米国農務省(USDA)は7月16日、6月の食肉小売価格を公表した。牛肉は過去最高水準に近いポンド当たり409.0セント、豚肉は3カ月連続で上昇し、過去最高となるポンド当たり310.4セントを記録した。
これまでの推移を見てみると、最近では2008年に上昇傾向を示しているが、これは好調な輸出需要に牽引され需給が引き締まったことなどが主な要因である。これに対して、本年に入ってからの上昇は、牛肉および豚肉の供給が減少していることが主な要因となっている。米国政府のバイオエタノール振興策によるここ数年の飼料価格の上昇が食肉生産の減少に大きく影響していることを考慮すれば、生産段階のコストアップが市場メカニズムを通じて小売価格へ転嫁されてきているとの見方もできるであろう。なお、豚肉の供給減少については、カナダからの生体豚の輸入が、カナダドル高や2008年9月から実施されている米国における食肉の原産地表示の義務化などにより減少していることも要因の一つとなっている。
米国内の景気回復の見通しが不透明な中、小売価格の上昇は直ちに食肉需要の減少につながる恐れがあり、今後の小売価格の動向が注目されるところである。