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最終更新日:2024年10月10日
【需給動向:トウモロコシ】
生産量、期末在庫はともに微減するも引き続き高水準の見通し
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2024年9月12日、2024/25年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表)。
これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は12億1857万トン(前年度比0.5%減)と前月から125万トン下方修正された。このうち、最大のトウモロコシ生産国である米国は前月に続き単収が引き上げられ、前月から99万トン上方修正の3億8573万トン(同1.0%減)とされた。これに続く中国、ブラジルはいずれも据え置かれた。一方、EUは、降雨に恵まれたフランスで増産が見込まれるものの、ルーマニアやハンガリーなど南東部での高温干ばつによる減産見込みにより、前月から150万トン下方修正された。
輸入量は、世界全体で1億8540万トン(同3.7%減)と前月から45万トン下方修正された。EUやメキシコ、アジア諸国などが上方修正されたものの、世界最大のトウモロコシ輸入国である中国などの下方修正が影響した。
消費量は、世界全体で12億1985万トン(同0.2%増)と前月から168万トン上方修正された。EUは下方修正、中国や米国は前月から据え置かれたものの、ブラジルやメキシコなどの上方修正が影響した。
輸出量は、世界全体で1億9137万トン(前年度比4.2%減)と前月から10万トン下方修正された。カナダやタンザニアが上方修正されたものの、EUやロシアなどの下方修正が影響した。
この結果、期末在庫は3億835万トン(同0.4%減)と前月から182万トン下方修正されたものの、引き続き高水準が見込まれている。
【需給、価格動向:トウモロコシ】
単収の上方修正で生産量も増加、輸出量も高水準を維持
USDA/WAOBは同日、2024/25年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表)。
生産量は、作付面積および収穫面積が前月から据え置かれたものの、単収の上方修正から151億8600万ブッシェル(3億8574万トン(注)、前年度比1.0%減)と前月から上方修正され、前年度をわずかに下回ると見込まれている。
米国内消費量は、126億6500万ブッシェル(3億2170万トン、同0.3%増)と前月から据え置かれ、前年度並みと見込まれている。
輸出量は、引き続き国際相場が低い水準にあり、米国の供給量が豊富であることから、23億ブッシェル(5842万トン、同0.4%増)と前月から据え置かれ、21/22年度以来の高水準とされている。
なお、今回、前年度の輸出量およびエタノール仕向け量が上方修正されたことを受けて、24/25年の期首在庫が下方修正されたが、18億1200万ブッシェル(4603万トン、同33.2%増)と前年度を大幅に上回る水準とされた。
この結果、期末在庫は20億5700万ブッシェル(5225万トン、同13.5%増)と前月から下方修正されたものの、高水準となった前年度をかなり大きく上回ると見込まれている。
また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、13.7%(同1.6ポイント増)と前月から0.2ポイント下方修正されたが、前年度からの増加が見込まれている。
一方、生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.10米ドル(598円。1キログラム当たり23.5円、同11.8%安)と前月から同0.10米ドル(15円)下方修正され、前年からかなり大きく下落することが見込まれている。
(注)1ブッシェルを約25.401キログラム、1エーカーを約0.4047ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
【貿易動向:トウモロコシ】
24年7月の輸出量は前月からやや減少、輸出価格は前月からわずかに下落
2024年7月の米国のトウモロコシ輸出量は、527万2106トン(前年同月比2.2倍、前月比4.3%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からやや減少した(表、図)。
また、同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり218.3米ドル(3万1828円、同25.5%安、同2.2%安)と前年同月を大幅に下回り、前月からわずかに下落した。
【貿易動向:コーンスターチ】
24年7月の輸出量は前月からかなりの程度減少、輸出価格は前月からわずかに上昇
2024年7月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万7190トン(前年同月比2.5%増、前月比8.3%減)と前年同月をわずかに上回り、前月からかなりの程度減少した(表、図)。
同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり775.7米ドル(11万3097円、同12.4%安、同2.1%高)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からわずかに上昇した。
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、24年8月の同国中西部市場におけるコーンスターチ価格は、1ポンド当たり14.77米セント(注)(21.5円、前年同月比20.5%安、前月比8.4%安)と前年同月を大幅に下回り、前月からかなりの程度下落した(図)。
(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
【生産動向】
23/24年度のキャッサバ生産量は減産見込み
タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)が公表した「農業経済2024年8月」によると、2023/24年度(10月〜翌9月)のキャッサバ収穫面積は、868万ライ(139万ヘクタール(注1)、前年度比6.4%減)、単収は1ライ当たり3.10トン(1ヘクタール当たり19.35トン、同6.3%減)とそれぞれ減少が見込まれている(表)。この結果、生産量も2688万トン(同12.2%減)とかなり大きく減少が見込まれている。
