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最終更新日:2010年3月6日
でん粉情報 |
[2009年1月]
【調査・報告】EUは小麦、とうもろこし、ばれいしょでん粉の大生産地であり、とくにばれいしょでん粉や化工でん粉を通じて、日本のでん粉需給に大きな影響を与えている。本稿では、最近のEUのでん粉需給および情勢について、2008年11月に行った現地調査を基に報告する。
1.EUのでん粉および原料作物の需給事情
1)EU域内におけるでん粉原料生産
EUにおいて、でん粉原料として生産されている主な作物は、小麦、とうもろこし、ばれいしょである。
表1をみるとEUにおいては、小麦が耕地面積の多くを占める穀物であるが、でん粉製造に利用される小麦の生産は小麦生産全体に占める割合は5%と小さいことから、でん粉の需給よりも小麦の需給の影響を大きく受ける。 一方、とうもろこし生産は、作付面積のうちでん粉原料用が17%を占めている。
日本ではでん粉原料用として主にばれいしょ、かんしょが生産されているが、EUのでん粉原料用ばれいしょの作付面積は11%にとどまっており、種苗用、生食用や、加工用としてフライドポテトなどのばれいしょ製品に仕向けられるばれいしょ生産が多くを占めている。しかし、でん粉原料用ばれいしょ生産は、でん粉製造企業との契約により栽培されており、でん粉の需給や製造企業の意向に大きく左右される構造となっている。
表1 EUにおけるでん粉原料作物生産(2006) |
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2)EUにおけるでん粉生産・需給
EUにおけるでん粉生産の推移を見ると、EUの気象条件が小麦生産に適していること、過去に何度か行われたEUの共通農業政策(CAP)の改革により、徐々に小麦の介入価格が切り下げられたこと、でん粉製造と同時に製造されるグルテンの収益が期待できるなどの理由から、小麦でん粉の生産が増加している。
図1 EU の原料別でん粉生産量の推移 |
資料:EU 委員会資料より作成 |
一方、生産割当(クォータ)制度により生産規模が制限され、一般的に他のでん粉に比較して生産コストが高いといわれるばれいしょでん粉は、減少傾向となっている。
このように、生産割当によって生産量が制限されたため、でん粉需要の増加に対応できなかったとする見方が、今回のEU委員会によるでん粉制度の見直しを行う1つの根拠となっている。
表2をみると、各でん粉はそれぞれに需給事情に差があり、小麦でん粉はほとんどがEU域内で生産および消費されているのに対し、ばれいしょでん粉は生産量の48%が輸出に回されていることが分かる。
3)EUにおけるでん粉の需要について
EUにおけるでん粉の需要先別の割合について、少し古いデータであるが、2003年のデータを見ると54%が製菓・飲料向けや加工食品などの食用用途として用いられ、46%が飼料や段ボール製造などの非食用用途として利用されている。
図2 EU におけるでん粉用途(2003年) |
資料:Bio Perspectives 2005,BREW Symposium 資料 注:EU15カ国ベース。当時の域内需要量は730万トン。 |
またEUにおける、でん粉供給の製品の形態別にみると、天然でん粉および化工でん粉で供給されるよりも、グルコースシロップ、マルトデキストリン、ブドウ糖、異性化糖などの糖化製品としての供給は56%と多くを占めている。
4)ばれいしょでん粉の需要動向
聞き取りによると、ばれいしょでん粉のうち、EU域内需要が55〜60%、輸出向けが40〜45%となっており、EU域内向けでん粉のうち、天然でん粉と化工でん粉が同程度の割合で、食品用や工業用に供給されている。輸出向けは6割が天然でん粉、4割が化工でん粉である(糖化原料用を除いた割合と見られる)
ばれいしょでん粉において、食品用途では、パスタ、スナック、お菓子、スープ、離乳食などに利用される。また、製紙用途としては、コーティング剤や接着剤などの工業糊として利用されている。他にはサイジング剤(注1)、医薬品、スパイラルチューブ(注2)、採掘などの用途が期待されている。
