米国農務省、トウモロコシ、大豆ともに生産予測量を下方修正
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が1月12日に公表した1月の世界農産物需給推計の月次報告によると、米国における2010/11穀物年度(2010年9月〜2011年8月。以下、「2010/11年度」)のトウモロコシおよび大豆の生産量は、前月の予測値からトウモロコシは0.7%、大豆は1.4%といずれも下方修正された。
トウモロコシは生産減により、さらに在庫を下方修正
トウモロコシの生産量は、前月の予測(125億4000万ブッシェル)から9300万ブッシェル引き下げられ、124億4700万ブッシェル(前年度比4.9%減)と予測されている。これは、1エーカー当たりの収量が、ミネソタ州を除くトウモロコシ生産州で引き下げられたことから、全米平均でも1.5ブッシェル引き下げられ、152.8ブッシェルとされたことによる。
また、国内消費量については、エタノール向けが1億ブッシェル上方修正されたものの、飼料等向けが1億ブッシェル下方修正されたことから前月予測値を据え置き、また、輸出量も据え置いた。
これらの結果、2010/11年度期末在庫は前月からさらに下方修正され、前年度の半分以下(56.4%減)となる7億4500万ブッシェルと、予測されている。これにより、2010/11年度のトウモロコシの平均生産者販売価格は前月予測値より下値、上値ともに1ブッシェル当たり0.10ドル上昇して、4.90〜5.70ドルになると予測されている。今回のUSDAの予測は、生産量、在庫量とも市場関係者の予想を上回る減少幅であったため、この公表直後にシカゴのトウモロコシの先物価格は0.20ドル近く値を上げた。
大豆生産は下方修正され、昨年の記録を下回る
大豆の需給見通しについては、1エーカー当たりの収量が前月の予測を0.4ブッシェル下回り、過去最高となった昨年の記録を0.5ブッシェル下回る43.5ブッシェルと予測され、また、作付および収穫面積もわずかに下方修正された。このことから、生産量は前月の予測(33億7500万ブッシェル)から4600万ブッシェル引き下げられ、昨年の記録を3000万ブッシェル下回る33億2900万ブッシェル(前年度比0.9%減)と予測されている。
また、国内消費量については、搾油向けは1000万ブッシェル、種子等向けが700万ブッシェル下方修正されたため、前月値から1700万ブッシェル下方修正された。輸出向けは据え置かれ、総消費量は1600万ブッシェル下方修正されている。これらの結果、2010/11年度の期末在庫は、前月の予測から2500万ブッシェル下方修正され、1億4000万ブッシェル(同7.3%減)となった。これにより、2010/11年度の大豆の平均生産者販売価格は、前月の予測より下値が1ブッシェル当たり0.50ドル上昇して11.20〜12.20ドルになると予測されている。今回のUSDAの予測は、トウモロコシ同様、市場関係者の予想を超える下げ幅であったため、この公表直後に12日のシカゴの大豆の先物価格は0.40ドル近く値を上げた。
【中野 貴史 平成23年1月12日発】
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