畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2010年 > 2009/10年度の農業経営状況についての見通しを公表(豪州)

2009/10年度の農業経営状況についての見通しを公表(豪州)

印刷ページ

2008/09年度の平均農家収益は穀物・畜産経営では赤字、酪農経営では黒字

 豪州農業資源経済局(ABARE)は4月29日、農業経営状況に関する農家調査「ファームサーベイ」を公表し、2007/08年度(7〜6月)から2009/10年度までの農家の経営状況および見通しを報告した。この調査では、経営類型ごとに農家を抽出して経営状況を分析しており、その対象は(1)穀物・畜産経営農家(穀物専業(小麦主体)、穀物・家畜複合、肉牛専業、羊専業、羊・肉牛複合の5つに細分類)、(2)酪農経営農家の2つのカテゴリーに区分されている。
 2008/09年度の平均収益については、(1)穀物・畜産経営農家は、羊専業を除き収益が改善されたため、赤字額は前年度の11,310豪ドル(92万円:1豪ドル=81円)から、1,500豪ドル(12万円)に減少した。一方、(2)酪農経営農家については、国際乳製品価格の高騰に伴う乳価の大幅な上昇により過去最高の水準となった2007/08年度に比べ10分の1にまで減少したが、6,700豪ドル(54万円)の黒字となった。

2009/10年度の平均農家収益は穀物専業経営を除き赤字の見込み

 2009/10年度については、(1)穀物・畜産経営農家の平均農家収益は18,000豪ドル(146万円)の赤字となり、2005/06年度以降5年連続で赤字となる見込みである。また、(1)穀物・畜産経営農家について、経営類型別に見ると、穀物専業が3,000豪ドル(24万円)の黒字と見込まれる一方、穀物・家畜複合が25,000豪ドル(203万円)、肉牛専業が33,000豪ドル(267万円)、羊専業が2,000豪ドル(16万円)、羊・肉牛複合が8,000豪ドル(65万円)の赤字と見込まれている。なお、(2)酪農経営農家の平均農家収益は、44,000豪ドル(356万円)の赤字となる見込みである。
農家1戸当たりの経営状況
 この中で、豪州で最も農地利用面積が大きく、広範囲に分布する肉牛専業経営農家の経営動向について詳しく見ると、飼料購入費などの生産コストや支払利息などの現金支出は減少するものの、肉牛販売などの現金収入については、気象条件に恵まれ、肉牛の出荷頭数がわずかに減少した上、肉牛価格が低水準であったため前年度を17%程度下回るとみられている。その結果、1農家当たりの現金所得は、同46%減の26,000豪ドル(211万円)と過去10年の平均を25%も下回り、農家収益は4年連続で赤字になると見込まれている。
 一方、酪農経営農家については、現金支出は飼料購入費、支払利息などの減少により前年度比約20%減となるものの、現金収入は乳価の下落および生乳減産に伴い同23%減が見込まれることから、現金所得は、同43%減の50,000豪ドル(405万円)と過去10年の平均である91,000豪ドル(737万円)を大きく下回ると見込まれる。このためABAREは、2009/10年度の酪農経営農家の平均農家収益は、2年連続した黒字から一転して赤字となると見込んでいる。
【杉若 知子 平成22年5月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:岡田 岬)
Tel:03-3583-8693