表2 EU における2006年の各でん粉の需給状況 |
(単位:千トン) |
資料:EU 委員会資料 注:生産量における輸出量の割合 |
図3 でん粉製品 |
資料:フランスでん粉協会(USIPA)資料 |
5)ばれいしょでん粉の固有用途
現在、製紙産業はばれいしょでん粉を必要としている。特にフィンランドやスウェーデンではばれいしょでん粉に対して、プレミアを払って購入している。プレミアムの額は1割〜2割高の水準である。その他食品業界の中でもばれいしょでん粉のユーザーがいる。
こういったユーザーはばれいしょでん粉を必要としているが、あくまで慣習であり、固定化された需要先とは言えない反面、ばれいしょでん粉の製造企業は、食品業界や製紙業界の需要により適応した付加価値の高い製品生産に向かうのではないかとの見方もあった。
また新しい用途として、スーパーの袋や電化製品の充填剤などに生分解性プラスチック原料としてのばれいしょでん粉の利用が考えられている。
6)ばれいしょでん粉の輸出
EUは世界各国に対するばれいしょでん粉の最大の供給産地であり、先にも述べたように生産量のうち半分近くが輸出されている。
輸出先は日本、韓国、台湾、香港、タイ、中国などのアジア地域と、米国、メキシコといった北米地域がおもな輸出先であり、近年ではロシアへの輸出が増加傾向であった。しかし、2006年のばれいしょの不作に加え、中国によるアンチダンピング課税(後述)、フレートの高騰などにより、アジア地域向けを中心に輸出が大きく減少している。
図4 EU27カ国の国別輸出量 |
資料:GTI 社“Global Trade Atlas”データ 注:デンマークとフランスのデータは含まれない |
ばれいしょでん粉の月別輸出量を見ると、ばれいしょの収穫を終え、でん粉製造が始まる10月に輸出のピークを迎え、それ以外は毎月2万7千トン〜3万トンの輸出がおこなわれるのが通常のパターンであるが、2008年は多くの月で2005〜2007年平均と比較して下回ったまま推移している。
これはいまだに残る2006年度のばれいしょの不作の影響のほか、穀物価格の高騰により、原料用ばれいしょ確保のためのコストが上昇し、それがでん粉製品の価格に転嫁されていることによる影響が大きな原因の1つとして考えられる。
図5 EU27カ国の月別輸出状況 |
資料:GTI 社“Global Trade Atlas”データ 注:デンマークとフランスのデータは含まれない |
ばれいしょでん粉のFOB価格の推移を見ても明らかなように、1キログラムあたり40ユーロセント(64円。1ユーロ=161円)の価格で平均して推移していたものが、2008年には50〜60ユーロ(81円〜97円。1ユーロ=161円)セントで推移しており、EU域内において、すでに価格が上昇している。これに加え、ユーロ高や海上運賃の高騰が続いていたことから、輸出量の減少につながったものと示唆される。ただし2008年9月に発生した米国発の金融危機により、円高ユーロ安の為替レートや、海上運賃の急落により、今後の輸出状況に影響が及ぶ可能性がある。
図6 EU27カ国の月別輸出価格 |
資料:GTI 社“Global Trade Atlas”データ 注:デンマークとフランスのデータは含まれない |
7) 砂糖制度改革によるでん粉関連製品への影響
でん粉製品は図3のとおり、糖化製品として市場に供給される量が多い。この糖化製品の内訳はグルコースシロップ、マルトデキストリン、ブドウ糖、異性化糖などであるが、例えば化学・発酵産業などにおける製造原料や、食品産業などにおける甘味料として、でん粉と砂糖が競合する可能性があることから、砂糖制度改革に影響を受ける。
図7 EU におけるでん粉の価格の推移 |
資料:LMC |
図8 EU における糖化製品の価格の推移 |
資料:LMC |
