畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2010年 > 南米の農畜産業をめぐる現地情報(2010年12月上期)

南米の農畜産業をめぐる現地情報(2010年12月上期)

印刷ページ

アルゼンチン

○ 中国と牛肉、乳製品などの輸出に係る貿易協定で合意

 アルゼンチン政府は、牛肉、乳製品、大麦、リンゴ、タケノコの輸出に係る貿易協定で中国政府と合意した。中国政府関係者は、今回の合意が両国にとって有益であると述べた。

○ 牛飼養頭数の減少による損害は210億ペソと推計

 農業関係者によると、現在の牛飼養頭数は政府の牛肉輸出管理政策や大豆への作付転換に伴う草地面積の減少などにより、2006〜2008年の水準(約6000万頭前後)に比べ1100万頭以上減の約4900万頭であり、その損害は210億ペソ(約4410億円、1ペソ≒21円)になるとみられている。

○ キルチネル大統領が輸出課徴金の存続を主張

 キルチネル大統領は記念式典の席で、輸出課徴金の存続を主張した。野党や農牧団体は、「行政府の農畜産物に対する輸出課徴金に決定権に関する法律」が8月下旬に失効したことを受け、その権限を行政府から議会へ移行し、税率を引き下げることなどを希望しているが、内部対立などから意見がまとまらず、現在も従前の税率が適用されている。

ブラジル

○ 鶏肉需要は国内外とも好調

 ブラジル養鶏連合(UBABEF)によると、2010年1〜11月までの鶏肉輸出は、主要輸出先である日本やサウジアラビア向けなどの増加から数量ベースで前年同期比5.6%増の約350万トン、金額ベースで同17.4%増の約61億8700万ドル(約5259億円、1ドル≒85円)となった。また、2010年の1人当たり消費量も牛肉価格の上昇による代替需要から、前年比10%増の44キログラムと見込まれる。UBABEFは、年も国内外の鶏肉需要は堅調に維持するとみている。

○ 2011年の大豆および大豆製品の輸出額は過去最高の見込み

 大豆油産業協会(ABIOVE)によると、2011年の大豆および大豆製品の輸出額は、中国の輸入増加などによる国際価格の上昇から、過去最高であった2008年に比べ6.2%増の196億4300万ドル(約1兆6697億円)になると見込まれている。

○ ブラジル主要食肉パッカー、マルフリグ社の2010年のグループ売上高は160億レアルの見込み

 ブラジルの主要食肉パッカー、マルフリグ社のグループ売上高は、2009年に比べ2010年が66.7%増の160億レアル(約7840億円、1レアル≒49円)、2011年が同約3倍の290億レアル(約1兆4210億円)となる見込みである。同社は売上げ増について、今年6月にマクドナルド社などに原料供給を行う米国のキングストーン・フーズ社買収の影響が大きいとしている。また、同社は、マクドナルド社の最大の競争相手であり、今年9月にブラジルの投資ファンドに買収されたバーガー・キング社との業務提携を計画していることも明らかにした。

チリ

○ 第1位と第3位の乳業メ−カーが事業提携へ

 国内最大の乳業メ−カー、ソプローレ社(ニュージーランドの乳業メーカー、フォンテラ社資本)と第3位のネスレ社は、自由競争擁護裁判所(TDLC)に、乳製品の生産や流通などで事業提携し、共同会社を設立する承認申請を再度行った。両社は4年前に同様の申請を行ったものの、承認されなかった経緯がある。承認されれば共同会社は、同国の生乳処理量の2割近くを占めるとされており、チリ生乳生産者連盟(FEDELECHE)は、年内に今回の事業提携に対する意見を表明することとしている。
【石井 清栄 平成22年12月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:岡)
Tel:03-3583-8609  Fax:03-3584-1246