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―米国農務省農業見通し・穀物など需給報告から―

トウモロコシの米国需給および国際市場の現状と将来見通し
―米国農務省農業見通し・穀物など需給報告から―

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最終更新日:2026年6月10日

トウモロコシの米国需給および国際市場の現状と将来見通し
―米国農務省農業見通し・穀物など需給報告から―

2026年6月

放送大学 教養学部教養学科 教授 古橋 元

【要約】

 本稿では、米国農務省農業見通し・穀物など需給報告を基に、米国のトウモロコシ需給と国際市場の現状と将来の見通しを解説する。2025/26年度(9月〜翌8月、以下同じ)の米国のトウモロコシは、収穫面積の拡大と過去最高の単収により生産量および輸出量が前年比で急増する見込みである。一方で、国際市場ではブラジル、アルゼンチン、ウクライナが輸出量を増やしている。農業見通しが示す米国の2035年の展望では、生産量はほぼ横ばいの一方で輸出量の増加が見込まれるが、生産コスト上昇や南米との競争激化、関税政策などがリスクになる。日本を含む輸入国にとって、需給動向の継続的な注視が重要である。

はじめに

 本稿では、米国農務省農業見通し(USDA Agricultural Projections to 2035、〈以下「農業見通し」という〉)1)や穀物など需給報告(WASDE〈World Agricultural Supply and Demand Estimates〉2)を基に、2035年における米国のトウモロコシ需給を中心に、国際市場も踏まえて解説したい。トウモロコシは、米国だけでなく日本でも家畜飼料として使用される一方で、コーンスターチ、異性化糖(HFCS)、コーンオイル、コーンシロップなどの原料として使用され、米国ではガソリンと混合するバイオエタノールの原料用作物にも使用されるなど、生活に密着した重要な穀物である。

 農業見通しは、米国農務省経済調査局(USDA/ ERS)とチーフエコノミスト室のエコノミストなどが作成する農業分野の将来見通しで、毎年2月ごろに公表され、米国および主要国における農畜産物などの需給や価格、米国農家の所得指標などを、中長期にわたって数量的に示している。ただし、農業見通しは、現行の政策や想定される経済・平年並みの天候や技術動向が継続するという前提に基づくものであり、特に26年2月末からの中東情勢などは組み込まれていない。さらに予測期間中に、国内外における不測の事態や急な政策変更、極端な気象事象が起きるとその結果は異なってくることもある。農業見通しを解説する前に、現時点の米国のトウモロコシ需給と国際市場について、同年4月公表のWASDEを基に確認したい。なお、本稿中の為替レートは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2026年4月末TTS相場の1米ドル=161.39円を使用した。

1 穀物など需給報告から見るトウモロコシの米国市場

 WASDEは、USDAが毎月発表しており、主要な穀物(トウモロコシ、大豆、小麦、米、綿)や畜産物などの米国や世界の生産、消費、貿易、在庫を推計している。WASDEの2026年4月報告で、トウモロコシの米国の需給について確認したい。

 2025/26年度の米国トウモロコシについて、需要と供給ともに大幅な拡大が見込まれている(表1)。供給について、25/26年度の収穫面積は3695万ヘクタールと、前年度の3359万ヘクタールから10パーセント増と顕著な増加で回復し、過去最大規模の収穫面積となっている。同年度の単収は、過去最高水準の1ヘクタール当たり11.7トンと推計されており、前年度から3.9パーセント上昇している。世界平均のトウモロコシ単収が同約5.5〜6.0トンであることから、米国の生産性の高さが確認できる。その結果、生産量は4億3235万トンと推計され、収穫面積と単収の高さから過去最高となり、前年度から14.3パーセント増加すると見込まれている。

