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2 日本の品目別主要輸入先の動向

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最終更新日:2025年8月12日

2 日本の品目別主要輸入先の動向

2025年8月



 本稿中の為替レートは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年6月末日TTS相場の1米ドル=145.81円、1ユーロ=171.16円、1タイバーツ=4.52円を使用した。

 なお、本稿中の輸出価格は品目に応じて以下の価格を使用。
 ・FAS(Free alongside ship)価格:貨物が輸出国の埠頭(ふ とう)または(はしけ)に置かれた時点までの費用を含めた価格。
 ・CFR(Cost and Freight)価格:貨物が輸出国の船上に置かれた時点までの費用および輸入国までの運賃を含めた価格。
 ・FOB(Free on Board)価格:貨物が輸出国の船上に置かれた時点までの費用を含めた価格。

トウモロコシ・コーンスターチ

世界

【需給動向:トウモロコシ】
25/26年度は生産量の下方修正から期末在庫はやや減少

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2025年7月11日、2025/26年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表)。

 これによると、同年度の世界のトウモロコシ生産量は12億6366万トン(前年度比3.1%増)と前月から232万トン下方修正された。主要生産国である米国の下方修正などが反映された。

 輸入量は、世界全体で1億8776万トン(同2.7%増)と前月から28万トン上方修正された。主要輸入国はいずれも据え置かれたが、エジプトの上方修正などが反映された。また、中国の輸入量については、同日付で中国農業農村部は700万トンと公表しており、USDAの予測値1000万トンとは300万トンの乖離がある。

 消費量は、世界全体で12億7576万トン(同1.5%増)と前月から3万トン下方修正されたものの、引き続き高水準を維持している。主要国では、米国の下方修正がブラジルの上方修正を上回った。

 輸出量は、世界全体で1億9581万トン(同1.7%増)と前月から1万トン下方修正された。

 この結果、期末在庫は、生産量の減少が反映され、2億7208万トン(同4.3%減)と前月から316万トン下方修正された。
 

1

米国

【需給、価格動向:トウモロコシ】
作付面積の減少に伴い生産量は下方修正するも、期末在庫は大幅に増加

 USDA/WAOBは2025年7月11日、2025/26年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ需給見通しを公表した(表)。

 米国内生産量は、作付面積と収穫面積の下方修正に伴い前月から下方修正されたものの、157億500万ブッシェル(3億9892万トン(注)、前年度比5.6%増)と前年度からやや増加が見込まれている。

 米国内消費量は、127億3500万ブッシェル(3億2348万トン、同1.4%増)と前年度からわずかな増加が見込まれている。

 輸出量は、26億7500万ブッシェル(6795万トン、同2.7%減)と前年度からわずかな減少が見込まれている。

 期末在庫は、16億6000万ブッシェル(4217万トン、同23.9%増)と前年度から大幅な増加が見込まれている。

 また、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は、10.8%(同2.1ポイント増)と、前年度を上回ると見込まれている。

 生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり4.20米ドル(612円。1キログラム当たり24円、同2.3%安)と前年度からわずかな下落が見込まれている。

 今回の作付面積と収穫面積の下方修正は、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月30日に公表した作付面積の調査結果に基づいており、作付面積は下方修正ながらも9520万エーカー(3853万ヘクタール、前年比5.1%増)とされ、これは統計が開始された1944年以降で3番目の規模となっている。

 また、今回の予測では、24/25年度の米国の消費量が前月から75万トン下方修正され、輸出量が100万トン上方修正されたことから、同年度の期末在庫が25万トン下方修正され、25/26年度の期末在庫に反映される形となった。

 (注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
 

2

【貿易動向:トウモロコシ】
25年5月の輸出量は前月からかなりの程度減少、輸出価格は前月からわずかに下落
 
2025年5月の米国のトウモロコシ輸出量は、729万9090トン(前年同月比24.2%増、前月比6.4%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からかなりの程度減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり226.3米ドル(3万2997円、同0.2%安、同1.7%安)と前年同月並みであり、前月からわずかに下落した。




 

3

【貿易動向:コーンスターチ】
25年5月の輸出量は前月からかなりの程度減少、輸出価格は前月からわずかに上昇
 
2025年5月の米国のコーンスターチ輸出量は、1万7515トン(前年同月比19.8%増、前月比8.9%減)と前年同月を大幅に上回り、前月からかなりの程度減少した(表、図)。

 同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり747.1米ドル(10万8935円、同6.6%安、同2.0%高)と前年同月をかなりの程度下回り、前月からわずかに上昇した。

 





 


 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、25年6月の同国中西部市場におけるコーンスターチ価格は、1ポンド当たり16.30米セント(注)(23.8円、前年同月比1.3%安、前月比1.3%安)と前年同月をわずかに下回り、前月からわずかに下落した(図)。

