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南米の農畜産業をめぐる現地情報(2010年10月下期)

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(アルゼンチン)

○ 肉牛不足によりフィードロットの収容率が大幅に低下

  アルゼンチンフィ−ドロット協会(CAEHV)によると、同国の現在のフィードロット収容率は、肉牛の供給不足による生体取引価格の上昇から導入が進まず、昨年の同時期に比べ21ポイント減の54%にまで落ち込んでいる。

○ 牛肉価格などの上昇で労働組合の賃上げ要求の可能性

 民間コンサルタント会社によると、牛肉価格などの物価上昇により、年末前に労働組合が賃上げ要求を行う可能性があるとしている。同社によると、去勢牛価格は最近2カ月で26%上昇しており、この上昇は牛肉価格にも反映され始めている。そのため、労働組合が実質賃金の下降を補うため何らかの補てんを要求することは十分考えられるとしている。

○ ブラジルと中国などへの農産物輸出で連携

  大豆や牛肉などにおいて世界有数の生産・輸出国であるアルゼンチン、ブラジルの両国は10月20日、ブエノスアイレス市内で中国、韓国、日本などへの農産物輸出に関する戦略的共同通商協定について合意した。今回は協定を締結したのみであり、内容については、今後両国で協議される見込みである。

(ブラジル)

〇 牛肉価格の上昇などで2010年の鶏肉消費量は過去最高の見込み

 ブラジルブロイラー用ひな生産者協会(APINCO)によると、繁殖雌牛の減少による肉牛供給不足のため国内の牛肉価格が上昇していることなどから、2010年の同国の1人当たりの鶏肉消費量は、前年比2.0%増で過去最高となる41.6キログラムと見込まれている。

○ パラ州経済を潤す生体牛輸出

 世界最大の牛肉輸出国であるブラジルは、生体牛輸出についても有数の輸出国となりつつある。開発商工省貿易局(SECEX)によると、2009年の同国の生体牛輸出は、ベネズエラやレバノン向けなどに50万頭以上、輸出額は2億5000万ドル(約205億円、1ドル≒82円)となった。輸出州は、北部のパラ州が圧倒的に多く、次に南部のリオグランデドスル州となっている。生体牛を多く輸出するパラ州では、輸出の増加に伴う肉牛価格の上昇が地域経済に寄与しており、肉牛生産への投資促進の要因ともなっている。
 

○ トウモロコシの第2期作の割合が増加

 ブラジルのトウモロコシ栽培は、南部を中心に8〜12月に作付され、翌年の1〜6月に収獲される第1期作と、中西部を中心に大豆の裏作として1〜3月上旬に作付され、その年の7月下旬〜9月に収穫される第2期作の2つの方法で行われる。一般に第2期作は、サフリンニャ(小型の収穫)と呼ばれており、主体は第1期作である。
 現在、年間生産量に占める第2期作の割合は、10年前の約15%から2010/11年度には約40%に達すると予測されている。ブラジル農牧公社(EMBRAPA)のトウモロコシ・ソルガム研究センターによれば、この要因として大豆価格の上昇を挙げており、第1期作における大豆栽培増加に伴い、同期作のトウモロコシが減少し、第2期作に移行しているためとしている。
ブラジル 鶏 チリ 豚
【石井 清栄 平成22年11月3日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:岡)
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