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バターおよび脱脂粉乳の介入買入在庫放出手続きについて(EU)

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 2010年6月よりバターおよび脱脂粉乳の介入買入在庫放出にかかる入札が実施されており、その結果について機構の媒体を通じ報告しているところであるが、本稿ではその放出手続きについ紹介したい。

 まず、介入買い入れの対象とされるバターおよび脱脂粉乳の規格については、委員会規則1272/2009において以下のとおり規定されている。

バター

脱脂粉乳

・応札から過去31日以内に製造されたもの ・応札から過去31日以内に製造されたもの
・脂肪分82%以上 ・乾物中のタンパク質含量34%以上
・水分含量16%未満 ・スプレー式により製造された高品質のもの
 ここで、製造業者への代金の支払いは、従前は倉庫への納品後120日から140日以内であったが、製造業者側のキャッシュフローに配慮し、2009年6月からは65日以内に短縮されている。
 次に、介入買入在庫放出であるが、この手続きは以下の手順に沿って進められる。
 (1)官報における入札の公示(応札期限:原則毎月第2週および第4週の火曜日の
   ブリュッセル時間の午前11時。ただし、該当する日が祝日の場合は前日の同時刻。)
 (2)業者による応札(応札量は10トン以上、保証金は60ユーロ/トン(注1))
 (3)欧州委員会による最低落札価格案の決定
 (4)加盟国代表から構成される乳業管理委員会における最低落札価格の承認手続き
   (多数決方式)
 (5)官報における最低落札価格の公示
 (6)介入買入在庫の落札業者への引き渡し(落札から30日以内(注2))

注1:この保証金の額は加盟国の判断で引き上げることが可能で、例えばアイルランドでは200ユーロ/トンとされている。

注2:落札業者は引き渡しの前に代金を加盟国の介入買入機関に支払わなければならないこととされている。

 2010年6月以降4回にわたって実施された介入買入在庫放出に係る入札では、脱脂粉乳はいずれの回も全量不落とされたが、これは、応札価格帯が上記(3)の欧州委員会による最低落札価格案を下回ったためであり、この場合、上記(5)における最低落札価格の公示では、最低落札価格が設定されなかった(全量不落となった)ことのみ言及されることとなる。

 欧州委員会による最低落札価格案の算定は、域内市場の動向、製品の品質、放出予定量などを総合的に勘案して行われているとみられるが、その算定根拠は官報では公示されない。内部事情に詳しい関係者によれば、欧州委員会側は域内市場価格と大きく乖離しない水準での市場放出を想定しているもようであり、今後とも域内市場価格を大幅に下回る価格で脱脂粉乳が落札されることは考えにくいとみられる。
【前間 聡  平成22年8月20日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部調査課 (担当:藤原)
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