2005―2007年のデータでは、砂糖の介入価格が1トンあたり631.9ユーロに対して、ブドウ糖・ブドウ糖シロップの価格が300ユーロ(約390ドル)と倍以上の価格差があったが、2009年度から砂糖の介入価格は404.4ユーロに引き下げられる。市場価格は介入価格よりある程度高い価格になると予想されているが、それでも砂糖とでん粉製品の価格差は大幅に縮小することから、でん粉に対する需要が減少する可能性がある。
現在のところでん粉市場の縮小は起きていない模様だが、実際に砂糖価格が下落した時の影響が懸念される。
2.EUのでん粉関連政策の変更とその影響
1)今後のでん粉原料用ばれいしょ政策の変更による影響
2008年11月28日にEUの農相理事会によって、現在の共通農業政策の一部見直しについての提案(ヘルスチェック)が了承された。今回のヘルスチェックによる作物の生産に影響を与える主な変更内容としては、(1)直接支払いの総額の一定の比率での削減と農村開発予算への振り替え、(2)強制的な休耕(セットアサイド)の廃止、(3)生産にリンクした補助金から切り離された補助金への更なる転換、(4)介入制度の廃止などの変更が行われることになった。
この一環として、従来のばれいしょでん粉に関連する政策についても変更が行われることになった。
具体的な変更点は下記のとおりである。
表3 ヘルスチェックによるでん粉制度の変更点 |
資料:EU 農相理事会11月20日付プレスリリースおよび各種資料より機構作成 |
上記のとおり、でん粉用ばれいしょ生産を行うことにリンクして支払われていた補助金は移行期間終了後、すべて廃止され、一部は直接支払いに移行することになった。 この政策変更による影響は現時点で予測することは難しいが、今回の聞き取り調査によれば、下記のように考えられる。
まず一番大きな影響としては、生産にリンクしていた補助金が直接支払いに移行することによって、ほ場の競合作物の価格により、作付が大きく影響を受けることになる。具体的には小麦などの穀物や食用ばれいしょへの作付転換が考えられる。 このため、穀物価格が相対的に高い時期にはばれいしょでん粉工場は原料を確保するために、高い価格を生産者に支払わなければならないことになる。また、今まで工場に対して支払われていた補助金の廃止もコスト上昇の要因である。
一方で、生産量を制限していた生産割当数量が廃止されることにより、生産規模を拡大させることができる企業においては、スケールメリットによりコスト低減要因となる。 この結果、でん粉用ばれいしょ生産が最も有利な地域(他の農産物の経済的な生産が期待できない地域)では、生産拡大が起こる一方、競合作物の選択が容易な地域では、原料調達コストの上昇圧力を受けることが考えられる。 聞き取りによれば、生産割当の撤廃に関しては、デンマークは賛成をしている一方、フランスは反対ということだが、オランダやドイツについては賛否が明確でない。
次にばれいしょでん粉の生産量への影響としては、EU委員会では生産割当の撤廃によって、他のでん粉のシェアを若干奪い、増加するのではないかという見通しを立てていた
一方、あるでん粉産業関係者からの聞き取りによると、原料コストの上昇や製造補助金の撤廃の影響を大きく考えており、域内向け段ボール製造や製紙産業向け用途が小麦やコーンスターチに置き換わる懸念を表していた。
別の関係者は世界市場で考えた場合、輸送費のハンディがあるうえ、大消費地(特にアジア地域)におけるタイのタピオカでん粉や中国で生産が拡大基調であるばれいしょでん粉との競争を考えた場合、輸出補助金の撤廃などにより、輸出マーケットでの影響が域内向け出荷への影響より大きいと予想する者もいた。
2)国際交渉によるタピオカでん粉輸入増加の可能性とその影響
現在はEBA(Everything but Arms)やACP諸国(African, Caribbean and Pacific Group of States)とのEPA交渉により、多くの国からのでん粉の輸入についてほとんどの関税が撤廃される見込みであるが、その影響について、懸念する声は聞かれなかった。それらの国に対する大規模な投資が行われない限り、輸入量の増加は考えにくいとの見方が一般的であった。
一方、関税割当数量内の主としてタイからの輸入については、枠内の範囲でかなり増加しており、EU域内の2006年のばれいしょの不作およびその後の価格の上昇の影響があったものと思われる。同時期に化工でん粉の輸入も増加している。
