SCの豚生体価格は、2009年前半は低迷が続いたが、同年後半は、生産者が豚の供給を抑えたため一時的に上昇した。2010年のキログラム当たり生体価格は、1月が1.8レアル(約95.4円:1レアル=53円)に比べて3月は1.95レアル(約103.4円)と、8.3%値を上げた。同州のアウロラ養豚組合によれば、この急激な高騰は運転資金を必要とする生産者が体重の小さい豚(80キログラム程度)を多く出荷したことによるものであり、4月以降は標準的な体重(120キログラム程度)に戻っているという。
SCは2008年5月、国際獣疫事務局(OIE)により口蹄疫のワクチン不接種清浄地域に認定されている。米国はこれに先立つ2008年4月、口蹄疫の防疫措置状況などを調査するためSCに米国農務省(USDA)の獣医官を派遣し、輸入解禁への前向きな姿勢を示した。しかし、規制解除の手続きに必要な公聴会の実施のタイミングが整わず今日に至っていた。このような中、2009年にブラジルとの綿花紛争でWTO上の敗北を喫した米国は今年4月、ブラジルがWTO上認められた報復措置の発動を回避するため、SCを口蹄疫清浄地域に加える提案を発表した。
USDAのデータに基づくブラジル農務省(MAPA)とABIPECの分析では、2009年の米国の豚肉輸入量は373千トンで、米国内総消費量8925千トンの4.2%にすぎないことから、SC産豚肉の米国への輸出が解禁となったとしても、米国の市場に与える影響はわずかなものと見込まれる。このため、ブラジル側では、米国内の団体や生産者からの強い反発や圧力はないと判断されたことから、USDAが解禁に踏み切る提案を行ったと見ている。
ABIPECは「米国がSCを「口蹄疫清浄化地域」と認め、米国への輸出が可能となれば、ブラジルの口蹄疫清浄化に関する評価が高まり、メキシコ、カナダ、日本、韓国など諸外国への輸出が期待されるため、こちらのことの方が経済的には重要だ。」としている。