 需要について、25/26年度の飼料向け需要量は1億5749万トンと最大規模になり、前年度比で13.7パーセントの増加が見込まれている。これは、畜産部門における牛肉、豚肉、鶏肉の生産量が増加していることを反映している。また、米国ではE10と言われるエタノール10パーセント混合ガソリンを燃料として消費しており、中西部の一部の州ではエタノール15パーセント混合ガソリンのE15も販売しており、バイオエタノールとして消費される原料用トウモロコシは1億4225万トンと前年度比3パーセント増加して、過去最高水準になると見込まれている。ちなみに、米国環境保護局(EPA)が26年3月にE15の販売許可と一時的な緊急燃料規制免除を発令3)して、全米で夏季シーズンに向けてE10からE15へ選択肢を増やし、ガソリン価格の上昇を抑える効果を期待しているようである。

 また、25/26年度の期末在庫量は5403万トンとなって、前年度比で37.1パーセント増加して大幅に積み上がり、18/19年度以来の水準になると見込まれている。記録的な生産量の拡大で需要量を上回ったためと考えられる。トウモロコシの米国内農家向けとなる指標価格の農家受取価格は、25/26年度に1トン当たり163.4米ドル(2万6371円)になり、生産量が拡大して在庫量が積み上がったことで価格は軟化して、23/24年度は同179.1米ドル(2万8905円)、24/25年度は同166.9米ドル(2万6936円)と下落傾向にある。トウモロコシの国際市場に対して、25/26年度の米国の輸出量は8382万トンと、24/25年度の7260万トンから15.5パーセント増加して、過去最高の輸出量になることが推計されている。24/25年度以降、主要輸出国間の競争が激しくなる中で、トウモロコシ価格が低位で推移したことも背景の一つにある。

 その結果、25/26年度は、米国の生産量拡大で需要量が増加したものの、期末在庫量は5403万トンと前年度から1463万トン積み上がり、18/19年以来の高水準となると見込まれている。このように、米国内のトウモロコシ需給が緩和の方向にあることが、価格に対して引き続き下押し圧力になっている。
 
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2 穀物など需給報告から見るトウモロコシの国際市場

 トウモロコシの国際市場について、WASDEの2026年4月報告から確認したい。2025/26年度の世界の生産量は13億107万トンと、前年度より7000万トン程度の増産(前年度比5.7パーセント増)で過去最高水準となると見込まれている。米国による増産が主因となるが、アルゼンチン、ウクライナ、中国も前年度比で増産が見込まれている。主要輸出先は、25/26年においても次の4カ国が中心で、ブラジルは4300万トン(前年度比2.2パーセント増)、アルゼンチンは3700万トン(同27.3パーセント増)、ウクライナは2200万トン(同9.9パーセント増)、米国は8382万トン(同15.5パーセント増)とされ、米国だけでなく、アルゼンチンとウクライナも輸出量が大きく増加すると見込んでいる。主要輸入先では、メキシコ、EU、日本、韓国、エジプトが1000万トン超の輸入量と見込んでおり、メキシコ、EU、東南アジア諸国の輸入量が前年度比で増加すると見込まれている。25/26年度の世界の期末在庫量は、2億9481万トンと前年度比0.5パーセント減と見込まれる一方で、中国を除くと1億1466万トンで同9.9パーセント増と、トウモロコシの国際市場は緩和的な環境と見込まれている。世界の期末在庫量の6割以上を占めている中国のそれは1億8015万トンと同6.1パーセントの減少が見込まれており、今後も中国の動向に注視が必要である。

 主要輸出4カ国については先述したが、2010年代以降、米国中心のトウモロコシの輸出市場に、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナが輸出国として台頭し、同市場に占める米国の割合が低下している。ブラジル、アルゼンチン、ウクライナについて確認したい。ブラジルは、生産量が2024/25年度の過去最高水準の1億3600万トンから25/26年度は1億3200万トン(前年度比2.9パーセント減)と減少が見込まれているが、高い水準となっている。ブラジルの中西部・セラード地帯は、アマゾン熱帯雨林とは違った低木や草原などのブラジル特有の植生の一つで、遺伝子組み換え品種の導入、不耕起栽培などに加えて、大豆の裏作となるサフリーニャ(safrinha)といわれる二期作目のトウモロコシ生産が定着したことから、今後も生産量が拡大するとみられている。そのため、高い水準の生産量によって、輸出量は4300万トンと前年度比2.2パーセントの増加が見込まれている。25/26年度の国内総需要量は、ブラジル国内の畜産分野の生産量の増加、特に養鶏や養豚で生産量が増加しており、さらにトウモロコシ由来のバイオエタノールの生産量も増えて9600万トンまで拡大する中で、輸出量は高水準を維持している。

