既報注1のとおり、2008年秋以降に顕在化した域内外の乳製品市場の低迷に伴い域内の生乳価格が大幅に低下し、酪農家の経営が大変厳しくなったことから、2009年11月に開催されたEU財務大臣会合において総額3億ユーロ(約378億円:1ユーロ=126円)の緊急措置が合意され、12月3日に正式に採択された。
この緊急措置は特別酪農基金と名付けられ、2008/09クオータ年度注2における各加盟国の生乳生産量に応じて図1のとおり配分されることとなったが、加盟国内でのさらなる配分については、委員会規則1233/2009第1条において、「具体的な基準に基づき」、「非差別的な方法で」、「競争をゆがめない」ように行うことが規定されているものの、実際の運用については各加盟国の裁量に委ねられる形となっている。また、特別酪農基金の酪農家への交付は、同規則第2条において遅くとも2010年6月30日までに行うことと規定されている。