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2 日本の品目別主要輸入先の動向

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最終更新日:2025年1月10日

2 日本の品目別主要輸入先の動向

2025年1月



 本稿中の為替レートは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年11月末日TTS相場の1米ドル=151.74円、1ユーロ=160.70円を使用した。

 なお、本稿中の輸出価格は品目に応じて以下の価格を使用。

 ・FAS(Free alongside ship)価格:貨物が輸出国の埠頭(ふ とう)または(はしけ)に置かれた時点までの費用を含めた価格。
 ・CFR(Cost and Freight)価格:貨物が輸出国の船上に置かれた時点までの費用および輸入国までの運賃を含めた価格。
 ・FOB(Free on Board)価格:貨物が輸出国の船上に置かれた時点までの費用を含めた価格。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
消費量の微増などから期末在庫はかなりの程度減少
 
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2024年12月10日、2024/25年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表)。

 これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は12億1789万トン(前年度比1.0%減)と前月から151万トン下方修正された。このうち、ウクライナは前月から上方修正されたが、EUやインドネシア、メキシコなどの下方修正がこれを上回った。中でもメキシコは、冬トウモロコシの作付面積の減少が見込まれており、加えて北西部では、高温干ばつにより10月の貯水池水位が同月としては過去22年間で最も低くなっているため、収穫への影響も危惧されている。

 輸入量は、世界全体で1億8392万トン(同6.7%減)と前月から51万トン上方修正された。このうち、ブラジルとの貿易量が減少した中国は前月から下方修正されたが、EUやバングラデシュ、メキシコなどの上方修正が補った。

 消費量は、世界全体で12億3766万トン(同1.6%増)と前月から818万トン上方修正された。このうち、米国やブラジル、EUなどで前月から上方修正されたことが寄与した。

 輸出量は、世界全体で1億9304万トン(前年度並み)と前月から321万トン上方修正された。最大の輸出国である米国は6287万トンと前月から381万トン上方修正されたことが寄与した。

 この結果、期末在庫は米国や中国、EUでの下方修正を反映し2億9644万トン(前年度比6.3%減)と前月から770万トン下方修正された。
 

1

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
米国は総消費量の増加により期末在庫はわずかに減少
 
USDA/WAOBは2024年12月10日、2024/25年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを更新した(表)。

 生産量は前月から据え置かれ、151億4300万ブッシェル(3億8465万トン(注))と見込まれている。

 米国内消費量は、127億1500万ブッシェル(3億2297万トン、前年度比0.3%増)と前月から上方修正され、前年度並みと見込まれている。このうち、エタノール向けトウモロコシについては、24年9月から11月までの使用量が17年以来最高値とされている。

 輸出量は、24億7500万ブッシェル(6287万トン、同8.0%増)と前年度をかなりの程度上回る高水準とされている。

 この結果、期末在庫は17億3800万ブッシェル(4415万トン、同1.3%減)と、総消費量が上方修正された影響で前月から下方修正され、前年度をわずかに下回ると見込まれている。

 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、11.4%(同0.4ポイント減)と前月から1.5ポイント下方修正され、前年度を下回ると見込まれている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.10米ドル(622円。1キログラム当たり24.5円、同9.9%安)と前月から据え置かれ、前年からかなりの程度下落することが見込まれている。

(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
 

2

【貿易動向:トウモロコシ】
24年10月の輸出量は前月からやや減少、輸出価格は前月からわずかに上昇
 
2024年10月の米国のトウモロコシ輸出量は、405万9377トン(前年同月比45.7%増、前月比5.4%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からやや減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり214.6米ドル(3万2563円、同14.1%安、同2.1%高)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からわずかに上昇した。
 



 

3

【貿易動向:コーンスターチ】
24年10月の輸出量は前月からかなり大きく増加、輸出価格は前月からわずかに上昇
 
2024年10月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万8533トン(前年同月比2.2%増、前月比15.0%増)と前年同月をわずかに上回り、前月からかなり大きく増加した(表、図)。

 同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり749.4米ドル(11万3714円、同17.3%安、同0.4%高)と前年同月を大幅に下回り、前月からわずかに上昇した。

 





 


米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、24年11月の同国中西部市場におけるコーンスターチ価格は、1ポンド当たり14.47米セント(注)(22.0円、前年同月比7.1%安、前月比1.9%高)と前年同月をかなりの程度下回り、前月からわずかに上昇した(図)。

