フィリピンの2010年1〜9月期の畜産部門は好調だが、生産額の伸びにかげり
2010年1〜9月期の農業生産額の成長率は3.0%
フィリピン農務省農業統計局(BAS)が公表した、2010年1〜9月期の農業生産状況によると、農業部門全体における生産額(現行価格)は、前年同期比3.0%増の8827億ペソ(約1兆8537億円:1ペソ=2.1円)となった。
耕種部門は伸び悩む一方、家畜および家きん部門の生産額が増加
部門別でみると、農業生産額の半分を占める耕種部門は同0.5%増の4539億ペソ(9531億円)、約3割を占める水産部門が同1.8%増の1636億ペソ(3436億円)であり、前年とほぼ同じ額にとどまった。
耕種部門の生産額の減少は、主要作物であるコメとトウモロコシについて、第2四半期に特に顕著であったエルニーニョ現象による干ばつおよび高温の影響を受け、生産量が大幅に減少したことが原因である。
コメは生産額が同12.5%減少の1406億ペソ(2952億円)、生産量が同14.9%減の927万トンであった。トウモロコシは生産額が同15.4%減の519億ペソ(1090億円)、生産量が同15.4%減の473万トンであった。
畜産関係の生産額については、家畜部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)が同9.4%増の1521億ペソ(3194億円)となり、家きん部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)も同7.1%増の1132億ペソ(2377億円)と増加した。
畜産関係の生産額の伸びは、生産量の増加および価格の上昇などによるものである。特に主要畜産物である豚肉が同9.6%増の1248億ペソ(2620億円)、鶏肉が同7.3%増の843億ペソ(1770億円)と好調であった。
豚肉と鶏肉の生産および価格状況
豚肉についてはエルニーニョによる熱波による事故を恐れた生産者が特に、第2四半期に出荷を増やしたことなどから生産量が増加した。
鶏肉の生産量についても増加した。これは旺盛な需要を反映して、設備拡張が続き、ひなの供給が増加したことによる。
国内価格は需要の増加もあり堅調に推移した。生産者販売平均価格は、豚肉が同8.8%高のキログラム当たり91.88ペソ(約193円)となったほか、鶏肉が同4.3%高のキログラム当たり85.37ペソ(179円)となった。
しかし生産額の伸びは第2四半期までは顕著であったものの、第3四半期だけを見ると、豚肉は3.4%増(生産量0.9%減、価格4.4%高)、鶏肉は1.7%減(生産量3.9%増、価格5.4%安)であり、陰りが見える。
【(代理)平石 康久 平成22年12月16日発】
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