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でん粉関係用語集

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最終更新日:2023年1月6日

アルファでん粉
でん粉に水を加えてでん粉乳とし、これを加熱した鉄鋼ロール表面にかけて糊化し、乾燥、粉砕して得られたもの。冷水によく溶け低粘度で接着力が強い。

 

異性化糖
でん粉を酵素又は酸により加水分解して得られた主としてぶどう糖からなる糖液を酵素又はアルカリにより異性化した果糖又はぶどう糖を主成分とする糖をいう。低温でもシャープな甘味を得られることから、主に清涼飲料等に用いられる。

化工でん粉
天然のでん粉(生でん粉)を酸や熱、化学薬品等で処理することで、でん粉本来の特性を改良したり(接着力の強化、粘度の調整等)、新しい性質を加えたり(冷水による可溶性等)したもの。

 

可溶性でん粉
でん粉とデキストリンの中間段階のもので、お湯ででん粉を煮たり又は希薄酸液に長時間つけて作る。主に製紙工程中、セルロースパルプに添加するために使用する。

 

かんしょでん粉
かんしょ(サツマイモ)から製造されるでん粉。長時間の加熱にも安定している。用途は、大部分が糖化用。
一部が春雨等に使用される。

 

キャッサバ
[cassava/manioc]キャッサバは、マニオカ、あるいはマニオケとも呼ばれ、トウダイグサ科イモノキ属の熱帯低木である。根が肥大しイモのようになり、食用、飼料用(チップ等)として利用される他、重要なでん粉原料用作物でもある。キャッサバから製造したでん粉は、タピオカ、あるいはマニオカでん粉などと称される。

 

葛でん粉
日本各地の山野に自生するマメ科植物、葛の根から得られるでん粉で、奈良県吉野、福岡県秋月などが産地として知られ、和菓子の原料として賞用される。

 

糊化(こか)
でん粉を水と加熱することにより、でん粉分子の規則正しい配列が失われ、糊(のり)状になること。α(アルファー)化ともいう。炊き立てのご飯が柔らかいのも、お米の中のでん粉が糊化したためである。
反対に、糊化したでん粉は、時間が経つと分子中の水分が失われてパサパサになるが、これを老化(ろうか)という。β(ベータ)化ともいう。ご飯が冷めると硬くなり、食味が悪くなるのは、ご飯の中のでん粉が老化したためである。

 

コーンスターチ
[corn starch]コーンスターチとは、とうもろこしを原材料として製造されるでん粉をいう。原料とうもろこしからのでん粉歩留りはおよそ66〜70%である。

 

混合異性化糖
異性化糖及び砂糖その他の異性化糖以外の糖を混合した糖で政令で定めるものをいう。異性化糖及び砂糖その他の異性化糖以外の糖を混合した糖のうち、香味料を加えたもの及び着色したもの以外のものである。

サツマイモ基腐病(さつまいももとぐされびょう)
サツマイモの病害の一種で、日本国内では平成30年秋に鹿児島県等で発生していたことが明らかになった。いわゆる「カビ」による病気で、水を媒介して感染が拡大する。感染すると、茎が黒色に変化し、葉や茎が枯れ、表面に黒色の小さな粒々(柄子殻:胞子の「実」のようなもの)が形成されるとともに、サツマイモが茎の付け根からゆっくり腐敗していく。

 

サゴでん粉
[sago starch]サゴでん粉とは、ヤシ科サゴ椰子を原材料として製造されるでん粉をいう。原料であるサゴ椰子の幹(剥皮したもの)に含まれるでん粉は、およそ20〜25%である。日本国内では生産されておらず、主にマレーシアやインドネシア等東南アジアから輸入され、化工でん粉に加工され、特に、麺類の打ち粉として利用されることが多い。

 

ジャガイモシストセンチュウ
ばれいしょの病害の一種。植物に寄生する線虫(せんちゅう)による病気で、ばれいしょなどのナス科の植物から養分を吸収することで生育に影響を与え、葉が枯れる、収量が低下するといった被害が生じる。

 

スラリー状でん粉
でん粉の製造工程において、原料磨砕後、粕、たん白等の不純物を取り除いた段階の乳状懸濁液。

 

摺り込み
でん粉の製造における原料処理(磨砕)工程。かんしょでん粉の工場においては、伝統的に目立てをしたローラーを回転させていもを擦り込む方法により、原料処理を行う場合が多く、ばれいしょでん粉の工場においては、ラスパーと呼ばれる細長いノコギリ歯を回転するドラムに植え込んだ型式の磨砕機が使用される。

 

