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最終更新日:2010年3月6日
でん粉情報 |
[2010年01月]
【海外トピックス】調査情報部 調査課
09/10年度(10〜9月)のタイのキャッサバ生産量は、8月に2776万トンと予測されていたが、11月には2221万トンまで大幅に下方修正された。これは害虫であるコナカイガラムシによる被害の拡大によるもので、カンチャナブリー、プラチンブリ、サラブリー、ナコンラーチャーシーマなどの生産地では、単収が当初の見込みより25%低下するとみられている。このため、キャッサバの農家販売価格は、11月下旬には2.2〜2.5バーツと、2008年4月の高騰時と同水準にまで上昇している。
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は12月10日、世界農産物需給推計の12月の月次報告を公表した。ただし、12月は同省農業統計局(NASS)によるとうもろこしなどの生産予測がとりまとめられていないため、当月の報告では穀物の生産に係る数値は更新されていない。同報告では、米国における2009/10穀物年度(2009年9月〜2010年8月。以下、「2009/10年度」)のとうもろこしの期末在庫を5000万ブッシェル引き上げている。とうもろこしの収穫が遅れる中、競合するほかの供給国の輸出が増え、米国の輸出が減少したため、この減少相当分が在庫を押し上げることとなった。これに伴うとうもろこしの価格は、前月の1ブッシェル当たり3.25〜3.85ドルの予測を変えていない。
表1
米国におけるとうもろこしの需給見通し(2009年12月10日米国農務省公表)
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資料:USDA/WAOB「World
Agricultural Supply and Demand Estimates」、USDA「GRAINS AND OILESEEDS
OUTLOOK FOR2009」
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注:年度は、各年9〜8月
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表2
世界のとうもろこしの需給見通し(2009年12月10日米国農務省公表)
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資料:USDA/WAOB「World
Agricultural Supply and Demand Estimates」
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注:年度は、世界各国の穀物年度の単純合計
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また、NASSの収穫進捗状況調査によると、12月6日までの主要18州における2009/10年度のとうもろこしの収穫は88%と、前週より9ポイント進んでいるものの、1995年の統計以降では最も遅れた状況となっている。現時点でおよそ1000万エーカー分が残されているが、コーンベルトの中西部などで降雪があり、2009/10年度の正確な収量の把握は、来春まで難しいと推測される。
環境保護庁(EPA)は11月30日、エネルギー団体から要請のあるエタノールのガソリンへの混合率の上限引き上げについて、混合率上昇に伴う車のエンジンなどに対する影響評価の試験が完了していないことを理由に、来年の6月中旬まで決定を延期すると発表した。EPAは当初、現行の10%から15%への引き上げを求めるエネルギー団体の要請に対し、12月1日までに回答するとしていた。この発表以降、とうもろこしの先物価格は緩やかに下落している。決定が下される来年の6月に向けて、とうもろこし価格の今後の動向が注目される。
LMC社によると、シカゴ商品取引所のエタノールの平均価格は、10月の1リットル当たり0.51ドルから11月は0.58ドルに上昇した。原料となるとうもろこしの価格がわずかに上昇したが、エタノールと同様に穀類蒸留かす(DDGS)の価格も上昇したため、エタノール生産者のマージンは過去2年間で最高となった。
LMC社によると、2009年11月現在、EUの小麦でん粉生産コストは、小麦価格が弱含みである上に、でん粉生産の副産物であるグルテン(小麦タンパク)の価格が堅調であることから、低下している。しかしながら、EUにおける甘味料とでん粉の需要が低迷しているため生産過剰の問題が発生しており、でん粉や甘味料の製造事業者であるSyral社は、9月末に小麦でん粉由来の甘味料を生産していたグリニッジ工場を閉鎖した。小麦でん粉製造業者は、小麦を原料としたエタノール生産への切り替えの検討をさらに深めていくとみられる。
LMC社によると、2009年11月現在、EUのエタノール市場は安定しており、大きな動きはない。価格は堅調であり、ブラジルが次年度の収穫期に入るまでは大きく下落する要素もない。域内のエタノール生産については良好な環境が続くとみられる。
LMC社によると、11月のエタノール平均価格は、含水エタノールが1リットル当たり0.94レアル(同0.54USドル)、無水エタノールが、同1.09レアル(同0.63USドル)と、ともに前月並みとなった。エタノール価格の上昇が止まった形となったが、価格急騰の影響で消費量が急減している。
また、降雨の影響でさとうきびの収穫が遅れ、さとうきびが大量に畑に残ったため、一部の工場では圧搾期間を延長し、また、今期の圧搾を終了したところは、次期圧搾開始を通常より早める動きも出てきている。