最終更新日:2010年3月6日
でん粉情報 |
【挨 拶】
創刊にあたって
独立行政法人農畜産業振興機構 理事長 木下 寛之
独立行政法人農畜産業振興機構の月刊誌「でん粉情報」を創刊するにあたり、ご挨拶申し上げます。
でん粉は、甘味料、ビール、水産練製品などの食品用から、製紙のコーティング剤、段ボールの接着剤等の工業用などその用途は多岐にわたり、その数は2,000種類を超えると言われています。また、近年、需要量は約300万トンで推移するなど国民の消費生活と産業活動において重要な位置を占めています。その中で、我が国のでん粉供給量のおよそ9割が輸入とうもろこしを原料とするコーンスターチや輸入でん粉などであり、国内産いもでん粉の占める割合は1割となっています。
しかし、国内産いもでん粉の原料である北海道のばれいしょは畑作地域における輪作体系上重要な作物であり、また、同じく国内産いもでん粉の原料となるかんしょは、台風の常襲地域で火山灰土壌地域でもある南九州地方において重要な基幹作物となっています。また、収穫されたいもをでん粉に加工する地元のでん粉工場は地域経済を支える重要な役割を担っています。
国内産でん粉については、これまで農産物価格安定法による価格保証や輸入でん粉およびコーンスターチ用輸入とうもろこしとの抱合せ措置が講じられてきましたが、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づいて、19年度から新たな経営安定対策に対応した価格調整制度が導入されました。これにより、抱合せ措置が廃止される一方、糖化用・化工でん粉用の輸入でん粉およびコーンスターチ用輸入とうもろこしから新たに調整金を徴収し、それを財源として国内産でん粉原料用いも生産者およびでん粉製造事業者に対して政策支援を行う制度が創設されたところであります。
当機構は、この新たな価格調整制度の執行機関として、本年10月から、輸入でん粉などについての売買業務や国内産でん粉原料用いも交付金および国内産いもでん粉交付金の交付業務などを実施することになりました。これらの業務については、これまで蓄積してきた経験を十分に活かし、効率的な実施に努めてまいりたいと考えておりますので、生産者や事業者をはじめ関係の皆様にはご理解・ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
新たな経営安定対策においては、市場の需給事情に応じたでん粉原料用いもおよびでん粉の取引価格が形成されることから、生産者や事業者の皆様には、これまで以上にでん粉の需給動向に応じた的確な生産、販売が求められていると認識しております。
しかしながら、我が国で流通しているでん粉は、国内産のばれいしょでん粉、かんしょでん粉、輸入とうもろこしから製造されるコーンスターチ、タピオカなどの輸入でん粉、そして、生でん粉を熱や酸で処理した化工でん粉などとその種類は多く、また、冒頭に述べましたように用途も食品から工業用まで多岐にわたるなど、でん粉の需給構造は大変複雑であることもあり、これまで需給に関する情報を含めでん粉について体系的に情報を収集提供する情報誌はありませんでした。
このため、機構としては、でん粉原料用いもの安定生産や国内産いもでん粉の販売の促進、さらには、でん粉製造事業者の皆様の合理化などを支援するため、この度、でん粉についての情報を体系的に整理した情報誌「でん粉情報」を毎月発行するとともに、ホームページを通じて情報発信することといたしました。具体的には、でん粉原料用いも生産者、でん粉製造事業者、流通業者、実需者、行政機関、その他関係団体などの皆様に、(1)国内外のでん粉の需給事情に関する情報、(2)でん粉原料用いもの生産コストの低減に関する情報、(3)担い手の育成などに関する情報、(4)でん粉の製造に関する技術情報などを提供し、少しでもお役に立てるよう努力してまいる所存であります。
「でん粉情報」については、今後、号を重ねるごとに内容の改善を図ってまいりたいと考えておりますので、誌面について皆様からの忌憚のないご意見を頂ければ幸いです。
関係各位の今後のご支援・ご鞭撻をお願いいたしまして、創刊号の挨拶とさせていただきます。