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令和2年度特定野菜等供給産地育成価格差補給事業の実施状況について

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最終更新日:2021年9月30日

【ポイント】

1 令和2年度特定野菜等供給産地育成価格差補給事業の価格差補給交付金の交付額は、特定野菜事業8億2千万円(前年比81.8%)、指定野菜事業5億円(同87.9%)となった。
2 品目別には、特定野菜事業は、(1)ブロッコリー4億1992万円(前年比148.4%)(2)みつば1億1771万円(同146.9%)(3)ししとうがらし6064万円(同165.2%)(4)こまつな5920万円(同146.2%)(5)セルリー4093万円(同176.2%)の順で、これら5品目で全体の約8割を占めた。 指定野菜事業は、(1)冬春トマト1億2571万円(同238.4%)(2)冬春トマト(ミニトマト)1億1765万円(同199.7%)(3)春レタス3384万円(同98.4%)(4)冬キャベツ3266万円(同136.5%)(5)秋冬ねぎ2941万円(同35.8%)の順で、これら5品目で全体の約7割を占めた。
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道府県別には、特定野菜事業は、(1)愛知県1億8889万円(前年比131.1%)(2)群馬県8196万円(同113.4%)(3)徳島県7505万円(同112.5%)(4)高知県6404万円(同161.7%)(5)茨城県5056万円(同137.3%)の順で、これら5県で全体の約5割を占めた。指定野菜事業は、(1)熊本県1億143万円(同244.6%)(2)長崎県9469万円(同114.2%)(3)徳島県3556万円(同152.0%)(4)佐賀県2583万円(同203.1%)(5)茨城県2407万円(同77.7%)の順で、これら5県で全体の約6割を占めた。

1 はじめに

 「特定野菜」とは、指定野菜(キャベツ、たまねぎなど14品目)に準じて国民生活上および地域農業振興上重要な野菜で、アスパラガス、かんしょ、ブロッコリー、やまのいもなど、私たちの食生活に身近で地域を代表する35品目が選定されている。
 特定野菜等供給産地育成価格差補給事業では、都道府県知事が選定する全国で961の「特定産地」が消費地への安定供給の役割を担っており、特定産地から出荷される野菜の価格が大幅に低落した場合に価格差補給交付金を交付し生産者の経営と野菜価格の安定を図っている。生産者、都道府県、国が都道府県野菜価格安定法人に積み立てた資金をもとに、特定産地が対象市場に出荷した特定野菜および指定野菜の市場価格が過去6年の平均価格の80%(指定野菜は90%)を下回った場合にその差額の8割を価格差補給交付金として交付し、生産者の経営安定と次期作の確保を通じた生産出荷と価格安定を図っている。資金造成割合は、(1)特定野菜は、国33%、都道府県33%、生産者33%(重要特定野菜のアスパラガス、かぼちゃ、スイートコーン、ブロッコリーは国50%、都道府県25%、生産者25%)、(2)指定野菜は、国50%、都道府県25%、生産者25%である(図1)。
 この度、令和2年度事業の対象野菜の出荷期間が終了したので、同年度における価格差補給交付金の交付状況を報告する。
 
図1 特定野菜等供給産地育成価格差補給事業の仕組み

 
※特定野菜とは、アスパラガス、いちご、えだまめ、かぶ、かぼちゃ、カリフラワー、かんしょ、グリーンピース、ごぼう、こまつな、さやいんげん、さやえんどう、しゅんぎく、しょうが、すいか、スイートコーン、セルリー、そらまめ、ちんげんさい、生しいたけ、にら、にんにく、ふき、ブロッコリー、みずな、みつば、メロン、やまのいも、れんこん、ししとうがらし、わけぎ、らっきょう、にがうり、オクラ、みょうがの35品目。
※指定野菜とは、キャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、たまねぎ、トマト、なす、ねぎ、にんじん、はくさい、ばれいしょ、ピーマン、ほうれんそう、レタスの14品目。
注:事業の詳細は、農畜産業振興機構「野菜価格安定・振興事業のご案内」https://www.alic.go.jp/content/001180441.pdfを参照

