み
 
ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、北部地域のソンラ省ではトウモロコシ価格の下落によるキャッサバへの転作が進み、作付面積は前年同期比で20〜30%の増加と予測されている。作付面積の拡大に加え、5月と6月の適度な降雨により収量は前年度比30%以上の増加と見込まれている。中部地域のフーイエン省では4月以降の著しい高温と干ばつにより予定された作付面積を下回り、導入コストが低く、高収益が期待できるアカシアに転作する農家もある。ザライ省でも高温による発育の遅れなどの被害が生じ、他の作物への転作が進んだことで今年の作付面積と収量は前年を下回ると予測されている。南部地域のタイニン省では冬春作の植え付け準備と夏秋作の収穫作業が同時に進んでおり、同省は2024年6月時点の作付面積を5万361ヘクタール(前年同期比2.5%増)とし、前年同月からわずかな増加と予測されている。

 また、同国全体のキャッサバモザイク病(注1)は24年8月1日現在、合計5万7215ヘクタール(前月比2.6%減)で発生が確認され、前月からわずかに減少したものの、同病による被害の広がりが懸念されている(注2)

(注1)ウイルス感染により葉に黄化斑が発生する病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物が枯死してしまうため、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアで流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。

【貿易動向】
24年7月の輸出量は前月から大幅に増加、輸出価格は前月並み
 
AgroMonitorによると、2024年7月のタピオカでん粉輸出量は、20万535トン(前年同月比76.5%増、前月比58.2%増)と前年同月および前月から大幅に増加した(表、図)。

 同月の輸出価格(CFR価格・中国向け)は、1トン当たり490米ドル(7万5186円、同9.3%安、同0.2%安)と前年同月をかなりの程度下回り、前月並みであった。

 


 

5

ばれいしょでん粉

E U

【貿易動向】
24年5月の輸出量は前月からやや増加、輸出価格は前月からわずかに上昇

 2024年5月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、4万1989トン(前年同月比18.9%増、前月比4.8%増)と前年同月を大幅に上回り、前月からやや増加した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり895.5ユーロ(14万9002円、同13.3%安、同2.3%高)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からわずかに上昇した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。




 

6

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要国・地域別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タ イ

【貿易動向】
24年6月の輸出量は前月からかなりの程度減少、輸出価格は前月からやや下落
 
2024年6月の化工でん粉の輸出量は、7万9850トン(前年同月比9.7%減、前月比7.4%減)と前年同月および前月からかなりの程度減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり874.8米ドル(13万4229円、同0.3%安、同3.8%安)と前年同月並みであり、前月からやや下落した。
 


 

7

E U

【貿易動向】
24年5月の輸出量は前月からわずかに増加、輸出価格は前月からわずかに上昇
 
2024年5月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万8252トン(前年同月比10.8%増、前月比2.6%増)と前年同月をかなりの程度上回り、前月からわずかに増加した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1602.2ユーロ(26万6590円、同13.4%安、同1.2%高)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からわずかに上昇した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。




 

8

米 国

【貿易動向】
24年5月の輸出量は前月からかなりの程度減少、輸出価格は前月からわずかに下落
 
2024年5月の化工でん粉の輸出量は、2万4024トン(前年同月比0.2%減、前月比9.8%減)と前年同月並みであり、前月からかなりの程度減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1702.1米ドル(26万1170円、同12.3%安、同0.5%安)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からわずかに下落した。

 


 

9

中 国

【貿易動向】
24年6月の輸出量は前月からわずかに減少、輸出価格は前月からかなりの程度上昇
 
2024年6月の化工でん粉の輸出量は、1万8087トン(前年同月比58.0%増、前月比0.6%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からわずかに減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1186.3米ドル(18万2026円、同16.5%安、同10.9%高)と前年同月を大幅に下回り、前月からかなりの程度上昇した。
 



 

10

豪 州

【貿易動向】
24年5月の輸出量は前月から大幅に減少、輸出価格は前月からかなりの程度下落
 
2024年5月の化工でん粉の輸出量は、3211トン(前年同月比70.2%増、前月比21.3%減)と前年同月を大幅に上回り、前月から大幅に減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1539.1米ドル(23万6160円、同4.2%安、同9.7%安)と前年同月をやや下回り、前月からかなりの程度下落した。
 



 

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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