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でん粉の国内需給

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最終更新日:2025年4月10日

でん粉の国内需給

2025年4月

調査情報部

1 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、でん粉に関して適切な価格調整を図るため、半期ごとにでん粉の需給見通しを公表している。令和7年2月に公表したでん粉の需給見通しの概要は、次の通り。
 





 
1

(1)でん粉の需要量の見通し

 用途ごとのでん粉の需要量の見通しは以下の通り。

【糖化用向けでん粉の需要量】
令和5でん粉年度は、前年度からわずかに減少 

 令和5でん粉年度は、酒税法改正に伴う発泡酒の需要の減少により、前年度を2万トン下回る164万4000トンとなった。

 6でん粉年度は、外出機会の増加やインバウンド需要の増加に伴い土産需要などの増加が見込まれることから、前年度を2万2000トン上回る166万6000トンと見通している。

【化工でん粉用向けでん粉の需要量】
令和5でん粉年度は、前年度からかなりの程度減少
 
令和5でん粉年度は、製紙向け需要の減少により、前年度を2万3000トン下回る23万5000トンとなった。

 6でん粉年度は、好調な外食需要を背景とした業務用加工食品などの需要増が見込まれることから、前年度を2000トン上回る23万7000トンと見通している。

【その他用途向けでん粉の需要量】
令和5でん粉年度は、前年度からやや減少

 令和5でん粉年度は、主に製紙向け需要の減少により、前年度を2万5000トン下回る50万8000トンとなった。

 6でん粉年度は、菓子やビールなどの需要増が見込まれることから、前年度を9000トン上回る51万7000トンと見通している。

(2)でん粉の供給量の見通し

 各種でん粉の供給量の見通しは以下の通り。

【かんしょでん粉の生産量】
令和5でん粉年度は、前年度から大幅に減少 
 
令和5年産でん粉原料かんしょの生産量は、産地でのサツマイモ基腐(もと ぐされ)病の発生面積が減少したものの、他用途向けとの原料の競合の影響により、かんしょでん粉の生産量は、前年度を4000トン下回る1万1000トンとなった。

 6年産については、前年度と同様に、他用途向けとの原料の競合の影響により、かんしょでん粉の生産量は前年度を1000トン下回る1万トンと見通している。

【ばれいしょでん粉の生産量】
令和5でん粉年度は、前年度からわずかに減少
 
令和5年産でん粉原料ばれいしょの生産量は、8月中旬以降の酷暑によるでん粉含有率の低下が生じたため、ばれいしょでん粉の生産量は前年を4000トン下回る15万1000トンとなった。

 6年産については、8月中旬以降の気温が下がったため、原料用ばれいしょのでん粉含有率が回復したことから、ばれいしょでん粉の生産量は前年度を6000トン上回る15万7000トンと見通している。

【コーンスターチの供給量】
令和5でん粉年度は、前年度からわずかに減少
 
令和5年度は、酒税法改正に伴う発泡酒の需要の減少や製紙向け需要の減少により、5でん粉年度の供給量はでん粉ベースで前年度を5万2000トン下回る206万4000トンとなった。

 6年度は、外出機会の増加やインバウンド需要の増加に伴う土産需要などの増加や、ビール需要の増加が見込まれることから、前年度を2万4000トン上回る208万8000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(糖化製品、化工でん粉用)
令和5でん粉年度は、わずかに増加
 
令和5でん粉年度は、国産いもでん粉の供給量の減少の影響などにより、前年度を3000トン上回る13万5000トンとなった。

 6でん粉年度は、糖化製品、化工でん粉の需要増などにより、前年度を7000トン上回る14万2000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(その他用)
令和5でん粉年度は、前年度並み
 
令和5でん粉年度は、業務用加工食品向けなどとして供給されており、前年度と変わらず1万トンとなった。

 6でん粉年度は、業務用加工食品向け需要の増加が見込まれることから、前年度を3000トン上回る1万3000トンと見通している。

【小麦でん粉の供給量】
令和5でん粉年度は、前年度並み
 
小麦でん粉は、主に畜水産練製品向けとして供給されており、令和5でん粉年度は近年の需要に応じた製造がされるものとして、前年度並みの1万4000トンとなった。

 6でん粉年度についても、同程度の供給がなされるものとして、前年度同の1万4000トンと見通している。

2 輸入動向

【タピオカでん粉の輸入動向】
1月の輸入量は前年同月からやや増加
 
財務省「貿易統計」によると、2025年1月のタピオカでん粉の輸入量は、1万428トン(前年同月比3.9%増、前月比2.5倍)と、前年同月からやや増加した(図1)。

 輸入先はタイ、ベトナム、台湾およびオーストリアで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 タイ
 9622トン(前年同月比3.9%減、前月比2.3倍)

 ベトナム
 799トン(同183.3倍、同65.6倍)

 台湾
 7トン(同51.3%減、同42.1%減)

