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2010年の米国畜産物需給見通し

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 インフォーマ・エコノミクス社は5月13〜14日、毎年この時期に行われる米国の主要畜産物の短期的需給見通しに係る会議を開催した。米国の経済が回復基調に入る中、牛肉、豚肉、鶏肉を中心に2010年の需給見通しの概要について報告する。

牛肉:生産の減少により需給が改善、牛肉卸売価格は前年をかなり上回る見込み

 減少局面にあるキャトルサイクルにおいて、2010年1月1日現在の牛の総飼養頭数は9370万頭、うち肉用雌牛飼養頭数は1963年以来最少の数値となる3140万頭(前年同期比1.1%減)、繁殖用に保留される未経産牛は544万頭(同1.7%減)となった。これにより飼養頭数の縮小傾向は継続し、2011年1月の牛飼養頭数は、前年より150〜200万頭少ない約9200万頭にまで減少すると予測されている。
 肉用雌牛頭数の減少により子牛生産頭数も減少し、その結果、2010年の米国内における肥育素牛の供給は減少するとみられる。また、素牛の輸入については、メキシコからはほとんどなく、カナダからは引き続き減少すると見込まれている。一方、2010年の肥育牛の出荷頭数は前年比2.6%増と見込まれているものの、雌牛のと畜頭数が同2.4%減となり、全と畜頭数は同1.3%増となる。しかし、枝肉重量が前年比1.2%減となることから、牛肉生産量は同0.4%減と予測されている。
 牛肉の輸出については、米ドル高と国際的な経済の停滞による需要減退により2009年は前年を下回ったが、2010年は主要輸出先の需要回復を反映して前年を同10〜12%上回ると予測されている。
 また、牛肉卸売価格は、牛肉の供給がタイトなことから8.0%高の100ポンド当たり152ドル (カットアウトバリュー、チョイス級600-900ポンド)と予測されている。

豚肉:生産の減少傾向は継続、豚肉卸売価格は前年を大幅に上回る見込み

 2年半に渡り養豚生産者はマイナス収支が続いていたが、それも終わりを告げ状況は急速に改善している。3月は1頭当たりの収支は10ドルのプラスとなり、4月には25ドルのプラスとなった。
 2010年3月1日の豚飼養頭数は、肥育豚が前年同期比2.7%減であるのに対し、繁殖豚は同3.9%減となっており、生産者の生産基盤が十分に回復されていないことから、今後2〜3四半期は繁殖豚の減少は続くと見込まれている。子豚生産頭数と輸入生体豚頭数は2010年の各四半期を通じて前年同期を下回り、豚肉生産量は2010年、2011年と2年続けて減少すると予測されている。
 世界経済の回復に伴い需要が回復し、輸出量は前年比6.6%増の44億ポンド(199万6千トン)と見込まれているが、豚肉価格の上昇と強いドルは輸出には逆風となる。輸入量が据え置かれる場合、国内供給量は6%近く減少し、2010年の豚肉卸売価格は前年比30.6%高の100ポンド当たり76ドル(カットアウトバリュー)になると見込まれている。

鶏肉:生産調整の効果から需給は改善し、生産は拡大する見込み

 昨年まで飼料価格およびエネルギー価格の高騰と景気低迷による需要の減退に直面していたが、鶏肉生産者は生産を削減することによりこれらの困難に対応した。2009年の鶏肉生産量は、この30年間において初めての減少となった。価格の回復には時間を要したが、飼料とエネルギー価格の低下が鶏肉産業の回復の後押しをした。
 トウモロコシの先物価格(期近物)は、現在のブッシェル当たり3.60〜3.70ドルから今年の後半には同3.30〜3.50ドルまで低下すると見込まれている。
 生産者は年初以来の収益を享受し、夏には胸肉価格のさらなる上昇が見込まれる。その後、季節的要因により価格は下落するものの、低位安定している飼料価格により生産者の利益は確保されると見込まれる。
 2010年の鶏肉生産量は、2008年の369億ポンド(1673万7千トン)にはおよばないが、プラス収支が続くことから前年を3.2%上回る366億ポンド(1660万トン)と予測され、2011年はさらに拡大し、前年を4.8%上回る384億ポンド(1741万8千トン)と記録を更新すると見込まれている。
 国内の需給は2011年にかけて均衡するが、輸出については、ロシアと中国が今年になって米国からの輸入を制限していることが不確定要素として挙げられる。輸出量は現時点で前年を21%下回っているが、年間では同6%減の64億ポンド(290万3千トン)と予測されている。また、2009年の生産量に占める輸出量の割合は19.3%であったが、2010年は17.5%に減少するとみられる。輸出先として、2010年はメキシコ向けが大きく伸びると予測されている。
 なお、2009年の丸どり(中抜き)価格は前年を3%近く下回ったが、2010年は4%以上上回ると予測されている。
【中野 貴史 平成22年5月19日発】
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