2035年における米国のトウモロコシ需給について、農業見通しから確認したい(表2)
(注1)。農業見通しの前提となる米国の経済成長見通し
(注2)について、実質GDP(国内総生産)の成長率は、2026〜35年の予測期間において年平均2.0パーセントと見込まれ、16〜25年の10年間の成長率2.4パーセントを下回る水準となっている。
(注1)農業見通しはWASDEの2025年11月報告時点のトウモロコシ需給データを基にしたベースラインシナリオの見通しであり、WASDEの2026年4月報告における2025/26年度の推計値と若干の差異がある。これは農業見通しが中長期の趨勢を見通しする目的にあることに留意する必要がある。
(注2)農業見通しの前提となる世界の実質GDP成長率は2026-2035年の予測期間を通じて年平均2.4%で推移すると見込まれ、2016-2025年の10年間の年平均成長率2.8%を下回る水準となっている。他にも前提となる多くのマクロ指標はあるが、誌面の都合上、省略する。
農業見通しでは、米国のトウモロコシ価格が2025/26年度の1トン当たり157.47米ドル(2万5414円)から29/30年度には同173.22米ドル(2万7956円)と10パーセント上昇した後、35/36年度まで同水準が続くと見込まれている。ただし、石油価格の上昇や農業資材のインフレなどにより、単収コストは25/26年度の1ヘクタール当たり1073.2米ドル(17万3200円)から35/36年度には同1222.2ドル(19万7248円)と13.9パーセント上昇する見込みで、十分な利益が得にくい状況とみられている。
供給は、コストや価格の影響から、収穫面積が3644万ヘクタールから3355万ヘクタールと7.9パーセント減少する見通しで、農家が大豆など収益性の高い作物へ転換していくことが主な要因として挙げられている。ただし、単収は、25/26年度の1ヘクタール当たり11.68トンから徐々に増加し、技術革新や改良種子の普及などを要因として、35/36年度には同12.55トンと7.5パーセント増加する見通しである。
その結果、収穫面積の減少を持続的な単収増加によって賄い、トウモロコシ生産量に与える影響を緩和することになる。生産量は、25/26年度の4億2553万トンから35/36年度には4億2115万トンとほぼ横ばいになる見通しである。ただし、25/26年度の記録的な生産量の高水準には届かない。
需要について、米国内のトウモロコシ総需要量は、25/26年度の3億3225万トンから35/36年度には3億3403万トンと0.5パーセント増加する見通しである。これは、飼料用需要量がやや増加する一方、バイオエタノール原料用需要量が横ばいで、食品・工業など向けの需要量はわずかに減少することから、総需要量がやや増加する見通しのためである。
トウモロコシ由来のバイオエタノール原料用需要量は、25/26年度の1億4225万トンから35/36年度までは横ばいと予測されるが、米国内で35/36年度までに車両台数増加が見込まれる中、EV(電気自動車)の普及や燃費の向上などにより、ガソリンに混合するエタノールの需要量は横ばいになる見通しである。また、飼料用需要量は、畜産物の牛・豚・鶏の飼養頭数増加に伴い増加するため、同期間に1億5495万トンから1億5749万トンと1.6パーセント増加する見通しである。しかし、食品・工業など向けの需要量は、食品・工業用が異性化糖向け需要量で低下傾向にあり、同期間で3505万トンから3429万トンと2.2パーセント減少する見込みである。
一方で輸出は、米国の輸出量が25/26年度に7811万トンと過去最高水準になった後、35/36年度には8763万トンとさらに12.2パーセント増加する見通しである
(注3)。アジアや中東などにおける動物性たんぱく質を含む多様な食生活へのシフトによるトウモロコシ需要量の増加を背景に、米国の価格が比較的低位で安定する見通しから、米国の輸出はさらに増加すると考えられる。また、生産量に占める輸出量の割合は、25/26年度の18.4パーセントから35/36年度には20.8パーセントに上昇するものと予測されており、米国におけるトウモロコシの輸出が重要な役割を担うことが見込まれる。
(注3)WASDEの2026年4月報告では、米国の2025/26年度の輸出量が8382万トンで最新の状況が反映されている。