 オーストリア
 0.3トン(前年同月および前月輸入実績なし)





 2025年1月の1トン当たりの輸入価格は、6万9917円(前年同月比14.1%安、前月比4.7%安)と、前年同月をかなり大きく下回った(図2)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 タイ
 6万9724円(前年同月比13.7%安、前月比2.6%安)

 ベトナム
 6万7574円(同74.3%安、同72.8%安)

 台湾
 54万7997円(同19.7%高、同4.7%高)

 オーストリア
 102万6667円(前年同月および前月輸入実績なし)
 

2

【サゴでん粉の輸入動向】
1月の輸入量は前年同月からかなりの程度減少
 
財務省「貿易統計」によると、2025年1月の輸入量は、1157トン(前年同月比9.5%減、前月比38.8%減)と、前年同月からかなりの程度減少した(図3)。

 輸入先はマレーシアのみで、輸入量は次の通りであった。

 マレーシア
 1157トン(前年同月比5.4%増、前月比8.2%減)
 



 


 2025年1月の1トン当たりの輸入価格は、10万3047円(前年同月比8.3%安、前月比5.8%高)と、前年同月をかなりの程度下回った(図4)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 マレーシア
 10万3047円(前年同月比9.4%安、前月比3.2%高)
 

3
【ばれいしょでん粉の輸入動向】
1月の輸入量は前年同月から大幅に増加
 
財務省「貿易統計」によると、2025年1月のばれいしょでん粉の輸入量は810トン(前年同月比18.6%増、前月比77.3%増)と、前年同月から大幅に増加した(図5)。

 輸入先はドイツ、オランダ、デンマーク、中国およびスウェーデンで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 ドイツ
 299トン(前年同月比23.5%増、前月輸入実績なし)

 オランダ
 298トン(同5.0倍、前月比3.0倍)

 デンマーク
 166トン(同53.9%減、同25.8%増)

 中国
 27トン(前年同月および前月輸入実績なし)

 スウェーデン
 20トン(前年同月輸入実績なし、前月同)




 
 2025年1月の1トン当たりの輸入価格は、17万8940円(前年同月比21.5%高、前月比3.4%高)と、前年同月を大幅に上回った(図6)。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 ドイツ
 18万3694円(前年同月比27.1%高、前月輸入実績なし)

 オランダ
 18万5644円(同47.7%高、前月比2.1%高)

 デンマーク
 16万5675円(同8.5%高、同2.2%高)

 中国
 14万2333円(前年同月および前月輸入実績なし)

 スウェーデン
 16万7500円(前年同月輸入実績なし、前月比15.9%高)
 
4

【でん粉誘導体の輸入動向】
1月の輸入量は前年同月からかなりの程度増加
 
財務省「貿易統計」によると、2025年1月のでん粉誘導体の輸入量は、2万6944トン(前年同月比6.4%増、前月比1.9%増)と、前年同月からかなりの程度増加した(図7)。

 2025年1月の1トン当たりの輸入価格は、16万1289円(前年同月比13.3%高、前月比6.0%高)と、前年同月をかなり大きく上回った。

 


 


 でん粉誘導体の輸入先は18カ国・地域で、最大の輸入先はタイであった。主要輸入先からの輸入量は次の通りで、タイが輸入量の約7割を占めており、次いでベトナム、デンマークとなっている(表3)。
 

5

【デキストリンの輸入動向】
1月の輸入量は前年同月から大幅に増加
 
財務省「貿易統計」によると、2025年1月のデキストリンの輸入量は、1102トン(前年同月比29.2%増、前月比24.4%減)と、前年同月から大幅に増加した(図8)。

 デキストリンの輸入先は10カ国・地域で、輸入量は上位輸入先の数量および各国のシェアも含め、月ごとの変動が大きい。

 2025年1月の1トン当たりの輸入価格は、18万3527円(前年同月比5.0%安、前月比2.9%高)と、前年同月をやや下回った。

 


 

 
 上位輸入先からの輸入量は次の通りで、タイおよびベトナムで輸入量の7割半を占めている(表4)。
 

6

【コーンスターチ用トウモロコシの輸入動向】
1月の輸入量は前年同月から大幅に増加
 
財務省「貿易統計」によると、2025年1月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、21万491トン(前年同月比68.6%増、前月比0.3%減)となり、前年同月から大幅に増加した(図9)。

 輸入先は、米国およびブラジルで、国・地域別の輸入量は次の通りであった。

 米国
 18万4810トン(前年同月比99.8%増、前月比6.2%減)

 ブラジル
 2万5681トン(同20.6%減、同80.9%増)

 2025年1月の1トン当たりの輸入価格は、4万1320円(前年同月比2.7%高、前月比6.0%高)と、前年同月をわずかに上回った。

 国・地域別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

 米国
 4万1564円(前年同月比1.5%高、前月比6.2%高)

 ブラジル
 3万9570円(同3.7%高、同7.0%高)
 

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