精製でん粉
農産物規格規程で定めるばれいしょでん粉の種類のひとつ。
同規程では、ばれいしょ精製でん粉の規格として水分が18%以下であること等を規定している。

 

種いも
ばれいしょ(ジャガイモ)やかんしょ(サツマイモ)を作るときは「種」ではなく、「いも」そのものを使って増殖させている。このときに使ういもを種いもという。
ばれいしょの場合、種いもをいくつかに切り分けたものを直接畑に植えることで次世代のいもを収穫している。
かんしょの場合、種いもから苗(種いもから伸びたつるを切り取ったもの)を採取し、畑に植えることで次世代のいもを収穫している。

 

タピオカでん粉
[tapioca/manioc starch/cassava starch]タピオカとは、トウダイグサ科のキャッサバの塊根から製造されたでん粉をいう。キャッサバをマニオカとも呼ぶため、タピオカの他、マニオカでん粉、あるいはキャッサバでん粉とも呼ばれる。原料であるキャッサバいもに含まれるでん粉は、およそ15〜30%である。化工でん粉に加工され、利用されることが多い。
なお、タピオカドリンクに使われる、パール(粒)状のタピオカの大半は、海外でタピオカでんぷんを粒状に成型・着色し、茹でればすぐに使えるよう加工された状態(調製品)で輸入されている。
ちなみに、タピオカでん粉自体は白色で、茹でると半透明になるため、黒色のタピオカパールは、カラメル色素などで着色されている。

 

デキストリン
でん粉に酸を加えて加熱ばい焼するか、酵素を加えて加温させたもので、接着剤等工業製品向けに使用される。

 

でん粉
植物が葉緑体を使って太陽光と空気中の二酸化炭素と水から光合成によって生産する高分子炭水化物。多数のぶどう糖がつながってできており、植物の種子、果実、根などに蓄えられる。

 

でん粉原料用いも
でん粉の製造原料となるばれいしょ及びかんしょ。
主なでん粉原料用品種として、ばれいしょはコナヒメ、コナユタカ、パールスターチなど、かんしょはシロユタカ、シロサツマ、コナイシンなどがある。

 

でん粉糖
でん粉を原料として酸または酵素で加水分解することによって得られるぶどう糖、果糖、麦芽糖その他のオリゴ糖類から成るものの総称。

 

でん粉年度
毎年10月1日から翌年9月30日までの期間。

 

でん粉誘導体
でん粉にリン酸塩や他の薬品を作用させたもので、製紙用等工業製品向け、冷凍食品等加工食品向けに使用される。

 

糖化製品
でん粉を加水分解し、糖組成、甘味、物性を有する製品をいう。

生でん粉
でん粉製造工程において、でん粉乳を脱水処理した段階のもの。農産物規格規程では、かんしょ生でん粉水分45%以下、ばれいしょ生でん粉は水分47%以下であること等の規格が定められている。


並でん粉
農産物規格規程で定めるかんしょでん粉の種類のひとつ。
同規程では、かんしょ並でん粉の規格として水分が18%以下であること等を規定している。

ばれいしょでん粉
ばれいしょ(ジャガイモ)から製造されたでん粉。糊化温度が低く、保水性が大きい特長がある。用途は糖化用、水産練製品、畜肉製品、菓子、春雨、片栗粉など。


標準異性化糖
果糖含有率55%の規格の異性化糖に含まれる固形分としての糖をいう。


ぶどう糖
多くの果物に含まれている糖類である。甘味度は同一濃度で砂糖の0.74倍と低いが砂糖の2倍の浸透圧があり食品の保存性を高める効果がある。

水あめ
でん粉を酸や糖化酵素で糖化して作られた粘液状の甘味料である。ぶどう糖、麦芽糖、デキストリンなどの混合物で主成分は麦芽糖である。常態ではほぼ透明であるが、空気を含ませると銀白色となる。

ライマン価(でん粉価)
ばれいしょに含まれているでん粉の量を比重から算出する推計式で求めた値。
推計式はライマン価(%)=214.5×(比重−1.050)+7.5

わらびでん粉
ワラビ科のシダ植物、わらびの根から得られるでん粉で、わらび餅など食用のほか、粘りけが強いので、古くから和がさ、ちょうちんの糊としても利用されている。


(参考文献)
・三省堂「大辞林 第二版」
・世界第百科事典(平凡社)
・甘味の系譜とその科学(光琳)
・農林水産省ホームページ
・でん粉をめぐる状況について、ばれいしょをめぐる状況について、かんしょをめぐる状況について(農林水産省農産局地域作物課)

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