 アルゼンチンは、25/26年度の生産量が5200万トンと同4.0パーセントの増加が見込まれている。一時的な干ばつの影響から回復し、温暖な気候で肥沃な土壌を有するパンパ地域で耕地を増やし、遺伝子組み換え品種の導入などで、ここ数年の高水準である5000万トンを超えると見込まれている。輸出量は3700万トンで同27.3パーセント増と大幅な回復が見込まれている。アルゼンチンは、生産量に対する輸出量の比率が7割と高く、生産されるトウモロコシは国内の飼料用需要よりも輸出向けが多く、大豆より低い輸出税の設定もあり、輸出量は回復すると見込まれている。ブラジルとアルゼンチンは、米国に次ぐ世界第2位と第3位のトウモロコシ輸出国となっている。

 ウクライナは、25/26年度の生産量が3070万トンで同14.6パーセントの増加と回復し、ロシアによるウクライナ侵攻で落ち込んだ生産量が徐々に回復していくと見込まれている。だだし、侵攻前の水準となる3500万トン程度までは回復していない。侵攻前にはアグロホールディングと呼ばれる穀物・飼料生産・畜産生産などの統合的な農業企業の台頭によって、トウモロコシを含めた農産物の生産増と輸出拡大を実現していた。25/26年度の輸出量は2200万トン(前年度比9.9パーセント増)にとどまると見込まれ、侵攻前の水準まで回復していないが、生産および輸出に制約が生じる中、黒海穀物イニシアティブなどによる輸出ルートを確保する努力が進められたことで、ウクライナ中部や北部を中心に生産され、徐々に回復している。トウモロコシの輸出比率は生産量の7割と高く、輸出志向とも言える。ただし、侵攻長期化により不透明になっており、ウクライナの需給は、今後の世界のトウモロコシ需給を考える上でも重要である。

 25/26年度のアルゼンチンとウクライナは、それぞれトウモロコシ生産量の7割程度を輸出しており、輸出志向型とも言える国内構造となっている。一方、ブラジルと米国の輸出比率は2〜3割程度と国内の飼料用需要が中心で、特に米国はバイオエタノール用需要量が飼料用需要量に近づいている。このため、アルゼンチンとウクライナの生産動向は、生産量の規模がブラジルの半分以下にもかかわらず、世界の貿易量に対して影響を与えている。25/26年度における米国、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナの4カ国の輸出量合計で、世界のトウモロコシ輸出量の9割程度を占め、それぞれの国の生産量・輸出量の変化が、トウモロコシの国際市場を動かす要因となる。これらブラジル、アルゼンチン、ウクライナは、アジアや中東などの主要な輸入国に対して、米国との輸出競争をより厳しいものにしている。その上で、米国の需給および輸出量の変化は、世界第1位の輸出国として、引き続きトウモロコシの国際市場において重要である。

3 農業見通しから見る米国のトウモロコシ需給

 2035年における米国のトウモロコシ需給について、農業見通しから確認したい(表2)(注1)。農業見通しの前提となる米国の経済成長見通し(注2)について、実質GDP(国内総生産)の成長率は、2026〜35年の予測期間において年平均2.0パーセントと見込まれ、16〜25年の10年間の成長率2.4パーセントを下回る水準となっている。

 (注1)農業見通しはWASDEの2025年11月報告時点のトウモロコシ需給データを基にしたベースラインシナリオの見通しであり、WASDEの2026年4月報告における2025/26年度の推計値と若干の差異がある。これは農業見通しが中長期の趨勢を見通しする目的にあることに留意する必要がある。
 (注2)農業見通しの前提となる世界の実質GDP成長率は2026-2035年の予測期間を通じて年平均2.4%で推移すると見込まれ、2016-2025年の10年間の年平均成長率2.8%を下回る水準となっている。他にも前提となる多くのマクロ指標はあるが、誌面の都合上、省略する。

