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南米の農畜産業をめぐる現地情報(2010年9月下期)

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(アルゼンチン)

○ 去勢牛価格が過去最高を記録

 アルゼンチンの生体牛取引価格の指標となるリニエールス市場の去勢牛価格は9月28日、1キログラム当たり6.87ペソ(約144円:1ペソ≒21円)と過去最高を記録し、昨年の同時期に比べ倍以上となっている。これは、最近の肉牛の供給不足に加え、主要飼養地域が豪雨のため市場への家畜輸送が困難になるとみられたため、取引が活発化したことによる。

○ 2010年の豚肉生産量は、前年比15%以上増の見込み

 アルゼンチン養豚生産者協会(AAPP)によると、2010年の同国の豚肉生産量は、約35万トンと前年を15%以上上回ると見込まれている。AAPPは、この原因として、現在の牛肉の供給不足による代替需要の増加と、豚肉のヒトに対する健康への効能が認識されてきたことを挙げている。

○ 2010/11年度のトウモロコシは種面積は14%増との見込み

 ブエノスアイレス穀物市場によると、2010/11年度(3月〜翌年2月)のトウモロコシのは種面積は、現在の良好な気象条件と収益性の向上から前年度比14%増と見込まれている。また、アルゼンチン農牧漁業省(MINAGRI)によると、2009/10年度のトウモロコシのは種面積は、360万ヘクタールとなった。

(ブラジル)

○ 2010年1〜8月の鶏肉輸出金額は前年同期比16.8%増

 ブラジル養鶏連合(UBAABEF)によると、2010年1〜8月の鶏肉輸出は、主要輸出相手先であるサウジアラビアや日本向けなどが増加したことから、数量ベースで前年同期比3.6%増の約251万3000トンとなった。一方、金額ベースでは輸出単価の上昇により、同16.8%増の43億7200万ドル(約3672億4800万円:1ドル≒84円)となった。

○ JBS社、イタリアでのジョイント・ベンチャー解消の可能性

 JBS社は、イタリアの大手食品会社CREMONINI社傘下の牛肉パッカー、Inalca社株の50%を取得して設立した合併企業(Inalca JBS)に関して、双方の法的な見解の相違により、経営を継続する条件が既にないとの声明を発表した。
 JBS社からは今回の経緯について具体的な説明はないが、CREMONINI社側は、JBS社が2009年に統合した牛肉パッカー、ベルチン社がInalca社と競合することが、ジョイント・ベンチャー契約の一部に抵触するとしている。

○ ネスレ社、2011年に約5億レアルの投資を計画

 ネスレ社によると、2011年にリオデジャネイロ州の工場新設や技術開発などに約5億レアル(約250億円:1レアル≒50円)を投資する計画である。なお、計画には新規買収は含まれていない。ブラジルのネスレ社の売上高は、2010年で180億レアル(約9000億円)近くになる見込みであり、同国は世界のネスレ社の市場の中で最も成長が著しいとしている。

○ トウモロコシ、8月単月で100万トン以上を輸出

 民間農業コンサルタント会社によると、2010年1〜8月のブラジルのトウモロコシ輸出量は、コロンビアやマレーシア向けが減少したことから、前年同期比9.5%減の約354万8000トンとなった。しかし、8月単月では前年同月比220%増の約119万2000トンとなった。この原因としては、中西部のマットグロッソ州などからのトウモロコシの輸送費を助成する農産物流通助成金(PEP)の影響が大きいとみられている。なお、同社によると、ロシアなどの小麦の不作の影響はまだ見られないとのことである。
表
【石井 清栄 平成22年10月4日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部調査課 (担当:藤井)
Tel:03-3583-9532