本件について、農畜産業振興機構シンガポール事務所より同協会の広報担当者に確認したところ、
(1)同事務局長が報道陣に対して話した内容は、
「毎年定期的に行われている鶏肉調製品処理施設の検査のために、日本から検査員が来る。これまでは鶏肉調製品処理施設の検査だけだったが、今年は冷凍鶏肉を生産している工場の検査も行われるのではないか。」との楽観的予測を述べたにすぎず、
(2)仮に日本への輸出が再開されても、ひなの確保を急に行うことは難しい上、もも肉が主体になるため、むね肉などのほかの部位の販売先を確保する必要があることから、輸出量が20万トンに達するのは時間がかかるのではないか
と考えていることが明らかになった
タイ政府はこれまでHPAI対策や、国際獣疫事務局(OIE)の基準に基づくコンパートメントシステム(特定の疾病に対する衛生状態が他と明確に区分されている1つまたは複数の施設に対し、共通のバイオセキュリティが行われるシステム)の導入、トレーサビリティシステムの導入などといった、非加熱鶏肉の輸出再開に向けた取り組みを実施してきた(
「畜産の情報」2010年3月号参照)。
このような対策が奏功したこともあり、HPAIは2008年11月以降発生が見られなかったことから、タイ政府は2009年2月に、OIEの規定に基づき、HPAIの清浄化宣言を行っている。
本件については今のところ訂正記事は出ていないが、タイのブロイラー関係者の日本向け冷凍鶏肉輸出再開への期待の表れとして、このような記事が掲載されたと思われる。