 農業見通しでは、米国のトウモロコシ価格が2025/26年度の1トン当たり157.47米ドル(2万5414円)から29/30年度には同173.22米ドル(2万7956円)と10パーセント上昇した後、35/36年度まで同水準が続くと見込まれている。ただし、石油価格の上昇や農業資材のインフレなどにより、単収コストは25/26年度の1ヘクタール当たり1073.2米ドル(17万3200円)から35/36年度には同1222.2ドル(19万7248円)と13.9パーセント上昇する見込みで、十分な利益が得にくい状況とみられている。

 供給は、コストや価格の影響から、収穫面積が3644万ヘクタールから3355万ヘクタールと7.9パーセント減少する見通しで、農家が大豆など収益性の高い作物へ転換していくことが主な要因として挙げられている。ただし、単収は、25/26年度の1ヘクタール当たり11.68トンから徐々に増加し、技術革新や改良種子の普及などを要因として、35/36年度には同12.55トンと7.5パーセント増加する見通しである。

 その結果、収穫面積の減少を持続的な単収増加によって賄い、トウモロコシ生産量に与える影響を緩和することになる。生産量は、25/26年度の4億2553万トンから35/36年度には4億2115万トンとほぼ横ばいになる見通しである。ただし、25/26年度の記録的な生産量の高水準には届かない。

 需要について、米国内のトウモロコシ総需要量は、25/26年度の3億3225万トンから35/36年度には3億3403万トンと0.5パーセント増加する見通しである。これは、飼料用需要量がやや増加する一方、バイオエタノール原料用需要量が横ばいで、食品・工業など向けの需要量はわずかに減少することから、総需要量がやや増加する見通しのためである。

 トウモロコシ由来のバイオエタノール原料用需要量は、25/26年度の1億4225万トンから35/36年度までは横ばいと予測されるが、米国内で35/36年度までに車両台数増加が見込まれる中、EV(電気自動車)の普及や燃費の向上などにより、ガソリンに混合するエタノールの需要量は横ばいになる見通しである。また、飼料用需要量は、畜産物の牛・豚・鶏の飼養頭数増加に伴い増加するため、同期間に1億5495万トンから1億5749万トンと1.6パーセント増加する見通しである。しかし、食品・工業など向けの需要量は、食品・工業用が異性化糖向け需要量で低下傾向にあり、同期間で3505万トンから3429万トンと2.2パーセント減少する見込みである。

 一方で輸出は、米国の輸出量が25/26年度に7811万トンと過去最高水準になった後、35/36年度には8763万トンとさらに12.2パーセント増加する見通しである(注3)。アジアや中東などにおける動物性たんぱく質を含む多様な食生活へのシフトによるトウモロコシ需要量の増加を背景に、米国の価格が比較的低位で安定する見通しから、米国の輸出はさらに増加すると考えられる。また、生産量に占める輸出量の割合は、25/26年度の18.4パーセントから35/36年度には20.8パーセントに上昇するものと予測されており、米国におけるトウモロコシの輸出が重要な役割を担うことが見込まれる。

 (注3)WASDEの2026年4月報告では、米国の2025/26年度の輸出量が8382万トンで最新の状況が反映されている。
 

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4 トウモロコシ国際市場の将来見通し

 農業見通しでは、「2035年までの世界の農業貿易に関する見通しおよび分析は、26年に実施せず、公表する予定はない」と明記されているため、農業見通しから35年におけるブラジル、アルゼンチンなどの主要輸出国の具体的な動向は分からない状況となっている。そのため、将来見通しの具体的な前提などに相違はあるものの、35年におけるトウモロコシの国際市場の方向性を、農林水産省農林水産政策研究所が26年3月に公表した「世界の食料需給見通し」(以下「食料見通し」という)4)から簡単に確認したい。食料見通しでは、35年における世界のトウモロコシ生産量および需要量は、アジアなどの畜産物需要の増加に伴う飼料用需要増加を背景に、引き続き増える見通しとなっている。ただし、世界の経済成長の鈍化を背景に、多くの地域でその需要の伸びはこれまでより鈍化するとしている。