2 令和2年度の実施状況

(1)特定野菜事業

ア 交付予約数量・準備金造成額

 令和2年度の交付予約数量は、全体では前年度より約1万3千トン減少して23万6千トン(前年度比5.1%減)であった。準備金総額は、前年度に比べ8億6千万円減少して144億5千万円(同5.6%減)となり、このうち国庫負担限度額は56億4千万円(同4.8%減)となった(表1)。
 
表1 令和2年度特定野菜事業の交付状況

 交付予約数量が多い上位5品目は、ブロッコリー51,795トン(前年度比4.0%増)、すいか35,715トン(同7.4%減)、やまのいも20,867トン(同3.1%減)、ながいも18,992トン(同3.4%減)、セルリー15,685トン(同3.5%減)、上位5道府県は、青森県29,673トン(前年度比1.9%減)、熊本県19,667トン(同9.2%減)、香川県17,974トン(同16.0%増)、長野県17,782トン(同0.0%増)、茨城県15,275トン(同2.5%減)であった。
 交付予約数量が前年度と比べ増加した主な品目は、こまつな6,014トン(前年度比7.5%増)、スイートコーン6,387トン(同4.1%増)、ブロッコリー51,795トン(同4.0%増)、にんにく2,459トン(同0.4%増)、減少した主な品目は、しょうが1,247トン(同38.0%減)、かんしょ15,205トン(同22.5%減)、ししとうがらし1,200トン(同20.0%減)、わけぎ333トン(同19.7%減)、オクラ1,577トン(同18.1%減)であった。道府県別にみると、香川県17,974トン(前年度比16.0%増)、兵庫県3,212トン(同11.1%増)、大分県5,139トン(同3.9%増)、石川県8,630トン(同3.5%増)、愛媛県1,747トン(同3.0%増)などが増加し、沖縄県389トン(同47.4%減)、宮崎県7,265トン(同40.4%減)、山梨県24トン(同33.3%減)、高知県5,740トン(同28.0%減)、滋賀県185トン(同20.6%減)などが減少した。
 

イ 価格差補給交付金の交付額

 令和2年度の価格差補給交付金は、しょうが、ふき、メロン、みょうがおよびわけぎを除く30品目について交付があり、交付総額は、前年度より1億8千万円減の8億2千万円(交付率5.7%)であった。このうち、農畜産業振興機構が野菜価格安定法人に交付した価格差補給助成金は、3億4千万円(前年度比10.6%減)であった(表2)。
 
表2 令和2年度特定野菜等別事業実施状況(特定野菜事業)

 

 品目別交付額上位5品目は、ブロッコリー4億1,992万円、みつば1億1,771万円、ししとうがらし6,064万円、こまつな5,920万円、セルリー4,093万円、上位5道府県は、愛知県1億8,889万円、群馬県8,196万円、徳島県7,505万円、高知県6,404万円、茨城県5,056万円となった(図2、3、表3)。
 対象品目・出荷期間別の交付額をみると、ブロッコリー(10〜12月)2億4,756万円が最も多く、次いでブロッコリー(1〜3月)1億4,581万円、みつば(9〜12月)6,805万円、ししとうがらし(11〜12月)4,535万円、みつば(1〜3月)3,828万円となった。
 
図2 令和2年度特定野菜事業の価格差補給交付金交付額と
交付割合(品目別)

 
図3 令和2年度特定野菜事業の価格差補給交付金交付額と
交付割合(都道府県別)

 
表3 令和2年度道府県別事業実施状況(特定野菜事業)

 

(2)指定野菜事業

ア 交付予約数量・準備金造成額
 令和2年度の交付予約数量は9万1千トン(前年度比3.7%減)、準備金総額は前年度に比べ2億5百万円減少して45億4千万円(同4.3%減)となり、このうち国庫負担限度額は22億7千万円(同4.3%減)となった(表4)。
 
