2010年の豚肉生産量、卸売価格ともに前年並みと予測(EU)
豚肉生産量は前年比0.7%の増加
EUの豚肉関係者で構成される豚肉助言グループの予測委員会によると、2010年の豚肉生産量は、スロバキア(▲16.6%)、ブルガリア(▲8.8%)などで前年を下回るものの、ドイツ、デンマーク、アイルランド、オランダ、ポーランド、英国の増加により、EU27カ国全体では前年比0.7%増の2232万トン(生産量は枝肉重量ベース。)とほぼ前年並みとなると予測している。
卸売価格も、前年並みと予測
2009年のEUの豚枝肉卸売価格(平均)は、韓国やロシアなどの主な輸出国における経済・金融危機および通貨価値の下落による域外需要の緩和の影響を受け、100キログラム当たり142.22ユーロ(約18,400円:1ユーロ=129円)となり、好調だった前年(153.24ユーロ(約19,800円))と比較して7.2%下回ったが、2003〜07年の5年間平均を上回る結果となった。また、減少傾向であったが生産者の収益についても、飼料価格の低下により、1995〜2007年の平均(同約50ユーロ(約6,450円))まで回復したとしている。
2010年は、上半期は前年同期を下回るものの、下半期は回復するとしており、前年並みの同141.62ユーロ(約18,300円)と予測されている。
主要生産国の状況
ドイツ
2009年は、飼養頭数は前年比0.5%増と微増となったが、周辺国からの生体豚の購入は前年を大幅に上回る1410万頭となった。この傾向は2010年も続き、生体購入は前年比6.4%増の1500万頭となるとみられる。しかし、国内消費の不振から、余剰分は2百万トンに達し、域内外へ輸出されると見込まれる。
スペイン
2009年は、当初生産農家の負債の増加や離農などの危機的状況が懸念されていた。しかし、豚肉価格は低下したものの、飼料価格も低下したことから、生産者の経営状況に改善が見られた。この状況は2010年も続き、生産量は前年並みと予測される。
フランス
飼養頭数の減少(2009年11月:前年比▲1.7%)から、2010年の生産量は前年を下回るか、多く見積もっても前年並みと予測している。
ポーランド
2008年は、卸売価格低下および生産コストの増加により、生産意欲が減退し、離農が多く見られた。このため、飼養頭数は、1960年の水準まで大きく落ち込んだ。しかし、2009年11、12月の調査では、依然、低水準ではあるものの、飼養頭数は前年並み(0.1%)と下げ止まった。また、繁殖めす豚の飼養頭数が前年比6.4%増とかなり増加していることからも、2010年の純国内生産量は増加するとしている。
デンマーク
2008年に落ち込みを見せた飼養頭数は、繁殖めす豚の増加により、2009年4月に落ち着きを取り戻し、同年7月には、わずかながら前年同期を上回った。さらに、同年11、12月の調査では、2007年の水準まで回復したことから、2010年の純国内生産量は、増加(前年比6.1%)するとみられ2011年も増加傾向が続くとみられる。
【小林 奈穂美 平成22年4月20日発】
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