 主要輸出国について、食料見通しは、米国は純輸出量が増加する一方、ブラジルとアルゼンチンも純輸出量を拡大し、トウモロコシの国際市場は米国を一つの極としてブラジル・アルゼンチンの両国がもう一つの極となる二極体制を示唆している。ウクライナによる純輸出量は、ロシアによるウクライナ侵攻前の水準に近づく見込みとしている。ただし、中東の衝突やウクライナ侵攻の長期化による影響は不透明であり、その影響によりトウモロコシの国際価格は大きく変動する可能性が示されている。これらにより、米国だけでなくブラジル、アルゼンチンは、35年までトウモロコシの輸出量を増やす方向性であることが分かる。

おわりに

 本稿で確認したUSDAの農業見通しやWASDE、農林水産政策研究所の食料見通しから、今後の米国のトウモロコシ市場にとって、ブラジルやアルゼンチンなどとの競争の激化に加え、不確実なものとして、トランプ政権の関税政策変更による相互応酬、中東の衝突の長期化などが、米国の国内市場と輸出の成長を抑制するリスクになると考えられる。35年の農業見通しでは、米国のトウモロコシ輸出拡大が見込まれているが、一方で国際市場は厳しい競争環境となるとしており、その上で価格とコストの上昇も見込み、農家所得の維持・向上が求められるなど、非常に難しいバランスが要求される。

 また、26年2月に開催されたUSDAの農業アウトルック・フォーラムにおいてUSDA首席エコノミストのJustin Benavidez博士の基調講演で、米国農業が直面している構造的課題は、生産コストの高止まりや南米との競争、トウモロコシ価格の低迷であり、短期的な解決は困難であるとしている。そして、新規市場開拓、非関税障壁撤廃のための積極的な貿易外交、バイオ燃料政策のさらなる支援、競争力維持のための生産性向上、高付加価値の農産物加工品の多様化など、多面的な戦略の組み合わせが必要であると述べた。

 農業見通しは、米国内の農家や農業分野に向けたアピールもあり、非常に難しいバランスによってトウモロコシの輸出量の拡大を予測したものの、輸出量はやや過多になっているのではないか。なぜなら、台頭するブラジルやアルゼンチンなどの輸出国によってトウモロコシの国際市場の価格競争は激化し、一方で、世界経済の減速感とともに中国などの新興国の経済成長の鈍化によって農畜産物の需要の伸びは鈍化が見込まれて輸出先も限られ、農業資材などのコストも相対的に高くなり、米国内の農家所得を増やしながらトウモロコシの輸出量を8763万トンまで拡大する競争力を維持することは難しい面がある。

 今後、ロシアによるウクライナ侵攻や中東の衝突の長期化など、国際政治や経済における不確実性の下で、米国はこの困難なバランスを実現しなければならないが、米国内のE15普及を含めたさまざまな政策的なシナリオも考えられるため、米国内外の需給を丁寧に分析することがわれわれにとって重要である。また、日本もトウモロコシ輸入国として、安定した輸入のために、これら米国のトウモロコシを含めた農畜産物の需給やそれらの国際市場を注視しなければならない。
【引用文献】
1)米国農務省経済調査局(2026)「USDA Agricultural Projections to 2035(農業見通し)」, 2026年2月13日, https://www.ers.usda.gov/publications/pub-details?pubid=113816.
2)米国農務省(2026)「USDA World Agricultural Supply and Demand Estimates(WASDE)」, 2026年4月, https://www.usda.gov/oce/commodity/wasde/wasde0426.pdf
3)U.S. EPA, EPA Fortifies Domestic Fuel Supply, Provides Americans with Relief at the Pump by Approving Nationwide E15 and Removing Boutique Fuel Markets for E10, 2026年3月25日, https://www.epa.gov/newsreleases/epa-fortifies-domestic-fuel-supply-provides-americans-relief-pump-approving-nationwide
4)農林水産政策研究所(2026)「世界の食料需給の動向と中長期的な見通し」2026年3月, https://www.maff.go.jp/primaff/seika/attach/pdf/260331_2035_02.pdf.
 
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