 (注)1ポンドは約453.6グラム、1米セントは1米ドルの100分の1。
 

4

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
24/25年度のキャッサバ生産量は減産見込み
 
タイ農業協同組合省農業経済局(OAE)が公表した「農業経済2025年6月」によると、2024/25年度(10月〜翌9月)のキャッサバ収穫面積は、864万ライ(138万ヘクタール(注1)、前年度比2.6%減)とわずかに減少し、単収は1ライ当たり3.12トン(1ヘクタール当たり19.53トン、同3.2%減)とやや減少が見込まれている(表)。この結果、生産量は2698万トン(同5.7%減)とやや減少が見込まれている。政府によるキャッサバの生産と流通・輸出促進政策がとられているが、キャッサバの取引価格は下落傾向が続いている。25/26年度の生産量については、雨期に入り例年並みの降雨量が予測されていることや、後述するキャッサバモザイク病(注2)抵抗性品種の普及により、5年ぶりの増加が予測されている。

 タイでは、18/19年度からキャッサバモザイク病の感染が拡大している。農業普及局によると、25年7月14日現在の感染状況は、38県で86万4679ライ(13万8349ヘクタール、前月比5.9%増)とやや増加している。同局は、近隣国から流入する感染苗の監視強化や生産者に対する抵抗性品種栽培の推奨などを継続しており、タイのでん粉団体と協力し生産者の収入安定と産業の持続可能性を支えることを目指している。

 (注1)1ライを0.16ヘクタールとして農畜産業振興機構が換算。
 (注2)ウイルス感染により葉に黄化斑が発生する病気で、光合成が十分に行われず、最悪の場合には作物が枯死してしまうため、収穫量が大幅に減少する。タイのほかに、近隣国のベトナムやカンボジアで流行が確認されている。
 

5

【価格動向】
国内価格は前月からわずかに上昇

 タイ・タピオカでん粉協会(TTSA)によると、2025年7月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.50バーツ(61.0円、前年同期比25.8%安、前月同週比0.7%高)と前年同期を大幅に下回り、前月からわずかに上昇した(図)。
 

6

【貿易動向】
25年4月の輸出量は前月から大幅に減少、輸出価格は前月からやや下落
 
2025年4月のタピオカでん粉輸出量は、24万7140トン(前年同月比3.8%増、前月比20.6%減)と前年同月をやや上回り、前月から大幅に減少した(表、図)。

 同月の輸出価格(FOB価格・バンコク)は、1トン当たり416.3米ドル(6万701円、同27.5%安、同3.2%安)と、前年同月を大幅に下回り、前月からやや下落した。

 


 

7

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
25年4月の輸出量は前月からわずかに増加、輸出価格は前月からわずかに下落
 
2025年4月のばれいしょでん粉輸出量(注)は、3万9015トン(前年同月比2.7%減、前月比2.3%増)と前年同月をわずかに下回り、前月からわずかに増加した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり959.8ユーロ(16万4279円、同9.5%高、同1.6%安)と前年同月をかなりの程度上回り、前月からわずかに下落した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。




 

8

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要国・地域別輸出量および輸出価格は、以下の通りである。

タイ

【貿易動向】
25年4月の輸出量は前月からかなりの程度減少、輸出価格は前月からわずかに上昇

 2025年4月の化工でん粉の輸出量は、8万3202トン(前年同月比2.0%減、前月比9.2%減)と前年同月をわずかに下回り、前月からかなりの程度減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり822.2米ドル(11万9885円、同6.1%安、同1.8%高)と前年同月をかなりの程度下回り、前月からわずかに上昇した。




 

9

EU

【貿易動向】
25年4月の輸出量は前月からわずかに減少、輸出価格は前月からやや上昇
 
2025年4月の化工でん粉の輸出量(注)は、4万7118トン(前年同月比0.2%増、前月比1.7%減)と前年同月並みであり、前月からわずかに減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1561.3ユーロ(26万7232円、同1.5%安、同5.4%高)と前年同月をわずかに下回り、前月からやや上昇した。

(注)EU27カ国による輸出。輸出先の不明なものを除く。




 

10

米国

【貿易動向】
25年4月の輸出量は前月から大幅に減少、輸出価格は前月からやや上昇
 
2025年4月の化工でん粉の輸出量は、2万2572トン(前年同月比15.2%減、前月比23.8%減)と前年同月をかなり大きく下回り、前月から大幅に減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FAS価格)は、1トン当たり1715.7米ドル(25万166円、同0.2%高、同3.0%高)と前年同月並みであり、前月からやや上昇した。

 


 

11

中国

【貿易動向】
25年5月の輸出量は前月からかなり大きく増加、輸出価格は前月からやや上昇
 
2025年5月の化工でん粉の輸出量は、1万5419トン(前年同月比15.3%減、前月比14.4%増)と前年同月をかなり大きく下回り、前月からかなり大きく増加した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1275.4米ドル(18万5966円、同19.2%高、同4.1%高)と前年同月を大幅に上回り、前月からやや上昇した。

 


 

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豪州

【貿易動向】
25年4月の輸出量は前月からやや減少、輸出価格は前月からかなりの程度下落
 
2025年4月の化工でん粉の輸出量は、3057トン(前年同月比25.0%減、前月比5.8%減)と前年同月を大幅に下回り、前月からやや減少した(表、図)。

 また、同月の輸出価格(FOB価格)は、1トン当たり1646.9米ドル(24万134円、同3.4%安、同10.0%安)と前年同月をやや下回り、前月からかなりの程度下落した。
 



 

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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