表4 令和2年度指定野菜事業の交付状況

 交付予約数量が多い上位5種別は、春キャベツ11,717トン(前年度比5.9%減)、秋冬ねぎ6,862トン(同1.4%減)、冬春トマト6,373トン(同1.7%減)、冬春きゅうり5,801トン(同1.3%減)、春だいこん5,110トン(同0.1%増)、上位5道府県は、茨城県11,023トン(前年度比2.8%減)、愛知県7,656トン(同1.4%減)、長崎県6,978トン(同0.8%増)、大分県6,954トン(同5.3%増)、青森県5,730トン(同1.7%減)であった。
 交付予約数量が前年度に比べ増加した主な種別は、夏はくさい410トン(前年度比15.5%増)、夏秋キャベツ3,132トン(同5.3%増)、冬レタス675トン(同2.4%増)、秋にんじん2,091トン(同1.9%増)、冬キャベツ4,864トン(1.9%増)、減少した主な種別は、秋冬さといも842トン(同56.4%減)、ほうれんそう968トン(同14.6%減)、夏ねぎ2,075トン(同12.6%減)、冬春なす618トン(同12.3%)、春はくさい1,438トン(同9.1%)であった。都道府県別にみると、香川県2,563トン(同85.2%増)、宮崎県1,574トン(同6.1%増)、大分県6,954トン(同5.3%増)、岩手県1,227トン(4.7%増)、広島県(4.4%増)などが増加し、愛媛県1,389トン(43.1%減)、三重県1,186トン(40.4%減)、山口県1,097トン(34.4%減)、高知県500トン(28.0%減)、埼玉県(25.2%)などが減少した。

イ 価格差補給交付金の交付額
 令和2年度の価格差補給交付金は、前年度より7千万円減の5億円(交付率11.0%)、このうち、機構から野菜価格安定法人に対して交付した価格差補給助成金は2億5千万円(前年度比12.0%減)であった(表5)。
 交付額上位5種別は、冬春トマト1億2,571万円、冬春トマト(ミニトマト)1億1,765万円、春レタス3,384万円、冬キャベツ3,266万円、秋冬ねぎ2,941万円、上位5都道府県別は、熊本県1億143万円、長崎県9,469万円、徳島県3,556万円、佐賀県2,583万円、茨城県2,407万円となった(図4、5、表6)。
 対象種別・出荷期間別の交付額をみると、冬春トマト(1〜2月)4,867万円が最も多く、次いで冬春トマト(3〜4月)4,103万円、冬春トマト(ミニトマト)(11/21〜12月)3,930万円、冬春トマト(ミニトマト)(1〜2月)3,746万円、春レタス(4〜5月)3,384万円となった。
 
表5 令和2年度特定野菜等別事業実施状況(指定野菜事業)

 
図4 令和2年度指定野菜事業の価格差補給交付金交付額と交付割合
(品目別)

 
図5 令和2年度指定野菜事業の価格差補給交付金交付額と交付割合
(都道府県別)

 
表6 令和2年度都道府県別事業実施状況(指定野菜事業)

3 おわりに

 野菜農家の高齢化や労働力不足などで特定野菜の全国作付面積や出荷量が減少する中で、全国に広がる961地区の特定産地は、特定野菜等供給産地育成価格差補給事業を活用して天候などによる価格変動リスクに対応しながら、特定野菜の全国出荷量の5%、作付面積の23%を担う中核供給基地として消費地への安定供給と価格安定、さらには地域の気候・自然・環境を活かした多種多様な野菜生産を通じて地域経済を支えている。機構では、今後とも、本事業の適確な運営を通じて野菜農家の経営安定と野菜の生産出荷の安定に取り組んでまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 野菜振興部 (担当:助成業務課)
Tel:03-3583-9478