(注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
 

4

タピオカでん粉

ベトナム

 【生産動向】
天候不順によるキャッサバ生産への影響が懸念される
 
ベトナムの民間調査会社(AgroMonitor)によると、北部地域では2023/24年度のキャッサバ価格の高騰を受け、24/25年度の作付面積は前年同期比15〜20%増と見込まれている。ただし、干ばつによる植え付け遅れとその後の天候不順による生育不良から、生産量の減少につながる可能性があるとされている。なお、北部タインホア省およびゲアン省では、一部の生産者でキャッサバに比べて収益性が期待できる他作物への転作が進んだことにより、作付面積は10〜15%の増加にとどまるとされる。中部地域でも、キャッサバからアカシア、サトウキビ、果樹などへの転作が進んだことにより、作付面積は3〜10%減少している。これに加え、長雨の影響でキャッサバの成長が阻害されたことで生産量のさらなる減少が見込まれている。南部地域のタイニン省では例年より雨季が長引いたため、冬春キャッサバの作付けは例年より約1カ月遅れた。同省の冬春キャッサバの最適な作付け時期は10月後半であるため、この影響が懸念される。

 また、キャッサバモザイク病(注1)は24年11月28日現在、同国全体で合計3万417ヘクタール(前月比27.0%減)の発生が確認され、前月から大幅に減少した(注2)

(注1)ウイルス感染により葉に黄化斑が発生する病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物が枯死してしまうため、収穫量が大幅に減少する。ベトナムのほかに、近隣国のタイやカンボジアで流行が確認されている。
(注2)同国のキャッサバ作付面積は、近年、おおむね50万ヘクタール程度で推移している。

 


【貿易動向】
24年11月の輸出量は前月から大幅に増加、10月の輸出価格は前月からやや下落

 AgroMonitorによると、2024年11月のタピオカでん粉輸出量は、19万7685トン(前年同月比16.4%減、前月比30.3%増)と前年同月を大幅に下回り、前月から大幅に増加した(表、図)。

 24年10月の輸出価格(CFR価格・中国向け)は、1トン当たり451米ドル(6万8435円、同16.6%安、同5.1%安)と前年同月を大幅に下回り、前月からやや下落した。




 

5

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
24年9月の輸出量は前月から大幅に増加、輸出価格は前月からわずかに上昇
 
2024年9月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万5919トン(前年同月比5.5%増、前月比21.7%増)と前年同月をやや上回り、前月から大幅に増加した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり941.1ユーロ(15万1235円、同1.3%安、同2.1%高)と前年同月をわずかに下回り、前月からわずかに上昇した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
 



 

6

化工でん粉


 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要国・地域別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
24年9月の輸出量は前月からやや減少、輸出価格は前月からわずかに下落
 
2024年9月の化工でん粉の輸出量は、9万1575トン(前年同月比9.3%増、前月比3.7%減)と前年同月をかなりの程度上回り、前月からやや減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり892.1米ドル(13万5367円、同0.9%安、同2.8%安)と前年同月および前月からわずかに下落した。

 


 

7

EU

【貿易動向】
24年9月の輸出量は前月からかなり大きく増加、輸出価格は前月からわずかに下落
 
2024年9月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万3405トン(前年同月比26.9%増、前月比11.1%増)と前年同月を大幅に上回り、前月からかなり大きく増加した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1520.2ユーロ(24万4296円、同15.2%安、同0.4%安)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からわずかに下落した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。
 



 

8

米国

【貿易動向】
24年9月の輸出量は前月からかなり大きく減少、輸出価格は前月から大幅に上昇
 
2024年9月の化工でん粉の輸出量は、2万2213トン(前年同月比6.7%減、前月比12.0%減)と前年同月をかなりの程度下回り、前月からかなり大きく減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1803.3米ドル(27万3633円、同12.7%高、同16.1%高)と前年同月をかなり大きく上回り、前月から大幅に上昇した。
 



 

9

中国

【貿易動向】
24年10月の輸出量は前月からわずかに増加、輸出価格は前月からわずかに上昇
 
2024年10月の化工でん粉の輸出量は、1万7130トン(前年同月比46.0%増、前月比2.7%増)と前年同月を大幅に上回り、前月からわずかに増加した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1136.7米ドル(17万2483円、同10.0%安、同2.9%高)と前年同月をかなりの程度下回り、前月からわずかに上昇した。
 



 

10

豪州

【貿易動向】
24年9月の輸出量は前月から大幅に減少、輸出価格は前月からやや上昇
 
2024年9月の化工でん粉の輸出量は、2563トン(前年同月比19.3%増、前月比34.4%減)と前年同月を大幅に上回り、前月から大幅に減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1661.0米ドル(25万2040円、同3.5%安、同3.2%高)と前年同月をやや下回り、前月からやや上昇した。




 

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