でん粉 でん粉分野の各種業務の情報、情報誌「でん粉情報」の記事、統計資料など

ホーム > でん粉 > でん粉の国内需給 > でん粉の国内需給

でん粉の国内需給

印刷ページ

最終更新日:2024年11月11日

でん粉の国内需給

2024年11月

調査情報部

1 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、でん粉に関して適切な価格調整を図るため、半期ごとにでん粉の需給見通しを公表している。令和6年9月に公表したでん粉の需給見通しの概要は、次の通り。
 





 
1

(1)でん粉の需要量の見通し

 用途ごとのでん粉の需要量の見通しは以下の通り。

【糖化用向けでん粉の需要量】
令和5でん粉年度は、前年度からわずかに減少する見込み
 
令和5でん粉年度は、酒税法改正に伴う発泡酒の需要の減少が見込まれることから、前年度を1万1000トン下回る165万3000トンと見込まれる。

 6でん粉年度は、外出機会の増加やインバウンド需要の回復に伴い土産需要などの増加が見込まれることから、前年度を5000トン上回る165万8000トンと見通している。

【化工でん粉用向けでん粉の需要量】
令和5でん粉年度は、前年度からかなりの程度減少する見込み
 
令和5でん粉年度は、製紙向け需要の減少が見込まれることから、前年度を2万4000トン下回る23万4000トンと見込まれる。

 6でん粉年度は、前年度と同程度の需要が見込まれ、前年度並みの23万4000トンと見通している。

【その他でん粉の需要量】
令和5でん粉年度は、前年度からわずかに減少する見込み
 
令和5でん粉年度は、主に製紙向け需要の減少が見込まれることから、前年度を1万トン下回る52万3000トンと見込まれる。

 6でん粉年度は、経済活動の回復に伴いビールなどの需要の増加が見込まれることから、前年度を5000トン上回る52万8000トンと見通している。

(2)でん粉の供給量の見通し

 各種でん粉の供給量の見通しは以下の通り。

【かんしょでん粉の生産量】
令和5でん粉年度は、前年度から大幅に減少
 
令和5年産でん粉原料かんしょの生産量は、産地でのサツマイモ基腐(もと ぐされ)病の発生面積が減少したものの、他用途向けとの原料の競合の影響により、かんしょでん粉の生産量は、前年度を4000トン下回る1万1000トンと見込まれる。

 6年産については、現状では前年度から大きな変化はなく、産地の原料いもの生育状況も踏まえ、かんしょでん粉の生産量は前年同の1万1000トンと見通している。

【ばれいしょでん粉の生産量】
令和5でん粉年度は、前年度からやや減少

 令和5年産でん粉原料ばれいしょの生産量は、酷暑によるでん粉含有率の低下が生じたため、ばれいしょでん粉の生産量は前年を5000トン下回る15万トンと見込まれる。

 6年産については、現状では天候に恵まれ、産地の原料いもの生育状況も踏まえ、ばれいしょでん粉の生産量は前年を6000トン上回る15万6000トンと見通している。

【コーンスターチの供給量】
令和5でん粉年度は、前年度からわずかに減少
 
令和5でん粉年度は、酒税法改正に伴う発泡酒の需要の減少や製紙向け需要の減少により、5でん粉年度の供給量はでん粉ベースで前年度を3万3000トン下回る208万3000トンと見込まれる。

 6でん粉年度は、外出機会の増加やインバウンド需要の回復に伴う土産需要などの増加や、経済活動の回復に伴うビール需要などの増加が見込まれることから、前年度を1万4000トン上回る209万7000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(糖化製品、化工でん粉用)
令和5でん粉年度は、わずかに増加
 
令和5でん粉年度は、国産いもでん粉の供給量の減少の影響などにより、前年度を3000トン上回る13万5000トンと見込まれる。

 6でん粉年度は、国産ばれいしょでん粉の供給量が増加見込みであることなどから、前年度を6000トン下回る12万9000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(その他用)
令和5でん粉年度は、前年度から大幅に増加
 
令和5でん粉年度は、業務用加工食品向けなどの需要の増加により、前年度を4000トン上回る1万4000トンと見込まれる。

 6でん粉年度は、引き続き需要が増加することから、前年度を3000トン上回る1万7000トンと見通している。

【小麦でん粉の供給量】
令和5でん粉年度は、前年度並み
 
小麦でん粉は、主に畜水産練製品向けとして供給されており、令和5でん粉年度は近年の需要に応じた製造がされるものとして、前年度並みの1万4000トンと見込まれる。

 6でん粉年度についても、同程度の供給がなされるものとして、前年同の1万4000トンと見通している。

2 輸入動向

【タピオカでん粉の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2024年8月のタピオカでん粉の輸入量は、6381トン(前年同月比44.3%減、前月比40.1%減)と、前年同月から大幅に減少した(図1)。

