2010/11年度の冬穀物作付面積、生産量ともに前年度並みとの予測(豪州)
豪州農業資源経済局(ABARE)は6月16日、四半期ごとに公表している穀物生産見通しを発表した。これによると、2010/11年度(7〜6月)の冬穀物の作付面積は、国際小麦価格の低迷や家畜飼養頭数の緩やかな増加により、前年度比0.7%減の2215万ヘクタール、生産量は同0.3%減の3512万トンになるとみられる。
主要生産地域の状況について、東部3州(ニューサウスウェールズ(NSW)州、ビクトリア(VIC)州、クイーンズランド(QLD)州)では、作付時期となる秋口(3月〜5月)の降雨に恵まれ作付け状況は良好である。一方、冬穀物総生産量の約4割を担う最大の生産州である西オーストラリア(WA)州では、今夏の干ばつに続き、今秋の降雨量が平年以下となったため、現時点では2010/11年度の生産は前年度を下回ると見込まれている。
なお、南東部で大発生しているオーストラリアトビ・バッタ(Australian plague locust)について、当局(オーストラリアトビバッタ委員会)は、薬剤の散布面積は2004/05年度(約45万ヘクタール)を上回るとしつつも、どの程度影響があるかについて、現時点で述べるには時期尚早としている。
小麦、カノーラがわずかに増産、大麦はかなりの程度減産の見込み
冬穀物の生産見通し(2010/11年度)を品目別に見ると、小麦は、作付面積は前年度比2.0%減の1351万ヘクタールと見込まれているものの、単収の増加に伴い生産量は同2.2%増の2214万トンとなっている。大麦は、作付面積は同9.3%減の409万ヘクタールとなり、生産量も同9.9%減の729万トンと見込まれている。カノーラは、作付面積が同16.4%増の162万ヘクタールとなる一方、単収がかなり減少することから、生産量は同2.6%増の196万トンにとどまると見込まれている。
2009/10年度の夏穀物(ソルガムなど)の総生産量は前年度比35.6%減の見込み
夏穀物についてはおおむね収穫が完了し、2009/10年度の生産量は前年度比35.6%減の249万トンとしている。これは、夏穀物総生産量の過半以上を占めるソルガムの生産が、主産地であるNSW州北部、クイーンズランド州南部で春・初夏を通じて降雨量がかなり少なかった影響を受け、作付面積が前年度比49.3%減と半減し、生産量も同54.4%減の123万トンとなったことが大きい。一方、綿実の生産量は同18.3%増の39万トン、コメは同3.4倍の21万トンといずれも大幅に増加する見込みとなっている。
【杉若 知子 平成22年6月21日発】
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