ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2010年 > 2010年鶏肉輸出は順調に増加(アルゼンチン)
国内生産が順調に増加する背景として、豊富な飼料、水、土地を利用した企業経営による生産のインテグレートの進展が挙げられる。CEPAによれば、現在では大手企業上位8社が生産量の70%強を占めるなど、鶏肉産業を支えているとのことである。地域別にみると、飼料となるトウモロコシの主産地であるエントレ・リオス州45.4%、ブエノスアイレス州42.2%となり、この2州で全体の90%弱が生産される。
一方、アルゼンチン国内でも鶏肉消費は順調に伸び、2009年の一人当たりの年間鶏肉消費量は33.4キログラムで2004年(21.6キログラム)と比べ54.6%の増加となった。一般的には「牛肉価格の高騰による代替食肉」が増加理由として挙げられるが、アルゼンチン養鶏加工協会(CEPA)では、鶏肉消費は牛肉価格が上昇した2008年より前から徐々に増加していることから、国民の嗜好の変化により、積極的に鶏肉を選択されていると分析している。このためCEPA傘下のブロイラー企業は、輸出向けのみならず、国内市場の拡大を見越した生産体制の強化を進めている。
アルゼンチンの鶏肉産業は、国内外の需要に対応するため、インテグレート化により近年著しく発展し生産規模を拡大してきた。インテグレーションによる企業は、衛生的に管理された施設を配備し生産体制も万全であることに加え、生産コストが低く競争力が高い商品を生産することから、今後、アルゼンチンの鶏肉輸出はますます増加していくとみられる。現在、日本の輸入鶏肉市場は鶏肉は、日本国内で豚肉と並んで消費されている。鶏肉の安定供給の観点からもブラジル以外に輸入元を開拓することは喫緊の課題と思われる。今後、丸どりのみでなくブラジルのように鶏肉カット技術などを導入し日本市場にも参入できるようアルゼンチン鶏肉産業に期待したい。