 輸入先はタイ、台湾およびベトナムで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 タイ
 6373トン(前年同月比44.3%減、前月比40.1%減)

 台湾
 4トン(前年同月および前月輸入実績なし)

 ベトナム
 4トン(前年同月比42.3%減、前月比33.6%減)





 2024年8月の1トン当たりの輸入価格は、7万8693円(前年同月比3.6%安、前月比8.3%安)と、前年をやや下回った(図2)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 タイ
 7万8324円(前年同月比3.7%安、前月比8.3%安)

 台湾
 26万5972円(前年同月および前月輸入実績なし)

 ベトナム
 44万3735円(前年同月比2.5倍、前月比18.3%高)
 

2

【サゴでん粉の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月から大幅に減少
 
財務省「貿易統計」によると、2024年8月の輸入量は、1350トン(前年同月比18.0%減、前月比32.6%減)と、前年同月から大幅に減少した(図3)。

 輸入先はマレーシアおよびインドネシアで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 マレーシア
 1260トン(前年同月比23.5%減、前月比37.1%減)

 インドネシア
 90トン(前年同月および前月輸入実績なし)





 2024年8月の1トン当たりの輸入価格は、10万2171円(前年同月比16.5%安、前月比5.2%安)と、前年同月を大幅に下回った(図4)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 マレーシア
 10万2195円(前年同月比16.5%安、前月比5.2%安)

 インドネシア
 10万1833円(前年同月および前月輸入実績なし)
 

3

【ばれいしょでん粉の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月からかなり大きく減少
 
財務省「貿易統計」によると、2024年8月のばれいしょでん粉の輸入量は1089トン(前年同月比14.9%減、前月比57.3%減)と、前年同月からかなり大きく減少した(図5)。

 輸入先はデンマーク、オランダ、ポーランドおよびオーストリアで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 デンマーク
 620トン(前年同月比89.0%増、同23.4%減)

 オランダ 
 400トン(同99.9%増、同42.9%増)

 ポーランド
 66トン(前年同月輸入実績なし、同3.0倍)

 オーストリア
 3トン(前年同月および前月輸入実績なし)





 2024年8月の1トン当たりの輸入価格は、15万6883円(前年同月比11.7%高、前月比5.2%安)と、前年同月をかなり大きく上回った(図6)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 デンマーク
 15万5810円(前年同月比4.8%高、同8.2%安)

 オランダ
 15万7958円(同12.9%高、同7.1%高)

 ポーランド
 15万6303円(前年同月輸入実績なし、同4.6%安)

 オーストリア
 24万8333円(前年同月および前月輸入実績なし)
 

4

【でん粉誘導体の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月からやや増加
 
財務省「貿易統計」によると、2024年8月のでん粉誘導体の輸入量は、3万1114トン(前年同月比4.6%増、前月比14.6%減)と、前年同月からやや増加した(図7)。

 2024年8月の1トン当たりの輸入価格は、15万1865円(前年同月比3.5%高、前月比4.0%安)と、前年同月をやや上回った。
 



 


 でん粉誘導体の輸入先は15カ国・地域で、最大の輸入先はタイであった。主要輸入先からの輸入量は次の通りで、タイが輸入量の約7割を占めており、次いでフランス、ベトナムとなっている(表3)。
 

5

【デキストリンの輸入動向】
8月の輸入量は前年同月から大幅に減少
 
財務省「貿易統計」によると、2024年8月のデキストリンの輸入量は、698トン(前年同月比51.1%減、前月比35.6%減)と、前年同月から大幅に減少した(図8)。

 デキストリンの輸入先は7カ国・地域で、輸入量は上位輸入先の数量および各国のシェアも含め、月ごとの変動が大きい。

 2024年8月の1トン当たりの輸入価格は、23万243円(前年同月比0.3%高、前月比27.0%高)と、前年同月並みとなった。
 




 上位輸入先からの輸入量は次の通りで、タイおよびベトナムで輸入量の約7割を占めている(表4)。

6

【コーンスターチ用トウモロコシの輸入動向】
8月の輸入量は前年同月からわずかに減少
 
財務省「貿易統計」によると、2024年8月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、24万2293トン(前年同月比1.9%減、前月比19.4%減)となり、前年同月からわずかに減少した(図9)。

 輸入先は、米国のみで、輸入量は次の通りであった。

 米国
 24万2293トン(前年同月比22.1%増、前月比19.4%減)

 2024年8月の1トン当たりの輸入価格は、4万495円(前年同月比17.4%安、前月比5.3%安)と、前年同月を大幅に下回った。

 1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 米国
 4万495円(前年同月比17.5%安、前月比5.3%安)
 

7
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272