関税割当数量の割当については、輸入ライセンス制度によりでん粉製造企業が輸入をコントロールすることが可能であり、域内の需給に影響を及ぼさないような工夫がされているものと推察される。
3)中国のEUばれいしょでん粉に対するダンピング提訴問題
EUのばれいしょでん粉の重要な輸出先であった中国によるEUばれいしょでん粉へのアンチダンピング課税により、アジア向け輸出量の減少を余儀なくされている。2006年度のばれいしょの不作の影響もあって、このことは大きな問題とならなかったものと思われるが、今後EUのばれいしょの作柄の回復があれば日本をはじめとする中国以外のアジア諸国へ向けたばれいしょでん粉の輸出圧力は高まることが考えられる。
また、現在中国において大規模なばれいしょでん粉工場の建設も進んでいるという情報もあることから、近い将来アジア地域におけるEUのばれいしょでん粉、タイのタピオカでん粉、中国のばれいしょでん粉の間での競争が激化する可能性がある。
表4 中国によるEU 産ばれいしょでん粉に対するアンチダンピング課税の経緯 |
資料:中国商業省のリリースによる |
3.今後のEUのばれいしょでん粉需給に関する見通し
今後のばれいしょでん粉の需給については、ばれいしょの作柄の回復と、競合作物である穀物価格の水準が大きな要因となると思われる。
中期的には生産割当廃止による一部の国の生産拡大と、補助金削減による生産意欲減退が同時に起きることになり、企業の選択が進み、小規模なばれいしょでん粉生産企業は難しい局面を迎えるかもしれない。ばれいしょでん粉工場の投資規模を考えた際、一定規模以上の企業では簡単に撤退することは考えにくいが、砂糖や他のでん粉との競合も考えられ、域内の非食用用途のでん粉(特に製紙・段ボール用途)との調整などは起こる可能性がある。
輸出に目を向けた場合、ユーロ安の為替レートや海上運賃の低落によりEUの輸出が有利になることが、各種補助金の廃止よりも大きな影響を与えることが考えられる。
アジア地域への輸出は中国やタイの動向に大きく左右されると思われるが、中国のアンチダンピング措置の継続や円高の環境が続くと、域内価格次第では日本への輸出志向が強まる可能性がある。
このことからEUにおけるばれいしょでん粉の価格について、今後注視する必要がある。
4.EUばれいしょ関連トピック
1)エチレンを用いたばれいしょ貯蔵技術
聞き取りによれば、英国では貯蔵中の生食用および種苗用ばれいしょの発芽抑制のために、エチレンを利用する方法が導入されており、既に10万トンのばれいしょが、エチレン処理を受けた上、販売が行われている。また、ばれいしょ以外にもたまねぎにも応用されている。
この技術で貯蔵されるばれいしょについては、特に欧州で発芽抑制剤として利用されることがあるクロルプロファムの残留を避けたいスーパーマーケットからの期待が高い。
この技術を持つのは英国のRestrain社およびBiofresh社の2社であるが、手法は若干異なっており、Restrain社はエチレン発生装置(混合による発生)を利用して、エチレンを供給する一方、Biofresh社はシリンダーを通じてエチレンガスを気体として注入する方式を用いている。濃度はエチレンモニターによって監視されるが、両方の方法とも密閉度の高い倉庫であれば、格別の倉庫の改造などは必要がないとしている。
効果は貯蔵期間8ヶ月を超えても一定の発芽率に抑えることが可能(数回のエチレン供給が必要)であるとのことであった。
この方法に関しては、貯蔵庫での処理後の残留濃度が10ppm以下でなければならないという規則以外には、格段の規制は存在しないとされている。また、Restrain社のホームページによれば、この方法は有機栽培されたばれいしょなどの貯蔵にも利用できるということである。
今後の課題としては、貯蔵コストがクロルプロファムより高くなること、加工向けに利用されるばれいしょについては、貯蔵温度が高いことから効果が十分発揮できていないということであった(エチレン貯蔵の上限温度は3〜4.5度であるが、加工用ばれいしょの最適な保存温度はこれより高温である)。そのため、現在エチレン受容体の働きを妨害するなどの方法で、高い温度でも応用できるような研究が進められている。
