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EFSA、BSEサーベイランスの見直しに係る評価結果を公表

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 欧州食品安全機関(EFSA)は2010年12月13日、欧州委員会から要請のあったBSEサーベイランスの見直しに係る評価結果を公表した。当該評価は、
・2010年12月時点で既にサーベイランス対象を48カ月超に絞り込んでいる17加盟国 (注1) (以下 「EU17」という。)について、さらなる対象の絞り込みによる摘発漏れ頭数の推計
・EU17以外の加盟国であってEU規則(EC)No 999/2001(以下「TSE規則」という)で規定するBSEサーベイランスを少なくとも6年間継続している8加盟国(注2)におけるBSEの疫学的状況の評価
の2項目から構成されている。
 
注1: ベルギー、キプロス、デンマーク、ドイツ、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランド、スロベニア、スウェーデンおよび英国のこと。
 
注2: EU17以外の加盟国であってTSE規則で規定するBSEサーベイランスを少なくとも6年間実施しているポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、エストニアおよびマルタのこと。

EU17については、さらなるBSEサーベイランス対象の絞り込みによる年間の摘発漏れ頭数を推計

 EU17については、定型BSEの有病率は2004年以降変わらない(減少しない)という最悪の事態を想定したシナリオと、定型BSEの有病率は2004年以降減少傾向を維持するというより現実的なシナリオの2つのシナリオの下、(1)サーベイランス対象月齢のさらなる引き上げ、(2)定めれた期日以降に出生した牛をサーベイランス対象から除外、(3)定められた期日以降に健康と畜牛に対するサーベイランスを停止という3通りの方法でサーベイランス対象を絞り込んだ場合の年間の摘発漏れ頭数を推計しており、その評価結果は次表のとおりとなっている。
BSE図1

EU17以外の加盟国については、5加盟国のみBSEの疫学的な状況がEU17と同等水準との評価

 一方、EU17以外であってTSE規則で規定するBSEサーベイランスを少なくとも6年間継続している8加盟国については、TSE規則において規定されているBSEサーベイランスが完全実施された2004年5月1日以降、摘発頭数がゼロにとどまっている5加盟国(注3)のみBSEの疫学的状況がEU17と同等水準と評価され、EU17と同様のBSEサーベイランスがこれら5加盟国にも適用可能とされた。また、継続的にBSEが摘発されている残りの3加盟国(チェコ、ポーランドおよびスロバキア)については、現時点では未だ摘発されていないBSEの頭数を推計するには情報が十分でないとされた。
 
 今後は、2010年7月に欧州委員会より公表された第二次TSEロードマップ(注4)に基づき、今般のEFSAによる評価結果を基礎として将来的なBSEサーベイランスの絞り込みの可否が欧州委員会において検討されるとみられることから、その動向について引き続き注視してまいりたい。
 
注3:ハンガリー、ラトビア、リトアニア、エストニアおよびマルタ。
 
注4:さらなるBSE対策の合理化に取り組む欧州委員会〜第二次TSE(伝達性海綿状脳症)ロードマップ(2010-2015)について〜http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2010/sep/gravure01.htm 
 
参考:Scientific Opinion on a second update on the risk for human and animal health related to the revision of the BSE monitoring regime in some Member States

【前間 聡  平成23年1月11日発】
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