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新年のごあいさつ

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2009年1月]

【年頭に当たって】

独立行政法人農畜産業振興機構 理事長 木下 寛之


 明けましておめでとうございます。

 当機構は、農畜産業およびその関連産業の健全な発展および国民消費生活の安定に寄与するため、農畜産物の需給・価格安定業務等を実施するとともに、国内外の農畜産物の生産、流通、消費、農業政策などに関する多様な情報を幅広く提供しております。

 旧年中の皆様方のご協力に感謝申し上げますとともに本年も引き続きよろしくお願い申し上げます。

 さて、昨年は、食品の安全性に関わる事件、食料の国際価格動向等が大きく取り上げられる年となりました。

 食品の安全性をめぐっては、中国製冷凍ギョーザ事件に始まり、事故米、メラミンの混入、水質汚染などが注目を集め、従来にも増して、食の安全に対する消費者の関心が高まり、政府、生産者、企業による取組みが進められました。

 穀物、大豆等の国際価格は、2006年秋頃から上昇基調で推移し、様々な要因により、多くの品目が2008年中に史上最高値をつけました。その後、米国発の金融不安による商品市場からの資金流出、穀物需要の減退懸念に加え、小麦の豊作予想なども加わり、穀物等の国際価格は大幅に下落したものの、いまだ、長期的なトレンドで見ればかなりの水準となっています。

 原油や穀物等の国際価格高騰により、肥飼料等の価格が上昇し、農畜産物の生産コストが急激に上昇したため、生産者の収益性が悪化しました。また、小麦関連製品、大豆加工品をはじめとする食料品価格は上昇しています。これは日本だけの傾向ではなく、米国を含む主要国の食料の消費者物価指数も、2006年以降大幅に上昇しています。

 消費者物価が上昇する一方で、世界経済が減速し、株式・為替の大幅変動等もあり、日本の景気はさらに厳しいものとなることが予想されています。

 このような食料・農業を取り巻く厳しい情勢を踏まえますと、2009年については、昨年以上に、消費者の食料支出に向けた消費行動は、安全性や品質にこだわりつつも、厳しいものとなることが予想され、生産者にとっての生産環境も楽観を許さないものと考えられます。

 一方、国際関係では、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとする新興国の影響力の拡大が認識される中、世界貿易機関(WTO)のドーハ開発ラウンド(多角的貿易交渉)は未だモダリティーの合意までには至っていません。一方、経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)に関しては、7月にインドネシアおよびブルネイとの間で、また、12月にはASEAN、フィリピンとの間で発効し、豪州との交渉も続けられております。また、米国では6月に新たな農業法が成立しており、今後、オバマ政権の下で、農業政策がどのように進められるか注視する必要があります。

 このような情勢の中、でん粉に関する海外の動きを振り返ると、昨年、とうもろこし価格は、年初の4.6ドル/ブッシェルから6月にかけて7.5ドルまで高騰した後、豊作予測、金融不安を背景とした商品市場からの資金流出、世界的な不況による穀物需要の減退懸念などから一転して3ドル台にまで下落するという非常に大きな動きを見せました。

 また、輸入でん粉(20年1月〜10月)について見ますと、EUのばれいしょでん粉については、とうもろこし価格の高騰などの影響から製品価格が高く、輸入量は一昨年よりもさらに減少したのに対し、タイのタピオカでん粉については、原料価格の上昇により製品価格は上昇したものの、他のでん粉に比較して割安感があるためか、輸入量は一昨年を上回りました。

 国内に目を移しますと、原油価格高騰の影響を受け、燃油、肥料、各種資材などの価格が上昇し、コーンスターチ・糖化業界関係者、ばれいしょ・ばれいしょでん粉関係者、かんしょ・かんしょでん粉関係者の皆様におかれましては、企業経営、農家経営などに苦闘された1年であったと思います。

 このような中、一昨年10月にスタートした新たなでん粉制度が開始後1年を迎えました。この間関係者の皆様のご理解とご協力を得て、指定でん粉等に係る売買業務、国内産いもでん粉、でん粉原料用いもに係る交付金交付業務とも円滑に遂行することができました。

 当機構といたしましても、一昨年9月に設置された「さとうきび及びでん粉原料用かんしょに係る交付金の支払い手続きに関する協議会」において19砂糖年度における生産者交付金の支払い状況等について検証を重ねた結果、20砂糖年度から申請手続きの大幅な簡素化や支払い期間の短縮を図りました。

 情報収集提供業務といたしましては、EUおよびタイにおいてでん粉およびでん粉原料用作物やバイオ燃料事情などについての現地調査を実施し、情報誌や報告会などを通じて情報提供を行ってまいりました。また、地域情報交換会などを開催して、地方における情報交換の促進を図りました。

 このような厳しい情勢の中にあって、当機構が業務を円滑に進めることができましたのは、ひとえに皆様方のご理解とご支援のたまものと感謝申し上げます。本年も、食料・農業を取り巻く情勢が激変する中にあって、業務の一層の効率化、透明性のさらなる確保に努めつつ、農畜産業および関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定に資するよう、国民の視点に立った業務運営を図るべく、役職員一丸となって取り組んでまいる所存であります。

 当機構が所管する各品目に関する専門性を重視しつつも、耕畜連携に代表される横断的視点、組織としての統合力の発揮にも留意したいと考えます。

 本年が皆様にとって希望のもてる明るい年でありますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつといたします。

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713