2)ばれいしょ生産の先物市場ヘッジ
英国ばれいしょ協議会からの聞き取りによれば、EUにはばれいしょの先物市場は英国ロンドン市場、EU加工ばれいしょ市場、ドイツ生食用ばれいしょ市場の3市場存在している。英国の市場については、協議会がトレーダーより価格情報を収集し、先物市場に提供をしており、先物市場の指標価格となっている。
今後、EUのでん粉用ばれいしょに関する政策が変更されることになり、先物市場について関心を示す関係者もいた。
しかし英国においては、20年程前の出来事であるが、多くのばれいしょ生産農家が先物市場による価格リスクのヘッジを試みたことがあったが、多くの農家が大損害を受け、農場を失った農家もあったということであった。このことは大きく報道され、いまでは英国のほとんどの農家は先物市場に手を出していないということである。
そのため契約取引が農家の取引価格の安定のための重要な手段となっている。現在6〜7割のばれいしょが収穫前に取り交わされた契約に従って取引がおこなわれているということであった。
3)遺伝子組み換えばれいしょの見通し
EUで遺伝子組み換え(GM)ばれいしょである“Amflora(EH92―527―1)”の販売承認の申請がBASF社によって行われているが、EU委員会による審査が進まず、進展していない。このことから2008年7月24日付のプレスリリースによればBASF社による訴訟も開始されている。
また同12月9日付のプレスリリースによれば、アベベ社、エムスランド社、Lyckeby社はでん粉政策の変更による補助金の削減の影響を緩和するためにも、付加価値の高いAmfloraの栽培を認めるよう要求していると伝えられている。
ただし、フランスのでん粉産業からの意見によると、遺伝子組み換えばれいしょに対する消費者の拒否反応は根強く、食品のみでなく、食品に触れる包装紙への利用に対してまで反対を受けている現状である。それに加え遺伝子組み換えばれいしょ由来のでん粉の食品などに対する混入については0.9%と許容量が小さく、混入時のリスクも考えなければならないことから、近い将来には大きな変化が起きるとは見ていなかった。また、工業用途の高アミロースポテトよりも、むしろえき病の耐性を持った品種について期待を持っていた。
5.フランスにおけるばれいしょでん粉生産の現状
フランスのでん粉生産量は300万トン程度であり、日本とほぼ同量の生産量である。
このうち小麦でん粉が約150万トンで半分を占め、コーンスターチが130万トンで4割強、残り1割弱がばれいしょでん粉となっている。
フランスにおいても、小麦のシェアは大きいが、ばれいしょの生産量に占めるでん粉生産の割合はEUと比較した場合大きく、ばれいしょ生産者にとってのばれいしょでん粉生産の重要性は大きくなっている。
なお、フランスはばれいしょでん粉生産においてはドイツ、オランダに続いてEU第3位の生産国である。
表5 フランスにおけるでん粉用作物の生産状況(2006年) |
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図9 フランスにおける原料別でん粉生産の推移 |
資料:フランスでん粉協会(USIPA)資料 |
フランスにおいても小麦でん粉の生産量の増加と、ばれいしょでん粉の生産の停滞はEUと同様の事情である。また、フランスにおいては、でん粉工場はすべて原料としてとうもろこしと小麦を同様に利用することができ、原料の価格や入手状況によって、工場は容易に原料を転換することができる。
フランスでん粉協会によればフランスのばれいしょでん粉の工場は2ヶ所あり、原料の輸送費が高いことから生産地(ソム県とマルヌ県)に立地している。小麦でん粉の工場はは5ヶ所ある。最大のものはリールの近くにある工場で、その他ソム県とマルヌ県、アルザスに2ヶ所ある。コーンスターチは4ヶ所ある。ノール県以外の工場は小麦とコーンスターチを同じ工場で生産している。