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最終更新日:2010年3月6日
でん粉情報 |
[2008年6月]
【国内外の需給動向[海外]】調査情報部 調査課
1.米国のとうもろこしの生産見通し 〜2008/09年度は減少〜
米国農務省(USDA)の「Feed Outlook」(2008年5月)によると、2008/09年度(9月〜8月)の米国のとうもろこし作付面積は、大豆の作付面積が回復すると見られることなどにより、前年度より760万エーカー(308万ヘクタール)減少し8,600万エーカー(3,480万ヘクタール)になると見込まれている。このため、生産量も記録的であった前年度から7.3%減少し、121億2,500万ブッシェル(3億799万トン)になると見込んでいる。
現在、とうもろこしの作付けが行われているところであるが、5月4日時点での作付率は27%である。同時期における前年度の45%、直近5年平均の59%と比べると大きく遅れている。
とうもろこし価格は、前年度よりも高い1ブッシェル当たり5.00〜6.00USドルと予想されることから、特に飼料用としての輸出が減少し、消費量は前年度から1.9%減少し127億6,000万ブッシェル(3億2,412万トン)と見ている。消費量の内訳では、エタノールなどの燃料向けが前年度から33.3%と大きく増加し40億ブッシェル(1億161万トン)になるが、一方、異性化糖(HFCS)向けとグルコースおよびデキストリン向けについては、それぞれ前年度の5億ブッシェル(1,270万トン)と2億4,000万ブッシェル(610万トン)を維持し、食料および工業向け全体では前年より23.0%増加の53億3,670万ブッシェル(1億3,556万トン)になるとしている。
表1 米国のとうもろこし消費量(食料および工業向け) |
(単位:万トン) |
出典:USDA「Feed Outlook, May 13, 2008」 |
2.EUの小麦生産の見通し 〜増加傾向で推移〜
EU委員会は、2007〜2014年のEUにおける主要農産物の需給に関する中期見通しを発表したが、その中で穀物市場は、①共通農業政策(CAP)改革(とうもろこしの介入買入れの段階的停止を含む)、②単収の増加、③バイオエタノール市場の拡大、④ブルガリア、ハンガリー、スロバキア、ルーマニアのとうもろこし市場の統合への動きなどの影響を受けるとしている。
小麦については、軟質小麦の作付面積が2007年の2,210万ヘクタールから2008年には2,320万ヘクタールへと5.0%拡大し、その後もバイオ燃料向けでの需要に対応するために緩やかに拡大するとしている。また、砂糖制度改革の影響により、2009年までに60万〜70万ヘクタールがてん菜から穀物あるいは油糧種子に転換すると見られるが、そのうち15万ヘクタールが小麦に転換するとしている。
生産量は、2007年の1億2,240万トン(うち軟質小麦は1億1,470万トン)から、2014年には1億4,560万トン(うち軟質小麦は1億3,590万トン)と19.0%増加するとの見通しである。域内での消費量は、2007年の1億2,080万トンから2014年には1億3,960万トンに15.6%増加するが、内訳をみると、増加分のうち半分強がバイオ燃料向けで、また残りの大半が飼料用に消費されると見ている。しかし、2014年頃までには、食料や飼料と競合しない第2世代のバイオエネルギー生産技術が商業ベースにまで確立し、バイオ燃料分野での穀物需要の高まりが予想よりも幾分緩やかになる可能性もある。
表2 EUの小麦需給見通し |
(単位:100万トン) |
出典:EU委員会 注:2006年まではEU25カ国、2007年以降はEU27カ国の総計である。 |