野菜の日に「国際果実野菜年2021 オンラインセミナー」を開催しました〜 新型コロナ禍の野菜消費と健康 〜
最終更新日:2021年9月22日
令和3年8月31日の野菜の日に「国際果実野菜年2021」のオフィシャルサポーター事業の一環として、「新型コロナ禍の野菜消費と健康」をテーマにalicオンラインセミナーを開催しました。女子栄養大学 上西一弘 教授と武庫川女子大学 松井徳光 教授に講演いただき、約130名の皆様に参加いただきました。野菜の栄養価や働きを知って健康な生活を維持しましょう
1 女子栄養大学 上西一弘 教授の講演要旨(「野菜が持つ栄養素と健康について」)
- 野菜は、「ビタミン」、「ミネラル」、「食物繊維」、「ファイトケミカル」、「水」の重要な供給源
- 「食品成分表」で野菜の栄養成分、ゆでる、炒めるなど調理方法や旬による変化を知ろう。野菜はゆでたり炒めたりすることでたくさん食べることができる
- ほうれん草の例:(1)ゆでてもそれほど減らない栄養成分はビタミンA、ビタミンK、カルシウム、(2)ゆでると減る栄養成分はビタミンC、葉酸、カリウム、マグネシウム、(3)冬採りほうれん草のビタミンCの含有量は夏採りの3倍
- ビタミンやミネラルなどを多く含む野菜:モロヘイヤ、赤ピーマン、ほうれんそう、芽キャベツ、ブロッコリーなど
- 野菜のファイトケミカル:(1)アントシアニン(なす)抗酸化作用や眼精疲労の回復効果、(2)ケルセチン(たまねぎ)、リコピン(トマト)抗酸化作用、(3)カプサイシン(とうがらし)食欲増進・脂質代謝促進効果、(4)キャベジン(ビタミンU)(キャベツ)胃酸分泌抑制作用
- 野菜の摂取量目標は1人1日当たり350gで約70g不足。全世代で100g多く野菜を摂って健康な生活を維持しましょう
「ほうれん草」の主な栄養素量
|
重量
変化率 |
葉酸 |
VA |
VK |
VC |
K |
Ca |
Mg |
(%) |
µg |
µgRAE |
µg |
mg |
mg |
mg |
mg |
葉 通年平均 生 |
|
210 |
350 |
270 |
35 |
690 |
49 |
69 |
葉 通年平均 ゆで |
70 |
77 |
315 |
224 |
13 |
343 |
48 |
28 |
葉 通年平均 油いため |
58 |
81 |
365 |
296 |
12 |
307 |
51 |
30 |
葉 夏採り 生 |
|
210 |
350 |
270 |
20 |
690 |
49 |
69 |
葉 夏採り ゆで |
70 |
77 |
315 |
224 |
7 |
343 |
48 |
28 |
葉 冬採り 生 |
|
210 |
350 |
270 |
60 |
690 |
49 |
69 |
葉 冬採り ゆで |
70 |
77 |
315 |
224 |
21 |
343 |
48 |
28 |
葉 冷凍 |
|
120 |
440 |
300 |
19 |
210 |
100 |
51 |
葉 冷凍 ゆで |
66 |
38 |
475 |
317 |
3 |
59 |
112 |
36 |
葉 冷凍 油いため |
80 |
120 |
480 |
296 |
13 |
192 |
104 |
49 |
注:生、冷凍は可食部100gあたり、ゆで、油いためは重量変化率で補正した値で生重量100gあたりの数値。
(日本食品標準成分表2020年版より改変引用)
資料:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」
ビタミン・ミネラルなどを多く含む野菜
最も多く登場しているのは「モロヘイヤ」で、スーパー野菜と言えます。 |
栄養素 |
多く含む野菜(1食分で検討) |
ビタミンB2 |
モロヘイヤ、豆苗 |
ビタミンB6 |
赤ピーマン、ししとうがらし、ニンニク |
葉酸 |
菜の花、モロヘイヤ、芽キャベツ、ブロッコリー、ほうれん草、アスパラガス、枝豆、あさつき |
パントテン酸 |
モロヘイヤ、カリフラワー |
ビタミンC |
赤ピーマン、芽キャベツ、黄ピーマン、ブロッコリー、菜の花、カリフラワー、かぶの葉、ゴーヤ |
ビタミンA |
にんじん、モロヘイヤ、西洋かぼちゃ、あしたば、ほうれん草、春菊、空心菜、豆苗、大根の葉 |
ビタミンE |
モロヘイヤ、西洋かぼちゃ、赤ピーマン、菜の花 |
ビタミンK |
モロヘイヤ、あしたば、つるむらさき、小松菜、ほうれん草、豆苗、おかひじき、春菊、キャベツ |
カリウム |
ほうれん草、春菊 |
カルシウム |
モロヘイヤ、小松菜、大根の葉、水菜、青梗菜、切り干し大根 |
マグネシウム |
ほうれん草、つるむらさき |
鉄 |
小松菜、菜の花 |
食物繊維 |
モロヘイヤ、芽キャベツ、ごぼう、ブロッコリー、菜の花、オクラ |
資料:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版」
野菜の摂取状況
資料:厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査結果」
2 武庫川女子大学 松井徳光 教授の講演要旨(「野菜摂取量の改善が日本人の健康長寿を実現する!」)
- 日本人の平均寿命は大正・昭和初期の男性45歳、女性47歳から現在の男性79歳、女性86歳に伸びたが、米食中心の食生活から肉・魚・油脂・乳製品・野菜の摂取量が増え、タンパク質・脂肪・炭水化物のバランスのとれた食生活に改善したことが要因
- 健康な体づくりには、「五大栄養素」(糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)「非栄養素」(食物繊維、機能性成分、水、酸素)を過不足なく摂取することが大切
- 老年病(脳卒中、高血圧、虚血性心疾患等)の予防には、血管の老化を予防するため、「五大栄養素をバランスよく摂る」「抗酸化作用のある食品を摂ること」が大切
- 野菜には機能成分である多種多様な「抗酸化物質」が含まれている(カロテン(人参、ほうれん草)、ビタミンC(赤・黄ピーマン、ブロッコリー)、ポリフェノール(たまねぎ)等)
- 「漬物はビタミンの王様」(生野菜の微生物発酵でビタミン類が大幅に増加)
- 「キムチ」は、「良質の栄養素(ビタミン、ミネラル)が豊富」で、「生きた乳酸菌で整腸作用・便秘予防・大腸がん予防効果」「カプサイシンでダイエット効果」「抗酸化作用で皮膚などの老化予防」が期待できる
- 野菜不足が続くと、「腸内環境が悪化」「肌が荒れやすくなる」「疲れやすくなる」「免疫力が低下する」「生活習慣病になる」リスク
- 野菜を多く摂取すればより多くの栄養素・機能成分を吸収でき、健康な体が維持され、疾病予防ができ、日本人の健康長寿を実現できる。積極的に野菜を食べましょう
抗酸化作用が期待できる成分と食品
野菜不足による影響
野菜を多く食べるメリット
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 野菜業務部 (担当:管理課)
Tel:03-3583-9449