タイでは、2018/19年度からキャッサバモザイク病(注2)の発生が拡大している。タイ・タピオカ開発機構では、これまで以上の抵抗性品種の育成とウイルスフリー苗木の増殖に取り組んでおり、これにより、現在広く使われている品種と同程度の単収が見込めるとしている。すでに農業普及局や農業局にも提供しているため、行政機関を通じた増殖と農家への配布も期待でき、現地報道によると23万本の苗木の準備が完了しているとされる。
キャッサバの農家価格は24年2月以降下落し続けている。このため、政府は23/24年度の収穫を遅らせて価格を安定させることを目的に、全国の約6万5000世帯のキャッサバ農家を対象に、農業協同組合銀行を通じて世帯当たり最大5万バーツ(22万2000円)の特別融資を措置しているが、価格の下落に歯止めがかかっていない。主産地である北部や東北部での洪水被害も報じられており、価格の安定化と農家への支援について、政府への圧力が高まる可能性がある。
(注1)1ライを0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
(注2)ウイルス感染により葉に黄化斑が発生する病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物が枯死してしまうため、収穫量が大幅に減少する。タイのほかに、近隣国のベトナムやカンボジアで流行が確認されている。
【価格動向】
国内価格は前年同期からかなりの程度下落
タイ・タピオカでん粉協会(TTSA)によると、2024年9月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり17.2バーツ(74.8円、前年同期比7.5%安)と前年同期からかなりの程度下落した(図)。
【貿易動向】
24年6月の輸出量は前月からわずかに減少、輸出価格は前月からわずかに下落
2024年6月のタピオカでん粉輸出量は、22万5850トン(前年同月比43.7%増、前月比1.2%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からわずかに減少した(表、図)。
同月の輸出価格(FOB価格・バンコク)は、1トン当たり547.5米ドル(7万9826円、同3.9%安、同1.8%安)と、前年同月をやや下回り、前月からわずかに下落した。
【貿易動向】
24年6月の輸出量は前月からわずかに増加、輸出価格は前月からわずかに上昇
2024年6月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、4万2701トン(前年同月比13.8%増、前月比1.6%増)と前年同月をかなり大きく上回り、前月からわずかに増加した(表、図)。
また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり899.0ユーロ(14万5584円、同11.0%安、同0.5%高)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からわずかに上昇した。
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
【貿易動向】※資料元が未更新のため6月分データを再掲。
24年6月の輸出量は前月からかなりの程度減少、輸出価格は前月からやや下落
2024年6月の化工でん粉の輸出量は、7万9850トン(前年同月比9.7%減、前月比7.4%減)と前年同月および前月からかなりの程度減少した(表、図)。
また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり874.8米ドル(12万7546円、同0.3%安、同3.8%安)と前年同月並みであり、前月からやや下落した。
【貿易動向】
24年6月の輸出量は前月からかなり大きく減少、輸出価格は前月からやや下落
2024年6月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万1948トン(前年同月比1.5%減、前月比13.6%減)と前年同月をわずかに下回り、前月からかなり大きく減少した(表、図)。
また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1546.1ユーロ(25万375円、同20.2%安、同3.3%安)と前年同月を大幅に下回り、前月からやや下落した。
(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
【貿易動向】
24年6月の輸出量は前月からかなりの程度減少、輸出価格は前月からわずかに上昇
2024年6月の化工でん粉の輸出量は、2万1725トン(前年同月比2.1%減、前月比9.6%減)と前年同月をわずかに下回り、前月からかなりの程度減少した(表、図)。
また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1733.4米ドル(25万2730円、同2.9%安、同1.8%高)と前年同月をわずかに下回り、前月からわずかに上昇した。
【貿易動向】
24年7月の輸出量は前月からかなり大きく減少、輸出価格は前月からやや上昇
2024年7月の化工でん粉の輸出量は、1万5867トン(前年同月比61.6%増、前月比12.3%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からかなり大きく減少した(表、図)。
また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1231.3米ドル(17万9524円、同24.2%安、同3.8%高)と前年同月を大幅に下回り、前月からやや上昇した。
【貿易動向】
24年6月の輸出量は前月から大幅に減少、輸出価格は前月からやや上昇
2024年6月の化工でん粉の輸出量は、2668トン(前年同月比2.3倍、前月比16.9%減)と前年同月を大幅に上回り、前月から大幅に減少した(表、図)。
また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1611.9米ドル(23万5015円、同3.9%高、同4.7%高)と前年同月および前月からやや上昇した。