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DA、酪農の現状および見通しを公表(豪州)

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2010年の酪農経営は前年の危機的な状況から好転

 デイリー・オーストラリア(DA)は先ごろ、2010年の酪農の現状および見通しに関するレポートを公表した。これによると、2009年の豪州の酪農経営は、国際乳製品価格下落に伴う乳価の下落などから危機的な状況に直面したが、2010年は、国際乳製品価格の回復、飼料穀物価格の下落、主産地の南部における天候の回復などにより、好転している。しかし、南部の酪農経営においては2009年の経営収支が大幅に悪化した影響で、依然として借入金の返済や金利負担が重圧となっているとしている。

2009/10年度の生乳生産量は前年度比5%減の見込み

 2009/10年度(7月〜6月)の生乳生産量は、前年度比5%減の895万キロリットルを見込んでいる。これは、1996/97年度以降、過去最低の水準である。南部における生産者乳価の下落による経産牛のとう汰、購入飼料の利用削減などが要因として挙げられる。特に、ビクトリア州北部およびニューサウスウェールズ州南部リベリナ地域では、前年度比9%減とかなりの減少が見込まれている。

国際乳製品価格の回復傾向を反映し、生産者乳価は上向き

 南部における2009/10年度の生産者乳価について見ると、初期乳価は、国際乳製品価格の下落により前年度に比べ大幅に下落したが、年度後半は、国際乳製品価格の回復傾向から乳価は上昇傾向にある。2010/11年度の初期乳価については、為替相場の動向など不安定要因はあるものの、乳固形分1キログラム当たり4.40〜4.60豪ドル(334〜350円:1豪ドル=76円)、最終乳価は同5.00〜5.40豪ドル(380〜410円)で推移する見込みである。

向こう3年間の酪農家の増産意欲は前年より大きく落ち込む

 2010/11年度の生乳生産量については、生産者乳価の上昇や飼料穀物価格の下落が見込まれるものの、前年度の経営収支が酪農経営を圧迫した影響などから、酪農家は増産には慎重な姿勢であり、900万キロリットルにとどまるものと見込まれる。また、2010年の経営意識調査では、向こう3年間で増産すると回答した酪農家は、経営の先行き不透明感などから、2009年の65%から50%に落ち込み、2005年以降、最も低い数値となった。こうしたことから、2012/13年度の生産量も890万〜920万キロリットルと低水準となる見込みである。

生乳生産量に占める国内仕向け割合が増加

 生乳生産量が減少傾向にある中、国内の牛乳・乳製品消費は、スーパーマーケットの貢献の高まりなどを反映し、牛乳を中心に引き続き順調である。国内市場への生乳仕向け割合は、10年前には40%程度であったが、ここ数年は輸出向けを上回り、55%程度で推移している。一方、輸出仕向け割合が減少する中、豪州の輸出業者は利益を最大限にするため、中国向けの育児用粉乳などより付加価値の高い製品の取り扱いを強化しているとしている。
【玉井 明雄 平成22年5月25日発】
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