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最終更新日:2010年3月6日
でん粉情報 |
[2009年12月]
【海外トピックス】調査情報部 調査課
米国の2009年のとうもろこしの収穫作業は、米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、11月22日までの進捗率が68%と、過去5年の同時期の平均94%を大きく下回っている。これは、8月の寒気による登熟の遅れと10月の多雨によるものである。登熟の遅れたとうもろこしは、冷害を受けやすく、重量も低くなる傾向がある。このような低品質なとうもろこしは、飼料用として仕向けられる傾向にあり、飼料用の小麦と競合することとなる。
一方、生産量については、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が11月10日に公表した11月の世界農産物需給推計の月次報告によると、米国における2009/10穀物年度(2009年9月〜2010年8月。以下、「2009/10年度」)のとうもろこし生産予測量は、前月予測(130億1800万ブッシェル)を9700万ブッシェル引き下げ、前年度を6.8%上回る129億2100万ブッシェルになると予測されている。下方修正されたものの、これは、2007/08年度に次ぐ史上2番目となる予測となっている。また、単収については1エーカー当たり162.9ブッシェルと前年度を5.8%上回り、依然として史上最高値となっている。
(表)米国におけるとうもろこしの需給見通し(2009年11月10日米国農務省公表)
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資料:USDA/WAOB「World
Agricultural Supply and Demand Estimates」、USDA「GRAINS AND OILESEEDS
OUTLOOK FOR2009」
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注:年度は、各年9〜8月
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LMC社によると、シカゴ商品取引所のエタノールの平均価格は、9月の1リットル当たり0.46ドルから10月は0.51ドルと上昇した。原料となるとうもろこしの価格も上昇したものの、DDGSの値上がりでほぼ相殺され、エタノール生産者のマージンは2008年初め以来の高水準に達している。
LMC社によると、ブラジルの含水エタノール平均価格は、9月の1リットル当たり0.79レアル(同0.44USドル)から10月は0.93レアル(同0.54USドル)に、無水エタノール平均価格は、9月の0.91レアル(同0.50USドル)から10月には1.08レアル(同0.62USドル)に、ともに上昇した。5、6月の圧搾シーズン初めに大量のエタノールが販売されたため、現在は供給が不足する事態となっている。ブラジル北部では、本来輸出先であった米国からエタノールが輸入されているといった情報もある。
LMC社によると、EUにおいてもエタノール価格は上昇したが、ブラジル、米国と比較してその上げ幅は小さく、2%にとどまっている。穀物価格の低下と工場の新設により、域内生産量は大きく増加している。これによって、供給不足は解消され、使用の義務付けから需要は増加している。現時点では、ブラジルのエタノール価格が高いことから、競争は限定され、かつ穀物価格も大きく上昇する見込みがないことから、EUにおける来年のエタノール生産については堅調に推移すると見込まれる。